
シャーロック・ホームズとアルセーヌ・ルパンと言えば、推理小説界の不滅の大スターだ。
小学校の頃、教室の本棚にはホームズやルパンの小説はあった。
もちろん、それ以外の本もあり、生徒達は教室内の本棚の本は自由に借りることができた。
なので、私はちょくちょく借りていたと思う。
江戸川乱歩の小説もあり、ホームズ、ルパン、乱歩の本は何種類も借りて読んだと思う。
内容はもう忘れているが。
私は乱歩の小説も好きだったが、ホームズものも好きだった。
ホームズに関しては、それなりのファンだったと思う。
だが・・アルセーヌ・ルパンにはどうもイマイチ入り込めなかった。
そりゃ、普通の怪盗に比べたら、かっこいいイメージはあった。
そんじょそこらの(?)泥棒とはわけがちがうとは思った。
でも・・・私の中では「いくらかっこよくても、所詮は泥棒でしょ?」という思いがぬぐえなかったからだ。
それは・・・小学校の頃に見てたアニメや、読んでた漫画の影響もあったと思う。
私が見てたアニメや、読んでた漫画の中では泥棒はやはり「悪者」であったから。
悪者は正義のヒーローにやっつけられるもの・・・というイメージは大きかった。
いつのころだったか、家に泥棒が入ったことがあり、両親のお金のそれなりの額を盗まれたことがあった。
かなり問題になった。当たり前か。家計に響いたはずだったから。
そんなこともあったので、泥棒に対してどうしても良いイメージは持つことができなかった。
だから、アルセーヌルパンのことも、素直には好きになれなかった。
まあ、カッコイイ泥棒が主人公という設定には新鮮味は感じたけどね。
日本にも怪人20面相というキャラかいて、カッコイイ泥棒キャラだったが、怪人20面相と戦う名探偵明智小五郎や少年探偵団という正義側のヒーローもいて、どちらもキャラが立っていたしね。
学校の教室の図書棚からはホームズ対ルパンという作品も借りて読んだ覚えがあるが、なんていうか・・引き分けみたいな結果だったような気もした。
それも納得いかなかった。幼心に。
ホームズに勝ってほしかったのだと思う。
世間ではルパンは人気者だったのだろうが、私の中では入り込めない時期は長く続いた。
そんな私がルパンのイメージが多少なりとも変わったのは、日本で「ルパン3世」というアニメが始まったからだ。
はっきりいって、ルパン3世は好きになった。
ご存知のように、ルパン3世はアルセーヌ・ルパンの孫・・・という設定だったと思う。
その作品に熱中するようになって、やっとルパンのイメージが良くなっていった。
ルパン3世が好きだから、そのご先祖であるアルセーヌルパンを好きじゃないわけにはいかなくなった・・・そんな感じ。
よく考えればルパン3世にしても「所詮は泥棒じゃないか」という点では同じなのに、ルパン3世は私は素直に好きになれたというのは、自分でも妙な気はする。自分の中に矛盾も感じるが、それ以上にアニメのルパン3世が人間的に魅力的だったのだろう。
そのルパン3世は、実は本放送の時はそんなに世間では話題にはなってなかった。
でも私は好きで毎週見てたけど。
今ほどの人気があったわけではなかった。
そんなルパン3世がブレイクするのは、再放送がきっかけだった。
確か夕方頃の枠でルパン3世が再放送されたのだが、その再放送で人気に一気に火がついた。
それ以来は、すっかり人気が定着し、今や国民的アニメの主人公であり続けている。
最初にルパン3世がアニメ放送されてから、もう何十年もの年月がたっている。
リアルタイムで年月が進んでいたとしたら、本来なら今現在のルパン3世は、事実上ルパン5世ぐらいであってもおかしくない。
まあ、アニメの世界の中では、キャラは歳をとらない作品もあるし、ルパン3世もまたそういう設定なのだろう。
とにもかくにも、小学校の頃はあまり入り込めなかったアルセーヌ・ルパンに私が好意を持てるようになったのは、日本製のルパン3世のおかげである。
ルパン3世のおかげで、アルセーヌ・ルパンに興味がわいた人は、案外いるんじゃないかなあ。
日本では、ある意味アルセーヌ・ルパンに肩を並べる人気者のルパンがルパン3世。
むしろ、日本では3世のほうが人気あるんじゃないか・・とも思えるぐらい。
日本で作られたルパン3世作品は多いしね。
もし、アルセーヌ・ルパンの作者であるモーリス・ルブランが今も生きていたら、ルパン3世に対してどんな感想をもっただろう。
そんなことを考えることが私にはある。
勝手に子孫を作るな・・・と思ったか。あるいは逆に、3世のおかげでアルセーヌ・ルパンも新しい年代のファンに関心を持たれ続け、感謝している・・・と思ったか。
それはもう聞きようが・・ないのだが。
ただ・・・もしルブランが生きていて、再びホームズ対ルパンの作品を書いたなら、私はきっとまたホームズの方を応援してしまいそうな気はする。
そこでのルパンはアルセーヌ・ルパンであって、ルパン3世ではないのだから。
ちなみに・・・ホームズの作者であるコナン・ドイルが「ホームズ対ルパン」を書いたら、どんな物語になっただろうね。
引き分けに・・・するしかないのかなあ、どうしても。
ホームズにもルパンにも、世界中にファンはいるからね。
どちらが一方的に勝ったら、負けたキャラのファンが激怒するのだろうし。
それは・・ある意味、古くは鉄腕アトムと鉄人28号を戦わせるようなものであり、ジャイアント馬場とアントニオ猪木が戦うようなものであり、ゴジラとガメラを戦わせるようなものなのだろうし、ガンダムとマジンガーZが戦うようなものかもしれない。
どちらも負けさせてはいけない戦いなのだろう。
両雄を並び立たせるのは・・・容易ではないのだろう。
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