
ジミー・ラッシングは、私が最も好きな男性ヴォーカリストです。
ジョー・ウィリアムス、フランク・シナトラ、ナット・コールが後に続きます。
ジミーさんは、オールドベイシーバンドの解散とともにベイシーさんのもとを去りますが、その後結構な数のリーダー作を残しました。
ヴァンガードに吹き込んだ「リッスン・トゥ・ザ・ブルース」が代表作として取り上げられることが多いですが、私にはこちらの方が愛着があります。
実は、これは初めてジャケ買いしたレコードで、社会人一年目に静岡県の浜松市で買ったものです。
そのころはジミーさんの歌を聴いたことがないばかりか名前すら知りませんでした。
もちろん、ベイシーバンドの専属歌手だったことも。
そもそも、まだベイシーを聴いていませんでしたから。
それなのに何故かこのジャケットのイラストが気になって仕様がありませんでした。
レコード店に行くたび手にとっては眺めていましたが、何度目かでとうとう試聴もせずに買ってしまいました。
コロンビアには、心惹かれるジャケットが沢山あります。
「××の肖像」シリーズを始めとして日本編集盤のイラスト・ジャケットには良いものが沢山ありますし、マイルスやモンクなどモダンジャズにも洒落たものがあります。
そういえば、このレコードを店頭で眺めていたころ、同じように気になっていたジャケットが「ハイファイ・エリントン・アップタウン」です。

こちらもエリントンのモノクロ・ポートレートが印象深く、私が初めて買ったエリントンのレコードになりました。
さて、このアルバムは、ニューオーリンズ、カンザスシティ、シカゴ、ニューヨークの4部に分かれており、ジミーさんのジャズ遍歴をそれぞれの都市ゆかりの曲で綴る構成になっています。
メンバーもバック・クレイトン(tp)を中心に、各地を意識した人選で編成されているようです。
最初から順に聴くと、ジャズという音楽の変遷も分かる気がします。
珍しいのはジミーさんのピアノ弾き語りが聴けることで、女性の声色も使って掛け合いで歌って(語って)います。
レコードになった弾き語りはこの演奏だけではないでしょうか。
この文章を書いた後でヴァンガード盤「リッスン・トゥ・ブルース」を聴いてみたら、思っていた以上に良くて、どちらを選ぼうか迷いました。

特に、ブギウギピアノの名手、ピート・ジョンソンが素晴らしく魅了されました。
しかし、結局こちらを選んだのは、個人的な思い入れ以上に、バラエティーに富んだ編成でジミーさんの魅力を多面的に楽しめるからです。
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