師匠、逝きま~す!!

誰の師匠でもないけど階級は大尉

海の若大将

2009年10月29日 | 【若大将シリーズ】
シリーズ第5作目【海の若大将】。
前作の【ハワイの若大将】と同様”海"を舞台にしている作品。

今作では、若大将、青大将、マネージャーの江口、澄ちゃんの4人が船で一緒に行動するため、この4人だけで映る場面がかなり長い。
そして、この4人で船旅をする原因や、船上で雄一と澄子がケンカしてしまう原因などがすべて【澄子のわがままな性格】によるものとなっていて、際立った性格描写が目立つ感じがする。
これによってストーリーがかなり面白くなってると思う。
澄ちゃんの行動および気持ちの変遷は以下の順。
1.最初は他のライバルの女の子たちに当てつけるために密航のような形で船に乗り込む
2.青大将の魔の手に掛かりそうになるところで若大将に助けられ、一旦はいい雰囲気になる
3.雄一のことを信頼しているから船に乗り込んだ、と言うが、当の雄一が青大将の肩を持つようなことを言ったためにヘソを曲げて、青大将へやさしくしてみせたりして当てつける
「こんなキッツイ性格の女、普通なら好きになったりしないだろ」と思いたくなるほどの性格描写になってるけど、それがまた面白さに繋がってると思うから良し。


今回の舞台として使われた船は、なんと加山雄三本人の持ち船【光進丸】。
「自分の船が持ちたいから、その金を稼ぐために役者になった」って言ってたらしいけど、この時点で既にもう手に入れてたってことか。




澄ちゃんに今まさに襲いかからんとしている青大将。
青大将のキャラがまた初期の作品のような設定に戻ってる?





思いっきりヘソを曲げている澄ちゃん。
しっかし、このシーンの前の台詞がスゲぇ。
雄一に向かって、
澄子:「なによ! スマして気取っちゃって! 女なんかに興味ないような顔しちゃって! 石山さんのほうがずっと正直だわ。アタシのこと好きだって言うし、ちゃんとそういう風に行動もするし。ああいうことは勇気がなくちゃできないわよ!」
青大将に襲われそうになったところを若大将に助けられたクセに、こういうこと言える性格ってコワいんですけど。





前作同様、雄一が澄子に対して「石山のことをどう思う?」と訊く場面もある。
しかも今回はこの時点でかなりマズーな状況になっている(というか毎度のごとく澄ちゃんの一方的な誤解とも言えるんだけど)ので、澄子のご立腹度合いはMaxともいえる状態で、雄一はいつも以上に落ち込んだ状態で大会に臨むことになる。(今回は第1作目と同じ水泳)
その分、例の【スーパー若大将モード】の爆発力が目立つわけだが、あの大観衆の中、しかも本人はプールで泳いでいる状態で澄ちゃんの声援が本当に届いたのか甚だ疑問なんだけど、まあそこは映画ってことで。
でも迫力という意味では前作の【ハワイの若大将】よりは良かった感じ。
水泳が得意な加山雄三だけあって、充分な見応えだと思った。


怒り頂点ともいえる表情だけど、それがまたなんとも言えず萌え~な澄ちゃんの表情。
ただ、若大将も今回は青大将のお父さんから直々に頼まれちゃってるからね~。
今回は若大将側に同情しちゃうよ。





すべての誤解を解いて雄一の気持ちに応えるために会場に駆けつけて声援を送る澄ちゃん。(例のごとく青大将はアッシー君状態)
…なんだけど、やっぱこの状況の中じゃ、いくらなんでも若大将には聞こえないと思うんだけどね~。




※おまけ
若大将が【恋は紅いバラ】を歌う場面にエレキの神様、寺内タケシの若き日の姿が!
彼は次作の【エレキの若大将】で大活躍するんでお楽しみに。


ハワイの若大将

2009年10月23日 | 【若大将シリーズ】
シリーズ第4弾【ハワイの若大将】。
タイトルからもわかる通り、シリーズ初の海外ロケが含まれた作品。

前作から青大将の扱いが変わってきたとレビューしたけど、今作でも引き続き踏襲されている。
なんと今回はヨット部所属の若大将のパートナー選手なのだ。
終盤の大会場面ではこのコンビが力をあわせて優勝するという流れになっていて、これは前作までのシリーズには無い要素となっているのが新鮮。
この大会場面で青大将が若大将のチームメイトになっているという設定は、今後のシリーズでもいくつか出てくるようになる。
(【エレキの若大将】のアメラグとか【レッツゴー!若大将】のサッカーとか)
またストーリーが【ハワイへ行った青大将を若大将が連れ戻すためにハワイへ飛ぶ】というものになっているため、ハワイ滞在中の場面でも若大将と青大将が行動を共にする場面が多い。
前作同様【赤マムシ】に乱暴されそうな澄ちゃんを若大将と青大将が一緒に追いかける場面もあったりして、前作以上に青大将ファンには堪らない作品になっているんじゃないかな。
純粋に「青大将ガンバレ!」って声を掛けたくなる場面もあるし。


今回はこのコンビで大会に臨むことになる。
ということは、【スーパー若大将モード】についてこられる青大将もかなりのスポーツマンということになるのか?





