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つたない指先

思ったこと、思い出したこと。
感じたこと。
思いつくままに……    by ayaha

はじめての文学

2008-04-05 12:14:36 | 小説・エッセイ
はじめての文学 浅田次郎編

小学校高学年以降あたりを対象にしたシリーズらしい。
ダ・ウ゛ィンチでみてずっと気になってた。
図書館でみつけ、さっそく借りた。
中身は短篇五話。
子供の視点だったり、子供の記憶だったり、高校生活最後の夏休みの話だったりなのは、対象読者にとっきやすいようにだろうか。
時代が終戦後だったり学生運動時だったりするから、近くて遠い過去。
とっきやすいかどうかはわからないが字は大きくて読みやすい。

私は気になった本を手にとって読むが、おもしろいと思った本を夢中になって読むが、文学というのはわからない。
教科書に載ってるような話は、あまり読まない。
あまりおもしろそうだと思わないからだ。

文学って何?
という疑問が、浅田次郎さんの作品を読んだ分だけわかった気がする。
読み終わった時、私は浅田次郎さんから何かを教わった。何かを学びとった。
だから文学なのかな。
文学といわれる作品は、話が完結しても読後に想像の余地を与えてくれる。
中にあった一文がひどく心に残って、ふと日常の隙間にそのことについて考えさせられる。
自分が何かを学びとったり影響を受けたりした時、その本が一般に文学といわれるジャンルじゃなくても私にとっては大切な本だけど。

まだまだ学び足らない私だけど、浅田次郎さんの作品は大好きです。
今回の中では、シェ(xie)が一番好き。
浅田次郎さんの作品には、優しかったり、かなしかったする「あやし」がでてくる。
心に残るいとおしいものたち。

ロマンス小説の七日間

2008-04-04 14:19:47 | 小説・エッセイ
新感覚恋愛小説!
だそうで。
例によって、三浦しをんさんの小説。
私は気にいったら、そればっかりなのだ。
そして、例によってしをんさんの作品だから一筋縄ではない。
主人公は、海外ロマンス小説の翻訳家、あかり。28歳独身。
一昔前程ではないけど、微妙なお年頃。
そんな彼女が、ちょっと変わった恋人神名に翻弄され、その精神状態で仕事にとりかかり原作を離れた創作をしてしまうというお話。
交互に語られる二つの話がどちらもおもしろくて続きが気になる。
運命(あかり?)に振り回される女領主アリエノール。
彼女と運命の恋を繰り広げるはずだった成り上がり騎士ウォリック。
彼らの運命はいかに?
そしてあかりの恋はどうなる?
なんとも濃い七日間と七章。
いっぱいいっぱいの時って、変な事してしまうよな。
変な事勘ぐったりして。

そして、ずっと一緒にいる人のことって、しってるようで全然知らない。
だから恋愛は、おもしろくっておそろしいのかも。
今、隣にいる人が明日も隣にいる。
そんな事は誰も確定してくれない。
たとえ、神の前で誓った仲だとしても。


本作も、もちろんおもしろいが、あとがきがしをん節炸裂でおもしろい。
「食パン…」、しをんさんの苦心惨憺ぶりに涙がにじみそう。ホロリ。
くれぐれも、体毛の描写は控えめに。

最近は、男女のロマンスを取り扱った本を読んでないので機会があったら、そういう作品も読んでみたい。
でもそれより先に買って積み上げてるBL読まなくっちゃだわ。

あやつられ文楽鑑賞

2008-04-01 20:25:43 | 小説・エッセイ
三浦しをんさんの文楽熱エッセイ。

「仏果を得ず」より先に出版されてるけど、裏話みたいな雰囲気
(というか、話の出所?)みたいな箇所もあるので、後から読むのをオススメ。
でも、どっち先に読んでもおもしろいだろうとも思う。

「仏果を得ず」では、太夫さんが主役で、それに絡む三味線さん。
と、言う事で人形さんの出番があまりなかったのだけれど、本作では
人形の細かい描写もあり、お得感を感じた。

あと、段のそれぞれの詳しい内容。
それらは、昼ドラみたいだな、と思った。
かの名作「牡丹と薔薇」を彷彿とさせるストーリー展開。
多分、リアルに話が初演された時も、その当時の人たちも
えー。と、思いながら観てたんじゃないかな。

