【阿多羅しい古事記/熊棲む地なり】

皇居の奥の、一般には知らされていない真実のあれこれ・・・/荒木田神家に祀られし姫神尊の祭祀継承者

付記7c: アフリカの事件

2024年03月01日 | 歴史
 
現地の警察や裁判所で訊かれました。何故、私だけが助かったのかと。
 
 
小学生の私は次のように説明しました。私の「暗殺未遂」だったのではないかと思います。案内人の白人男に、折りたたみナイフで脹脛(ふくらはぎ)を切られました。たぶん、血の臭いで集まって来るライオンの群れに私が噛み殺される、という事故死を装った殺人計画だったのではないでしょうか?
 
自分の家からは皇宮護衛官に拉致されました。洋服は宮内庁で着替えさせられたと思います。でも、どうやってアフリカまで来たのか覚えていません。もちろん飛行機に乗ったのでしょうが、飛行機の中での記憶が無いのです。・・・パスポート? 持っていません。紛失したのではなく、最初から私は何も持っていませんでした。皇宮護衛官が持っているかも知れません。いつもはそうです。・・・自動車に乗せられた時? それも覚えていません。ああ、「後ろに乗れ」と言われたように思います、護衛官にです。降りる時は、運転していた白人の男が先に降りて、後部のドアを開けて「降りろ」と言いました。男はナイフを持っていました。護衛官は私の隣、後部座席に乗っていましたが、車から降りませんでした。
 

 


 

 

 

 


① 自動車は白色の4ドア乗用車で、運転席に白人男(A)が、後部座席に皇宮警察護衛官(B)と私が乗った。ジャングルの中の少し開けた草地の中央に、自動車は停まった。白人男(A)が私に折りたたみ式ナイフを突きつけ、「車から降りて、歩け」と言った。(日本語だったので、在日米軍兵なのだろうか?と思った。皇宮警察から金を貰って、雇われたのかも知れない) 草地の隅に木造の小屋が一つ建っており、男は私を連れてその中へ入ると、ナイフで私の脚を7センチほど切りつけた。

 

 

② 白人男(A)が小屋を出て行った直後に、大きな獣が走る足音が聞こえ、男の叫び声があがった。私は息を詰めて、ドアから後ずさりして離れた。(後で思い出したのだが、男は私の脚を切る前に、すでに、「ライオンが来ている」と言った。ライオンは私たちが到着する前から待ち伏せていたようだ)

 

 

③ 私は意を決して、自動車まで走ることにした。迷っている時間は無かった。ただ一瞬、車のドアの鍵が開いていたかどうかを思い出せず、恐怖で足がすくんだが、本当に幸運なことに運転席側の鍵はかかっていなかった。

私は車の中へ飛び込んだ。が、すぐに新たな恐怖の悲鳴をあげた。窓が10センチほど開いていたのだ。運転席も、助手席も、後部も。私はうわごとのように何か言いながら、窓を開閉する取手をくるくる回した。二つ目の窓を閉め始めた時、後部座席から護衛官(B)が「閉めるな。そのままにしておけ」と怒鳴った。「だって、ライオンがいるのよ!」「馬鹿。ライオンは窓を開けられない」 そうかしら・・・

 

 

④ 護衛官(B)は身をよじって後方を見ながら、「ライオンは何匹いたか?」と私に訊いた。「分からない。四匹か、五匹・・・」「お前、降りて行って、見てこい」「厭!」 私は耳に蓋をして、また窓を閉め出した。「閉めるな」と護衛官が怒鳴ったが、聞こえない振りをした。

その後、護衛官(B)は不可解なことを言い出した、「お前、そっちの鍵を開けろ。今、閉めた所だ。それから後ろへ行け、俺が前に行くから。言うことをきかないとこれだぞ。もう一度言う、そこから外へ出て、それから、後ろへ乗れ」・・・これだぞ、という意味が分からなかったが、私はもう何かを考える余裕は無かったので、護衛官が開けろと言った運転席側の鍵を開けた。しかし、外へは出ずに、座席の背もたれを乗り越えて後部座席へ移った。

護衛官(B)は、後部のドアを開けて外へ出ると、素早く運転席側のドアを開けて乗り込み、エンジンをかけた。その間に、私は後部の窓を一つ閉めた。護衛官は大声で何か言っていたが、ともかく自動車は発車した。ところが、10メートルも前進したかと思ったら、自動車が停止し、エンジンが切られた。そして護衛官(B)はドアを開けて、前方の林へ向かって走って行ったのだ。ライオンが二匹、追いかけて行った。