今回も赤マムシの毒牙にかかってしまいそうな澄ちゃんをこのコンビで追いかけるんだけど、青大将がとんでもない台詞を言ったり。

青大将:「赤マムシの車に乗っかって処女でいられたやつはいないとまで言われてるんだよ。安心出来るもんかい。」
若大将、ちょっと不安げな表情。
青大将:「澄ちゃん、バージンだよな?」
若大将:「ナニを言ってんだ、オマエは! バカヤロウ!」

いや~、「バージン」なんて言葉、久々に聞いたよ(笑)。




舞台がハワイということと、取り上げられているスポーツがヨット競技であるということで、海のシーンが盛り沢山なのも今作の特徴。
次作が【海の若大将】とその名の通り海を舞台にしたものであり、連続して海のシーンが満載の作品が作られたことで、【加山雄三=海】のイメージがこのあたりで定着したものと思われる。
しかしサーフィンのことを「波乗り」って言ってるあたり、まだまだ日本ではサーフィンが一般的ではないことを表しているようで、時代を感じるね~。


ココの台詞で【波乗り】って言ってる。
雄一:「澄ちゃんのせっかくの休み、潰しちゃ悪いからなァ。」
澄子:「そうこなくっちゃ。ここはレディファーストの島ですからねッ。」
雄一:「よしッ、じゃ、波乗りやるかっ!」
澄子:「賛成っ!」





その【波乗り】でボードから転落する若大将。
演技なのかマジなのか判らんけど、結構ハデにぶっ飛んでる。




【若大将シリーズ】には歌のシーンが付きものだけど、今作から主演の加山雄三本人作曲の楽曲がいくつか登場する。
中でも今作に出てくる【恋は紅いバラ】は師匠もカラオケでよく歌うので思い入れがあるな~。
(劇中では英語の歌詞で歌ってるけど、師匠が歌うのはもちろん日本語版ね)
曲間のセリフがかなり恥ずかしいので、酒入ってないと歌えんけど(笑)。
そして歌と言えば、若大将と青大将と澄ちゃんの3人が、エンディングのシーンで一緒に歌を歌うということも見逃せない。
こんなの他のシリーズ作品じゃ見れないし、珍しくもあり貴重でもあるシーンだと思う。


これがその貴重なシーン。
若大将と澄ちゃんのデュエットや、青大将のソロなどの歌のシーンは今後のシリーズで出てきたりもするけど、この3人が一緒というのはちょっと見られない。





雄一と澄子の気持ちの行き違いの描写は、いつもと同じようで、でもよく見るといつもと違っている感じがする。
澄子がヤキモチを焼く描写もあるにはあるが、それよりも若大将が青大将にせがまれて澄ちゃんに「石山のことどう思う?」なんて訊いたりする、若大将が空気を読めないことに対してスネてしまうことのほうが強い印象を与えているように見えるかな。
頼まれたらイヤとは言えないという若大将のキャラ設定を設定どおりに表した場面と言えるけど、これはさすがに澄ちゃんに同情してしまうシーンだね~。


せっかく2人でダンスしている場面なのに、真剣になって青大将のことを「アイツはいいやつなんだ」と力説する、空気の読めない若大将。
ま、こういうところがこのシリーズの定番になっている面白さと言えなくもないが…。




このあたりからシリーズも文字通り波に乗ってきた頃なんじゃないかな~って思わせるような、そんな雰囲気を感じさせる第4作目だけど、まだ勢いみたいのは足りないかなって思う。
ヨット競技っていうのもちょっとマイナー杉っつーか、最後の追い上げのシーンの迫力がちょっと不足っていうか…。
でもハワイという舞台はうまく使ってるかな、って思えるけどね。

日本一の若大将

2009年10月17日 | 【若大将シリーズ】
シリーズ第三作目となる【日本一の若大将】。
若大将シリーズの中ではまだ見たことが無かったので、ちょっと新鮮。
この作品はシリーズの中ではちょっと変わっている点がいくつか見られる。
ターニングポイントとでも言えばいいのかな。

