又の日、かの人の来むと言ひしを、待たじと思ふになどかは待たるる。思ひつつ寝れども人は見えざりけり、我が身には覚めざらましと思ふ夢もなきかな、と悲し。はや日も暮れぬ。いとよくつくろひて来ぬ人を待つに,思ひ結ぼほる。さればかの折はあからさまなる心にこそありけれ。はや思ひ離るらむ、我も思ひ絶ゆべし、とぞ思ふ。
まつはらぬ葛をば君と頼むべき
心は悲し地をはひはひて
君恋ふる心は千々に乱れしを
つゆも知りせばせめざらましを
まつはらぬ葛をば君と頼むべき
心は悲し地をはひはひて
君恋ふる心は千々に乱れしを
つゆも知りせばせめざらましを