アトリエ天藤一級建築士事務所 ATELIER TENDO

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傾斜地に家を建てる

2008-01-11 | コラム 

Img014 画像は「生駒山麓の家」です。クリックすると大きくなります。

遅くなりましたが、おめでとうございます。
今年もどうぞよろしくお願いいたします。
2008年を皆様はどのようにお迎えになりましたか?
私はカゼぎみだったこともあり寝正月でした。

昨日はとても良いお天気で、西宮戎にお参りに行きました。
例年のように御神籤を引きました。私にしては珍しく大吉で、やっぱりうれしい。

さて、今回は傾斜地や道路との高低差のある敷地に家を建てる場合の注意について書きました。
テレビで時々「急勾配の敷地に建つ住宅」を放送しています。
概してそういう土地は眺めがよく、日当りも風通しも良くて魅力的、おまけに設計者は工夫をこらして設計しているので、デザインもアイデェアも実に斬新で、ちょっと憧れるのも当然かもしれません。
私も「ほっ~!」と見入ってしまうことがあります。
設計の面白みは大きいけれど、フラットの敷地であるに越したことはない、と私は思っていますが。

けれど、いろんな巡り会わせで、そういう敷地や道路と高低差がある敷地に住宅を建てることになる場合もあるかもしれません。
そのときには、このメモをちょっと思い出してください。

まず、本当に住まいを建てても大丈夫ですか?
◆念のため、防災マップなどでその地域に災害の危険はないか確かめましょう。

◆新たに購入する場合は敷地の値段が安くても(勾配や高低差、地盤調査の結果などによっては)構造的に費用がかかることを覚悟して購入しましょう。たいてい地盤調査は購入後になります。

工事費は割高です。建物は構造上、安全であることが最低条件ですから、基礎や擁壁の費用、地盤補強や杭打ちの費用も発生するかもしれません。具体的に幾らとは書けませんが、2階建てでも3階建てに相当する工事金額が必要な場合もあります。
住宅周りや庭など(外構と言います)の工事に費用がかかる場合もあります。
作業車が入れないような場合、工事費用はやはり割高になります。

◆そして実生活上、段差による不便があります。家庭用エレベーターが普及してきましたが、これとは別の問題です。

敷地と道路との高低差や住居内の高低差などは、「トレーニングだ!」と前向きにとらえましょうね。

◆月並みな言い方ですが時間的に充分なゆとりを持って計画を立てましょう。 

建築計画や設計・確認申請に時間がかかることが予想されます。
工事期間も長くなるかもしれません。
その他、地下水が湧き出したとか、岩盤などの障害物が見つかるなど不測の事態が起こるとさらに工期が延びます。

デメリットばかり書いて、驚きましたか?
何度も書きますが、これらの心配は勾配の程度や高低差、敷地や周辺の条件などによって異なります。

ちなみに、私の場合、設計した住宅の敷地は、程度の差はあるのですが、段差や傾斜があったり、道路と高低差のある場合が多いです。
道路との高低差、強固なコンクリート擁壁や基礎を利用して、ガレージなどを設けています。
既存の石積みは崩れかけていることが多々あるので、新たに作り直すことがほとんどです。