これまで若大将のライバル役といった感じだった、田中邦衛が演じる石山新次郎こと【青大将】。
彼の扱いがこの第3作から大きく変わって来ている。
これまでは若大将と澄ちゃんとの間のお邪魔虫的存在でしかなかったのが、若大将の親友(って言っていいのかちょっと疑問符も付くが…)とも言える設定に変わっている。
雄一が所属するマラソン部のマネージャーになったり、勘当された青大将を若大将が家に居候させてやったり、青大将がパパにおねだりして買ってもらったボートの代金の半分を、青大将が勘当されて払ってもらえなくなったことを助けるために若大将が実家の預金をおばあちゃんに頼んで出してもらうことにより、若大将まで親父に勘当されて、結局若大将と青大将が一緒にボート生活をするハメになるなどなど…。
こういう設定により若大将と青大将が一緒にスクリーンに映る場面が劇的に増えて、準主役的存在にまでなっているのだ。
(代わりに完全なる悪役として【赤マムシ】なるキャラクターが設定されることになる)
この変更は今後のシリーズでも見られるようになるが、この変更は大成功だと思う。
これによって前2作が加山雄三ひとりだけの牽引力による作品と言えるのに対し、今作以降のシリーズが加山雄三&田中邦衛のコンビによる力を持ち始めたと言えると思うし。
この力があったからこそ、10年もの間、シリーズを継続させることができたんじゃないかな。
また青大将が相変わらず若大将の恋敵である点は変わらないのだけど、最後に澄子の気持ちが雄一にあることを知ったあとの反応が他のシリーズとこの作品とでは大きく違うのだ。
これまでは単に「チキショー」的な台詞とともに澄ちゃんのアッシー君になるだけだったが、今作では澄ちゃんの気持ちを理解したうえで自らが身を引く、といった感じで描かれている。
アッシー君になるのは同じだけどね。

赤マムシの毒牙にかかりそうな澄ちゃんを助けるために一緒に向かう若大将と青大将。
この作品からこのコンビで映る場面が非常に多くなってくる。





澄子の気持ちが雄一にあることを知ってガックリ来るも、「わかった、いいよ、わかった」と潔く澄子のことを諦める青大将。
このシーンの存在のおかげで、今作品の中の青大将は非常に男気のあるキャラとして描かれていると感じる。





次に星由里子が演じるマドンナ役澄ちゃんの性格がちょっとずつ過激になってきている点。
ヤキモチ焼きなのは変わらずだが、その描写が結構キツくなっているような…。
勝手に勘違いして、勝手に嫉妬して、雄一に当て付ける(今作ではなんと雄一の前で赤マムシの誘いを受けてしまう)、といったわがままな性格描写がされているのは、キャラクターの個性を際立たせるのには有効だと思うのだけど。
その分、最後で気持ちを伝えるシーンが盛り上がることになるんだけど、マラソンの試合中に追っかけていって「雄一さんのこと、好きよ~」って言うのはどうよ?
普通なら警備のひとに止められるよ、って思うけど、映画だからなんでもアリっつーことで。

マラソンの試合中の雄一を突如として追いかけて来て、「雄一さん、あたし雄一さんのこと好きよ! 好き好き! 大好きよあたし!」なんていうぶっとんだ告白をする澄ちゃん。
このあと雄一は例のごとく【スーパー若大将モード】になって優勝しちゃうわけ。





で、最後は、なんと若大将の就職先が決定している点。
面接のシーンなんかが入ってるのはこの作品だけだろう。
これは本来このシリーズがこの3作目で終わる予定だったかららしい。
そのためかエンディングでも雄一と澄子が完全に結ばれた形で描写されているし、澄子が青大将を慰めるシーンまで入ってたりするし、妹の照子のお相手も江口で確定されてたりする(これだけは今後のシリーズでも使われるんだけど)。
しかもエンディングで歌っている歌がこれまた非常にアニメ主題歌的な歌詞だったりするし。
【♪オ~レ~は、わか~だ~いしょ~】なんてフレーズで歌われたら、「ジャイアンか!」ってツッコミたくなる。
ウエーハッハッハ ウエーハッハッハ ウエーハッハッハ
でも結局のところこのシリーズは続投されることになって、このエンディング設定は今後のシリーズではなかったものとされるわけ。
シリーズが完全なパラレルワールド的な設定なのに、この作品だけちょっと風味が違うのはそういう事情があったからみたい。
次作の【ハワイの若大将】からはまた元の感じに戻るから、ま~これはこれ、って感じで見ればOKかな。

これが「ジャイアンか!」とツッコミたくなる歌を歌っている若大将。
歌詞を知りたいひとは下記URLを参照してみて。
(リンクにはしてないのであしからず)
http://j-lyric.net/cd/zB00005V4DT/t304714.html




