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朝焼けを見るために

神様からの贈り物。一瞬の時。

あの人へ。その7

2005-02-08 16:46:50 | ラブレター
今でも時折思うのです。あの時、電話であなたにそう言ってとお願いしたひとことを、どうしてあなたは言ってくれなかったのだろうかと。
わかってはいたのです。あの頃のあなたに、あのひとことはどうしても言えないということは。でも、嘘でもいいから、言って欲しかったと思う時があるのです。
今の私はなかったし、今のあなたもなかったけれど。
何もないことから、始まる何かもあるでしょ。何もないから、いつまでもひっかかっているということもあるでしょ。
あなたは、私のことなど少しも思い出すことはないのかもしれない。いえ、時折耳に入る微かな噂話に、ふと思い出してくれているのかもしれない。とりあえず、元気にしているんだなぁなんて。

どうしてあなたのことを、こんなふうに思い出すのだろう。
大股に、ズンズンと先をわざと歩くあなたの後姿を思い出すのです。私は追いつくのに必死で、やっと捕まえたあなたのシャツの裾をしっかりと握りしめたことを。うるさがりながらも、そのまま歩き続けるあなたの背中を。何も言わないあなたを。
本当に、あなたは何も言わない人でした。とにかく私には何も言わない人でした。
言って欲しいことも、言っては欲しくないことも。

あなたが、黙って行ってしまった時、私は・・・私は・・・大きな何かを失ってしまった気がしたのです。追いかけて行きたかった。でも、それもできない私がいた。待っていたかった。でも、それもできない私がいた。
追いかけることも、待つこともできないでいた私。

そして、今の私がここにいます。

そして、今のあなたがそこにいます。

お互いの小さな噂話を、風のたよりに聞きながら。。。





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ちょっぴり切ないあの人へ。
それとなくラブレター

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