それでも、それだからこそ
目が離せない魅力というのが、きっとあるのだろう。
文楽というものに。

それぞれの名人さんの話を聞きながら、仰天したりつっこんだりするしをんさん。
でも、きっと居住まいの気持ちいい人なのだろうな、
とその文章と写真の笑顔をみて感じた。
そして、何にしてもその道の人というのは魅力的というか
奥が深くないと人を惹きつける表現はできないのだろう。
すべてを糧とできるような人でないと。


急いで読んで図書館に返却(今日が返却期限だったので)したので、
細かく読み返せないのが残念。

仏果を得ず

2008-03-29 09:25:55 | 小説・エッセイ
三浦しをんさん 「仏果を得ず」。

三浦しをんさんの作品には、
綺麗事ではない真実があるなぁ
と、溜息を吐く。

本作の主役は、文楽の道を歩む健。
文楽というのは、人形浄瑠璃ともいう
大夫、三味線、人形遣いからなる伝統芸能だそうで、
そういえばそれらしきものをNHKで目にした記憶もある。
実物をみるのは、かなわないだろうから機会があればテレビでみたい。

話は、健が師匠である銀大夫から三味線の兎一郎と組むよう言われるところからはじまる。
この兎一郎は、実力はあるが変人なのだ。
とにかく兎一と組んでいろいろな役にとりこんでいく。
いくつか演目があるのだが、健はその役の心がわからない、つかめない、解釈ができないと悩みながらいろいろな出会いと経験を通じ成長していく。
演目の流れ、健のプライベートな悩み、からみあうそれら。
読んでいる途中で
かの「ガラスの仮面」みたいだなと感じた。
小説なので視覚的な効果はないが、説明される演目の内容も小説自体も「ガラスの仮面」同様おもしろいし。

彼らは悩みながら迷いながら、高みを目指すのだ。
一生涯かけて、何かに魂を売り飛ばしてもいい覚悟で。

そういうわけで、私の言葉足らずだが、おもしろいのは確実。
文楽がどういうものか知らなくても
しをんさんの文章読んでれば大丈夫。


しをん、おそろしい子…。


図書館で借りた本だけど、ずっと手元においてよみかえしたい。
表紙のイラストも可愛いし、つくりも凝ってるし。
今は、一緒に借りた「あやつられ文楽鑑賞」をやっと読み始めた。
しをんさんは、エッセイも文句なしにおもしろい。
返却日が迫っているので、じっくり読めないのが残念。

珍妃の井戸

2008-03-23 10:51:53 | 小説・エッセイ
浅田次郎氏 「珍妃の井戸」
浅田次郎氏の作品はわりと好きで時々読みます。
そして、泣きます。

私の愛する堀内賢雄さん(声優)も読んでるそうなので、
ますます熱がこもるってところです。

今回の作品は泣ける小説ではなかったと私は思うのですが
考えさせられる小説でした。いろいろな事について。

あらすじ
1898年に義和団事件が起こり清朝の都北京は騒乱状態になり、列強8ヶ国の軍隊がこれを鎮圧した。そんな最中に光緒帝の寵妃珍妃が紫禁城内の井戸に落とされ殺された。「一国の君主の妃が暗殺されたことは、重大な事件であり真相を突き止めなければならない」と、イギリス帝国の海軍提督エドモント・ソールズベリー、ドイツ帝国の大佐ヘルベルト・フォン・シュミット、ロシア帝国の露清銀行総裁セルゲイ・ペトロヴィッチ、日本の東京帝国大学教授松平忠永の4人が事件の当事者に話を聞きながら真相を解明しようとする。


ということで、ミステリーです。
「蒼穹の昴」の続編ともありますが、前作が春児らの生きる物語だったとすると、
この作品は、前作に出てきた登場人物こそでてくるし、時代背景は一緒ですが
別物だと私は感じました。

真相究明の為に、あらすじにある4人はその一つの事件にある証言を求めます。
トーマス・E・バートン記者の証言
蘭琴氏の証言
袁世凱氏の証言
瑾妃殿下の証言
劉蓮焦氏の証言
愛新覚羅溥儁氏の証言

…これが、またつじつまがあわない。
誰かが嘘を言ってるのかもしれないし、すべてが嘘なのかもしれない。
真実は一つだとしても、それを知っている人の中でその記憶が違う物語に
なってしまう事はある。
結局、真実はわからないのです。
だって、高校の時に真面目に世界史を勉強しなかった私は
どこまでが、史実とされているもので
どこからが浅田次郎氏の創作なのかもわからない。
(「解説によると、「中国では西太后が殺した、殺すように指示した」が通例だそうです。)