就職決定と澄子とのハッピーエンド確定の証拠がコレ。
他のシリーズでは見られない要素。

銀座の若大将

2009年10月13日 | 【若大将シリーズ】
若大将シリーズレビュー、まだまだ続きますよ~。
今回は二作目の【銀座の若大将】。

前に見た時はなんとなく見ていただけだったからそれほど気にはしなかったが、改めて見ていて、食べるシーンが随分多いなってことを感じた。
取り上げられているスポーツがボクシング(劇中では【拳闘】って言ったりしている。時代を感じますな~。)なので減量ネタと絡めやすかったんだろうけど、個人的には、若大将のイメージをもっと身近なものとするためのディレクターの計らいなんじゃないのかな、って思った。
劇中で若大将が「1日に5回メシを食うもんですから~」なんていうセリフを言ってたりするし、設定固めの意味もあったんかな~?とかね。
視点を変えて見るといろいろとオモロいな。


大学での講義中に早弁する若大将。
ドカベン食ってるけど、加山雄三本人もこのころは自宅からドカベン持参で撮影所通いしていた、ってどっかで読んだ。


軽音楽部に差し入れされたラーメンを、【誰から誰への差し入れかを確認しないまま、「頼んだヤツ来ねぇうちに食っちゃえ、食っちゃえ」と言いながら食っちまう】若大将。


ボクシング試合前の減量中なのに実家の鉄板焼き(ホントは澄ちゃんのために用意されたもの)を食おうとして、おばあちゃんに止められる若大将。
このあとの雄一のうらめしそうな顔がなかなか笑える。

食べるシーンは他にもまだまだある。
(同級生とレストランに入ってステーキ食うとか、恒例の部活でマネージャーの江口がとんでもないものを食わせるシーンとか。しかも今回は残飯鍋。)
あと食べるシーンじゃないけど、アルバイト中に客に出す料理を見て腹の虫が鳴ったりするのも、若大将を単なる二枚目キャラにはしないという脚本家の意図が見えてくるような感じ。

ストーリー展開はいつもの黄金パターンだけど、最後の部分(祝勝会シーン)でのセリフが面白い。
大会で勝利してプロからのスカウトまで来ている状態に対して、

雄一「わたくしはプロ入りはいたしません。」
一堂どよめく。
雄一「あんな腹の減るスポーツはたくさんです!」
一堂笑い。

こういうところも【若大将=食いしん坊】のイメージ定着を狙ってのことかと思えたり。
しかもエンディングは、減量しなくてもよくなったので満面に笑みをたたえて肉に食らいつくシーンで終わってるし。

こりゃ演技じゃなくて加山雄三の地じゃないのか?って思えるほどだな。

大学の若大将

2009年10月11日 | 【若大将シリーズ】
最近急にまた見たくなってTSUTAYAで【若大将シリーズ】を借りて来て見てる。
以前はレンタルのVHSビデオで見たわけだけど、もう20年くらい前のことかな~。

つーわけで、ちょっと映画レビューのマネごとでもしてみようかと。
今回は【若大将シリーズ】第一弾の【大学の若大将】から。

あらためて見直すと、「やっぱこのころの加山雄三若いな~」って思うね。
【若大将シリーズ】って確か10年くらい続いてたみたいなんで、後のシリーズと比べるとやっぱ鮮度(笑)が違って見えるわ。
今後続いて行くシリーズのワンパターンストーリーがこの作品で出来上がってるってのを考えながら見たら、以前見た時とは視点を変えて見られたんで、新しい感覚で見ることが出来たのもなんか不思議なカンジ。
一口にワンパターンって言っても、このシリーズにおけるワンパターンはマンネリ感ではなく安心感を産むタイプのほうだと思うから嫌いじゃないし。
水戸黄門や暴れん坊将軍のような時代劇と同じ感覚のワンパターンに思えるからだと思う。
それと今更ながらに気づいたんだけど、雄一が澄ちゃんに【好きになった理由】を直に伝えてるってのはこのシリーズ第一作だけなんじゃね?


雄一「ボクはね、ホントのことを言うとね…」
澄子「ホントのこと?」
雄一「女の子にあんまり関心がないんだ。でも、年寄りに親切なひとは別だ。つまり…澄ちゃんは……好きだ…。」

これは上の画像のシーンの台詞なんだけど、こういう【雄一から澄子への告白シーン】って他のシリーズには無かったような気がするんだよな~。
ま、これからまた他のシリーズも見て調べてみることにするよ。
とりあえず大学生編が終了する【リオの若大将】までは見るつもりだし。