アトリエ天藤一級建築士事務所 ATELIER TENDO

商業建築から自然素材の住宅まで・設計監理
複数施工業者の見積り書を比べ、良質でローコストの建築を実現しませんか

ローコスト住宅

2009-02-12 | コラム 

1022 画像は 八尾の町屋 クリックすると大きな画像が表示されます。

ローコスト住宅専門のメーカーの宣伝文句や、テレビ番組の内容を鵜呑みにしている? と思うような設計者募集のコンペを見かけることがあります。
ローコスト住宅について私の考えを書きました。

私はクライアントの願いをできるだけ叶えることができるように・・・と、頭の中に、優先順位をつけながら設計図をスケッチします。
ホームページにも書きましたが住宅建築で一番大切なことは「安心・安全」そして「快適」です。

安心して暮らせる器(しっかりした地盤の上に建ち、シックハウス問題、強度等の心配が無いこと)
快適な住環境(厳しい天候や季節、その他の外部環境から守るために屋根、壁、基礎や開口部などの適切な仕様(高断熱、高気密など)
クライアントの願望をさらに載せます。直ぐに住める状態で完成です。

クライアントの要望と、経験から推察するコストを(構造、材料、広さ、仕様、グレードなどの面から)検討しながらプランを作り上げていきます。
プラン、基本計画を経て、さらに何ヶ月も要して、クライアントと打ち合わせしながら実施設計図が完成すると(構造や規模に違いはありますがA2サイズで30~100枚ほど)数社の施工業者に見積もり合わせの参加を依頼し、見積書を出してもらいます。
各社の見積書と図面を付き合わせ、値段や単価などを比べます。
施工業者の得手不得手、そのときの状況、条件などにより、時には4割以上も見積り金額の差が出ることがあります。(例えば同じ住宅に対して、最低価格が3000万円と出す施工会社もあれば4200万円の値段が出てくる会社もあります!)

見積り合せでは、安い価格が提示されたからとそこに決定するわけではありません。安けりゃいいじゃないかと思われるかもしれませんが、安い理由が不明なまま発注すると、後のトラブルの元となります。長年の経験で、タダほど高いものは無いのです。

そして業者をあらかた絞り、クライアントの予算額を睨みながら、見積もり金額、設計図を見直し、業者と何度も知恵を絞って、クライアントの希望に添えるよう、叶うように検討します。
この作業は2,3ヶ月掛かることもあります。
この工程を業者に全て公開するわけではなく、設計者の細心の注意と交渉テクニックが必要になってきます。クライアントには解らないことや見えない部分も多く、クライアントとの信頼関係が絶対条件です。これが無ければ成しえないことです。

そして、施工業者に対しても同じことが言えると思います。クライアントと設計者の本気によって、よりコスト削減の工夫に熱が入ると言えるでしょう。

長い文章になりましたが、このように三者間の信頼関係と、互いの合理的な利益の結果が、クライアントの予算が有効に生かされた良い家、すなわち私の考えているローコスト建築、ローコスト住宅です。

時間と手間がかかるけれど、良い家に暮す喜び、充実感はあなたのものです。


改正建築士法

2009-02-05 | 建築や住宅に関する法律

Img_4220_2 ◆画像は 山麓の家 夏の菜園 かわいいね!

姉歯事件を発端にして、建築基準法が改正(2007年6月)されましたが、その後の混乱の様子がテレビや新聞で報道されたので、多くの人によく知られていると思います。

そして、改正建築基準法に続き、昨年11月から(一部は2009年5月末から)改正建築士法が施行されました。

専門資格の創設や試験制度の見直し、定期講習の義務化などが行われ、建築士の資質や能力の向上を目指して、建築士の信頼回復を目指します。

今回は、改正建築士法の改正された中身を簡単に書き出しました。基準法や建築士法の改正が続いて、気にしながら手付かずだった書きかけのファイルをホームページにUPし、ここにもUPすることができて、ほっとしています。前回の「重要事項説明書」もこの改正建築士法の一部です。

・再委託の制限
たとえ委託者が許可しても、建築士事務所以外への設計・工事監理の再委託できません。

一定規模の共同住宅は、委託者が許諾しても、設計・工事監理を一括再委託(いわゆる丸投げ)することが禁止されました。
これは責任の所在をはっきりさせることが目的。

・建築士は3年ごとの定期講習を受ける
資格取得後、建築士事務所に所属する建築士(1級・2級・木造)は、3年ごとに法定講習を受ける。講習は講義と修了考査、修了考査で合格できなかった場合は、再受講する。

・建築士試験を見直し
建築士試験の受験資格が変わりました。
建築士のレベルアップ。

・管理建築士 条件が強化された
建築士事務所は、事務所を管理し、技術的な総括をするため「管理建築士」の設置が義務付けられています。改正法では、さらに設計監理業務の適正化をはかるため、管理建築士になるための要件が強化されました。
建築士として3年以上の実務経験を積んだ後、管理建築士講習を受講・修了しなければ、管理建築士になれません。

・重要事項説明を義務化
設計・監理契約前に重要事項の説明をしなければなりません。
説明事項は書面にして交付します。

マンションの売買契約前に宅建主任者によって行われる重要事項説明と同じような位置づけで、消費者保護を目的にしています。
(建築士事務所間の契約では重要事項説明は義務ではありません)

・構造設計一級建築士・設備設計一級建築士制度の創設
高度な「構造設計」あるいは「設備設計」の実務能力や専門能力を身に付けた一級建築士の資格が設けられました。一定の建築物について法適合確認などを義務付けられます。

私を含めた弱小建築事務所を営む多くの建築士にとって、今回の改正が、責任ばかりが重くなり、巷間言われているような「建築士 大淘汰時代」の幕開けになるとしても、建築士の質の向上と社会的な理解と信頼を得られるよう、切に願ってこのページを書きました。
それは結局、消費者保護、クライアントの利益に繋がるのだと私は考えます。

お読みくださいまして有難うございます。

改正建築士法 政府広報オンライン 
1月28日から新しい建築士制度が始まります

※ 参考 日経アーキテクチュア 2008 11-24
 


重要事項説明書

2009-02-03 | 建築や住宅に関する法律

改正建築士法が昨年、平成20年11月28日改正されました。

建築士事務所の開設者は、設計または工事監理契約前に、あらかじめクライアントに契約内容の重要事項について説明し、書面を交付します。リフォーム工事でも、設計監理を受注した場合、説明義務があります。

クライアントと建築士事務所の間に契約をめぐるトラブルを防ぐため、「消費者保護」を狙いとしています。

当アトリエでは設計受注の契約時に「委託書」を交わしていますが、その前に「重要事項説明」を受けていただきますようお願い申し上げます。四会推奨の「重要事項説明書」をご用意させていただきます。

内容は

作成する設計図書の種類、
工事と設計図書との照合方法、
工事監理の実施状況に関する報告方法、
担当する建築士の氏名、
報酬の額や支払いの時期、
契約の解除に関する項目など。

ちょっと面倒をおかけしますが、よろしくお願いいたします。

設計関連団体四会((社)日本建築士事務所協会連合会、(社)日本建築士会連合会、(社)日本建築家協会、(社)建築業協会)推奨

 重要事項説明書