違うことこそ素晴らしい be different what great

一人一人の違いを認め合い豊かな社会を創ろう。
http://goo.gl/i3ZDg

公務員の政治的行為制限については、これまでも憲法が保障する表現や政治活動の自由との兼ね合い

2010年04月01日 | Weblog
元気の素 人気blogランキングへ
機関紙配布逆転無罪 異例の付言に耳を傾けよ
 公務員の身分で共産党機関紙を配布したとして、国家公務員法違反(政治的行為)の罪に問われた元社会保険庁職員に対し、東京高裁は一審判決を破棄し、逆転無罪を言い渡した。
 国家公務員の政治的行為制限については、これまでも憲法が保障する表現や政治活動の自由との兼ね合いが問われてきた。高裁判決は、表現の自由を尊重するとともに、刑罰の適用に慎重な検討を求めるもので妥当な判断だ。
 元職員は衆院選を控えた2003年秋に機関紙号外などを配布して逮捕、起訴された。勤務時間外の私的行為で行政の中立性を侵害しないとして無罪を訴えていた。
 高裁は主張通り単独判断による単発行為と認定し、罰則の適用は憲法違反だと判断した。そもそも罰金刑を言い渡した一審も同じ理由から執行猶予をつけており、処罰の必要性については大いに疑問があったといってよい。
 当初から逮捕は行き過ぎだと批判されていた。04年当時は、ビラや機関紙配布に対して住居侵入や国家公務員法違反容疑での立件が相次いでいる。恣意(しい)的捜査がなかったかについて検証が必要だ。
 政治活動制限の憲法判断としては、郵政事務官による衆院選候補者ポスターの掲示・配布が問われた猿払事件がある。最高裁は1974年に「(制限が)合理的でやむを得ない限度にとどまる限り憲法に違反しない」との判断を示し、今事件の一審や類似事件の判決で踏襲されてきた。
 罰則適用を「必要やむを得ない限度を超えた制約」とした高裁も、大枠は最高裁判決をふまえる。国家公務員法の政治活動の制限そのものについても合憲とした。
 ただ、一歩踏み出した判決として特筆すべき点がある。国内外の社会的情勢の変化をふまえた法規定見直しの必要性に言及したのだ。
 指摘する変化のひとつは国民の意識。民主主義の成熟に伴って表現の自由に対する認識が深まり、公務員の政治的行為に対しても許容的になったとする。処罰については、国民の常識に照らして慎重に判断すべきとの見解だ。
 さらに世界標準の視点から見直しを求める。西欧先進国などと比べ規制が広範であることに触れ、刑事罰対象とすることの当否や範囲の再検討を促す異例の付言をした。
 公務員には行政運営の中立性を守る必要はあるが、過度な制限による表現の自由の侵害は避けねばならない。そのバランスは難しいが、市民感覚とかけ離れてはならないということだろう。
 選挙制度や政治活動のあり方について、見直すべき時期にあることは確かだ。高裁判決をふまえ国会の議論も加速させたい。

最新の画像もっと見る

post a comment

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。