(この護衛官(B)の行動について、後で裁判所で何度か訊かれた。何故、男は車を降りたのだ? ・・・ライオンが護衛官を追いかけて行った後、銃声が聞こえた、一発だけ。護衛官は銃を持っていたので、脚を切られて出血している私と一緒に車中にいるより、高い樹に登ったほうが安全だと思ったのかも知れない)

 

 

⑤ 私は一人になったが、休息する時間は無かった。再び座席を乗り越えて運転席に移動し、護衛官(B)が開け放したまま行ったドアを閉めなければならなかった。その時、突然、草地を疾走する足音が近づいて来た。左方の茂みの中から、槍を持った原住民(C)が自動車へ向かって走って来たのだ。私は悲鳴をあげた。後部の窓がまだ一つ、開いていた。原住民(C)は7、8センチ開いていたその窓の隙間から槍を入れて、てこの要領でこじ開け、手を突っ込んで鍵を開けて、自動車へ乗って来た。私は助手席のダッシュボードを引っかき回して、これも本当に運よく小型銃を見つけた。振り向くと、原住民(C)が槍で私の頭を突いた。が、座席の背もたれが邪魔して、私は額に切り傷を負っただけだった。私は背もたれに顔を隠して、一発、撃った。大きな発砲音の他に、声は聞こえなかった。急いで後部座席へ移動して、窓を完全に閉めた。原住民は一人ではなく、他にも数人いた。私はもはや絶対に自動車から出ないことを決心した。

 

 

⑥ 真っ暗闇の一夜が過ぎた。深夜にライオンが自動車の腹に足をかけてガリガリと爪でかく音が聞こえたが、私は疲れ果てて、座席に伏せたまま、頭を上げる気力も失せていた。

翌朝、車の右方向に、救助のヘリコプターが来た。ところが、ヘリコプターは下降しながら樹に引っかかって、先頭部を下げた格好で、黒い煙を吐いていた。ただ一人、白人男(D)が幹をつたって降りて来たので、私は運転席側のドアを開けて「こっちだ、こっちだ」と呼んでやった。

白人男(D)は自動車へ乗り込むと、私に「後ろへ行け」と言った。私は、後部座席へ移動した後、背後を指さして、「ライオンがいる」と大声で言った。後方ではライオンが白人男(A)を喰っているのだ。次に私は前方を指さして、「あそこにもライオンがいる」と言った。前方では、護衛官(B)の姿は見えなかった。私が「ライオン」という言葉を五回も六回も繰り返したからだろうか、男は怒って「黙れ」と怒鳴った。そして、額の傷から流れ出た血が目まで届いている私の顔を睨むように見ながら、その傷はどうしたかと訊いたので、私は横で息絶えている原住民に槍で刺されたと答えた。

そうしているうちに、樹の上に載っていたヘリコプターが、さらに傾いて、枝を折って、数人の人間がポロポロ落ちて来た。白人男(D)は先ほど自分で鍵をかけた運転席側のドアを、開けた。私は叫んだ、「ライオンがいる! やめろ! あ、あなたはライオンを見なかったの?」 しかし、男は車から降りた。走ろうとする男は、恐怖で足が硬直しているのか、動作が非常に緩慢だった。自動車の反対側から、ライオンが足音も無く現れて、男に飛びかかった。私は助手席の足下に落ちていた銃を探して、ライオンを狙った、が、獣はすでに5匹くらいに増えて、男の体はその下に見えなくなった。一匹の頭を狙って撃ったが、男にも当たったかどうか分からなかった。

この白人男(D)の行動についても、裁判所で訊かれた。「彼は自ら自動車から出たと言うが、彼は何か見たのか?」 私は、他の救助隊員が樹から落ちて来たことを言った。それで、救助しようと思ったのか・・・ しかし、ライオンがいるのだ。ヘリコプターが地面に落ちるまでには時間があったので、仲間の男たちも最初の男(D)と同様に幹をつたって降りることができたかも知れないのに、実際には荷物のように落下したことを考えると、歩けないほどの怪我をしていたということだろうか?

 

 

⑦ 左上空に、二機目のヘリコプターが来た。しかし、これも樹に引っかかって墜落した。(この時代のレスキュー隊はまったく訓練不足としか言いようがなかった) 人間が次々と機体から落ちて来た。小屋の近くで白人男(A)の遺体に群れていたライオンが、落ちた人間を目指して疾走して行った。