
私は、ヤフオクでテクニクスのターンテーブルを日々チェックしています。
ジャケットサイズのオリジナル機SL―10をいずれは手に入れたいという未練があるからです。
ある日、次の言葉に目がとまりました。
「長岡鉄男氏が驚いた云々」
長岡氏は著名なオーディオ評論家でしたが、その独特な観点で他の評論家とは一線を画した方で、多くのファンが居たようです。
私は、長岡ファンではなく、氏のことを詳しく知っているわけでもありませんが、氏の書かれた文章は何度か興味深く読んだことがありました。
長岡氏が驚いたのは、この機種がベルトドライブでありながら、ダイレクトドライブの様に回転数をサーボ制御して正確な回転数をキープしている点で、ベルトドライブとダイレクトドライブの欠点を一挙に解決していることにあったということです。
ベルトドライブの欠点とは、交流電圧の変動による回転ムラ、ダイレクトドライブの欠点とは、コギングという回転ムラとモーターの振動をカートリッジが拾ってしまうことです。
なるほど、理屈はそうなります。
ただ、私が購入しようと思ったのは、出品者の文章に説得力があり、 価格が安かった(8000円ほど)ので 単純に聴いてみたいと思ったからです。
マイクロで感じたベルトドライブの良さを、追認したい気持ちもありました。
実物を見て、まず大きさが気に入りました。
SL―1200と比べてもかなり小さいサイズです。
「必要十分」とはこういう大きさだと思いました。
また、造りは安っぽい感じもしますが、レコードを聴く道具としては納得できる程度ですし、オーディオ全盛期の「だれもがレコードプレーヤーを持っていた時代」を感じさせるデザインです。
音は、やはりマイクロと同傾向の自然で圧迫感のない伸びやかなもので、これがベルトドライブに共通する音の傾向だろう、と納得できるものを感じました。
ただし、マイクロの方が響きが豊かで、これはキャビネットの違い故でしょうか?
他のテクニクス製プレーヤー同様、プラッターがレコードを乗せたり取り上げたりするのにちょうど良い大きさで、この辺が総合家電メーカー松下電器(我々世代にはナショナル)の企業姿勢なのではないか、と勝手に思ったりしました。
余談ですが、もう何年も前に「暖房便座」が故障した際に来てくれたサービスの方の対応がとても良く、以来松下ファンになりました。
40年近く前に買ったSL―7が未だに毎日使えているという事実が信頼を支えているのは言うまでもありません。
マイクロと一緒に買った、オットー(サンヨー)のカートリッジをつけていますが、音質に全く不満はありません。
オートリターン機能は、無くても困りませんが、あると便利です。
発売当時の価格は31800円。
今この値段で売り出せばベストセラーになるでしょうが、到底無理な話でしょう。
私は、レコードもオーディオも家具も道具も中古品を歓迎する人間なので、過去の機械を整備して安く出品して下さる方々にはただただ感謝するだけです。
インターネットが普及して良かったと思うのは、まずこうしたことです。
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