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センター突破 これだけはやっとけ 鳥取の受験生のための塾・予備校 あすなろブログ

鳥取の受験生のための塾・予備校  あすなろ予備校の講師が、高校・大学受験に向けてメッセージを送るブログです。

特別編 登場人物による筆誅の壱 会津さんより

2011-08-16 16:34:07 | 洛中洛外野放図
 引き戸(少し重いようなあまり勝手の良い感じではない手ごたえの)を開けるとたたきがあり、今では許されないようなバリアフリーでない段差。そこから使い込まれた床が始まり、階段に。きしむ音。心地よい。上がりきって、また良いつやの廊下を突き当りまで進むと松田の部屋。もう、既に誰かいる。そう、いつも。一番乗りだったことはないような気がする。私が卒業してから、飲み足りないから飲み物持参でお邪魔します、って殊勝な時以外は。今思うと、本当にご迷惑をおかけしました・・・いつも誰かいた。夜更けまで飲んで、話して。誰彼か足りないものを買出しに行き、誰かは休憩と称して寝ている。一人の松田を見たことなかったなぁ。だから未だに謎の多い後輩。
同期の石地君等と、飲む機会として会合名を設けるのはどうか、という話が出た。なんなら積み立てもするか! って口座まで作った。しかし、その会費は生かされることなく、隔日か?と思うくらいの酒びたりの楽しい学園生活は続行していた。その際、次は・・・となると。金銭的に余裕のない学生の行き先は誰かの下宿。幸い私の下宿は男子禁制だったので餌食にはならなかった。で、だいたい石地君ちか松田んち。なぜ、2コ下の彼の下宿にみんな集うのか。その不思議は未だ解明できていないけど。多分、あの古い建物のかもし出すいいようのない安心感と、彼のクマ的安心感の合いまった共存のなせるワザではないかと思う。とにかく落ち着くんだ。当時は何の気もなく普通に、みんな集まって飲んでいた。石地君宅で飲んでいても、近所だし松田呼ぶ?ではなしに、松田んちに行こう! になっていた。
彼の下宿はまた謎的に良く分からなくて、小さいおばあちゃんしか下宿人は知らない。一応集う中の数少ない女子だったので、共同炊事場で肉じゃがやらなんだか作ったことがある。炊事場がまた、長いステンレスで。合宿所みたい。蛇口から遠慮なしに、勢いよく出る水に翻弄された。その時に、おばあちゃんに遭遇した。「大人数ですいません」って確か謝ったのだ。騒々しいし。そうしたら、「いえいえ。学生さんは楽しそうでいいねぇ。あら、美味しいのができるねぇ」なんて言ってもらった。もう、抱きしめようかと思うくらい可愛いおばあちゃんだった。先日番外編で再訪した時に、是非お会いしたいとも思ったけど、もう存命じゃないな・・・・大概年を経ている。寂しく感じた瞬間だった。
 
もう、ずいぶん昔なんだな、と思う。でも、楽しかった事の記憶は鮮明。

石地君の実家から梅酒が届いた。という話を聞いたからではなく、行ったらあった。焼酎と、ブランデーで漬けたもの。つまり二種。交互に皆で飲んだ。私は絶対、ブランデー派だったのだ。甘くて、とろりとして、氷が溶けていくとなんとも言えない香りと舌触りで。即日ボトルキープ(自称)。石地君もいい奴で、いつもソレを出してくれた。松田の下宿にも、私キープは存在した。彼の部屋にあった、繊細なグラス。ひびをそのまま閉じ込めて外から塞いだグラス。薄蒼くて白くて。儚い感じがもう、大好きで。私が行くといつも、ソレを出してくれた。

あの、西陣の機織の音のする中、もうどこだかわからない気分。不安だけれど、もういいかとも思える雰囲気。細い路地を抜けて、坂や階段を経てたどりつく古い建物。そこに集う、悪意のない生気。それが、すごいことだったと今分かる。あの当時、そんなこと、自分達のしていることに意味やら、なんやら見出していなかった。何を話し込んでいたのか、何を悩んでいたのか。記憶にないけど、それなりにみんな大変だったはず。それを、共有したいと思ったり、一人でいるのが嫌だったり、それなりの理由をもって集う。そして、帰路につくときには、各々楽しい気分で解散。私は専ら自転車だったので、終夜営業の素敵に便利な店で、アイスなんぞを購入し軽快に帰宅した。バイト代が入ったりすると、アイスも格上げでより楽しい深夜サイクリングだった。しっかり飲酒運転だけど。
 
野放図に出演する、あのくされ学生諸君はみんな、とっても愛すべき人々だったのだ。もし、昔に戻れたなら、みんなに好きなだけ飲ませて、食べさせて奢ってあげたい気分になるくらい。でも、奴らが、どんだけ好き放題するかも知ってるからそれはできないけれど・・・