オミさんが帰ってきてないと言っても、 カイさんは別に困った様子はなかった。
何かあった時のために、お互いに合鍵を持っているのだという。
「じゃあ大輝君、ロケ練習に出かけよう 」
カイさんの車に、 カメラや三脚やポラロイドカメラなんかの機材を積み込んで俺たちは出発した。
助手席に座ってしまうと、そこまでで安心してしまったのか、俺はぼんやりと考え込んでしまった。
オミさんと麻里華さんとの、仲睦まじい姿がよみがえってくる。
恋人っていいな…
俺も華島さんと、ラブラブになれたらいいのに…
…あんな…酷い夜は無かった…ことにして…
…そこで我に返った俺は、上司であるカイさんに、話しかける必要があるのに気づいた。
…とは言うものの まだ出会ったばかりで 俺は何を話したらいいのかわからない。
それを察したのか カイさんの方から色々話してくれた。
「オミとは高校で出会ったんだよね…」
…男子校だったんだけど、本当にあいつはイケメンで目立ってた。でも、性格はいいしさ。
同じクラスで、ちょっとオカルト雑誌のことを話したことで仲良くなった。
家に遊びに行くようになったんだけど、初めてのテストの時一緒に勉強しようっていうことになって、
行ってみたら全然あいつ勉強なんかしようとしない。
すっごく怖いホラー映画を借りてて、一緒に見ようなんて言うんだ。
俺はホラーの方は全然好きじゃなかったから、まあ今となっては良かったんだけどさ。
俺もともとは 日本史が好きなんだよね。
城とか寺とか好きで。