でも、グイグイ読んだ。
そしていろいろ考えさせられた。
これは、私にとって真実。

そういうわけで、三部作の「中原の虹」も図書館で借りて読んでみたいと思います。
浅田次郎氏の作品では「ラブレター」が一番好きです。
浅田次郎氏の作品は愛について考えさせてくれます。

格闘する者に○

2008-03-11 17:07:38 | 小説・エッセイ
私が最近気になっている三浦しをんさんのデビュー作。
「処女作」といういい方は、なんかヤダなと解説を読んで思った。
意味は同じとしても。

マイペースに過ごす女子大生可南子にしのびよる過酷な就職戦線。(裏表紙より)

リクルートスーツという戦闘服に身を包み、彼女が戦っているのは
いったい誰なのだろうか?
恐ろしく高い倍率の席とり合戦。
弾き落とすべき敵は自分と同じ志願者なのだろうけども、この作品中ではそうではないようだ。

こにくらしい人間がたくさんでてくる。
世の中は不条理で大人は理不尽である。
そして私も「子供が好き」と公言する女を信用しない。

愛すべき人間もたくさんでてくる。
楽しく読めた。
可南子も作者もこれからも戦い続けるのだろう。
やっぱり三浦しをんさんが好きだ。
漫画好きってのも大きいかな。
私も漫画喫茶いきたいな。

すべてが真実ではないかもしれないけど、
出版社というものの実情が垣間見れて、漫画好きとして楽しめた作品。

葡萄が目にしみる

2008-03-08 08:25:45 | 小説・エッセイ
図書館で手に取った林真理子さんの本。

読んでいるうちに、
青春時代の自分が懐かしく愛しくなっていく。

そう、きっと誰もがあのころは
ジイシキカジョウ。
世界は狭く、そして自分がすべて。

そしてそんな自分を思い出すと、もどかしくて愛おしい。

林真理子さんの本は、少ししか読んでないけど
心に残る場面がある。
目の前に迫ってくる女の情念がある。

特に好きというわけでもないので、そう手にとらないのだけど
読み始めたら止まらなくて
変な表現だけど
読んでて「すごいプロ意識」を感じる。

エッセイは、軽快でそれなりにおもしろいと思うのだけど
あまり好きじゃないのだな。
でも参考にはなるかも。
多分、私は着物を着て歌舞伎を見に行ったりするような事は生涯ないだろうけど。

むかしのはなし 

2008-03-04 23:24:47 | 小説・エッセイ
図書館で借りた
三浦しをんさん 「むかしのはなし」
を読んだ。

私はこのブログの自己紹介で、「最近は三浦しをんさんがお気に入り」
とか、言ってるが彼女のことを知ったのは、本当に最近で
まだまだ作品も少ししか読んでなかったりする。

お気に入りの作家さんは他にもいて、気の向くままに
手に取った本を読むのだが…

三浦しをんさんというのは、なんだか特別なのだ。
小説やエッセイを読み、よしながふみさんとの対談を読み
おすすめBL漫画レビュー集「シュミじゃないんだ」を読み
読んでみたおすすめの漫画やBLが確かにおもしろいと唸る。

なんだかすごく共感してしまうのだ。
共鳴といってもいい。

自分が漠然と感じてた事を文章として明らかにしてもらった
という感覚も、いままでになく多い。

そして、心に残る。
そして彼女をうらやましいと思う。
彼女の愉快な日常が。
苦境さえも愉快になってしまう精神が。
エッセイで窺い知れる気心の知れた友人達が。

…うらやましい。

まるで、片思いのように私は彼女を想うのだ。
あなたのことをもっとしりたい、と。
作品でなく作者自身についてそこまで執着するのは初めてだと思う。

彼女の分身であろう作中の人物についても
その後がとても気になってしまうのだ。
「むかしのはなし」
とても、おもしろかった。
有名な昔話をテーマに短編が繰り広げられる。
その昔話を思い出しながら読んでもおもしろいし、その話自体だけでもおもしろい。
そして、その短編ひとつひとつが実はリンクしている。

それぞれの場にいたあの人(登場人物)たちは、今頃どうしているかしら?
なんて、日中から激しく夢うつつになってしまう。
隕石は結局どうなってしまったのか…。
それがわからないのが、心憎い。

罪なヒトだ…
と思いながら、今日も図書館で借りる。
読みつくして図書館にない本は、買ってしまうのだろうな。
今からそれが目に見える。