第Ⅴ章 3.架構を考える例1:内外大壁使用 2階床組伏図例(左部分小屋伏図)(断面図はPDF38頁)
梁組の検討手順 [2階建て部分の四隅を通し柱とする]
①外周と1階主要間仕切りの位置に、胴差と梁を配置する。
食堂・台所の上部は、平屋部分の屋根であるが、1階全体を構造体として固めるため2階床と同時に考えるのがよい。
胴差と梁の高さ関係は天端そろい、もしくは胴差の上に梁を乗せ掛けるのどちらかを考える。→ ④
②2階床面全体を十文字に組むことを考える。→床面を安定させるため。 外周および [五通り]に胴差・梁を架ける。
③梁は通常1間(約1.8m)間隔で入れる。居間・10帖・玄関の梁位置を検討する。
梁を掛ける位置は、なるべく梁下に1階管柱がある所とする。上部の荷重を無理なく基礎に伝える。→1階管柱位置の再検討もありうる。
ここでは和室 [は通り]・[ほ通り]および居間中央 [ち通り]に梁間2間の梁を架ける。(梁を [ろ・に通り]に架ける方法もある。) 玄関 [り通り]には梁間1.5間の梁を架ける。
④各床梁の丈を決め、梁を受ける胴差と梁の高さ関係を調整し、胴差丈の検討を行う(←矩計図のスケッチ)。
一般的な梁・胴差の丈(成) (曳割寸法) 幅120mmとするスパン1 間 180~210mm 1. 5間 240~270mm 2間 270~300mm 上記寸法は、「単純梁」としての標準的な数字である。
天端同面の場合→胴差の丈は、胴差スパンに関係なく梁丈同寸以上必要。梁を胴差に乗せ架ける場合→胴差の丈は胴差必要丈で決められる。(ただし、スパンに応じた極端な増減は避ける。)
⑤梁間2間の梁を安定させるため、梁間の中間[三通り]に小梁を入れる。
⑥1階の間仕切桁:[六通り]と[ろ通り] および 2階間仕切桁:[四通り]を入れる。
⑦半間(約0.9m)ごとに根太を受けるための小梁(大引に相当)を入れる。床仕上げ材の張り方向により、入れる向き・位置を決める。
1階小屋部分
①平屋部分と2階建部分とを十分に―体とするためには、平屋部分の軒桁と2階建部分の胴差は天端をそろえ、また[わ通り]の妻梁は、2階床梁と天端をそろえる方がよい。
材の丈も、胴差・床梁とほぼ同じにする方が好ましい。
②小屋梁の架け方は図の3様が考えられる。
A)[三・六・八通り]に桁行方向の梁([わ~ぬ]間)を架け、それらに直交して[を通り]に小梁を架ける。
B)[三・七通り]に桁行方向の梁([わ~ぬ]間)を架け、それらに直交して[を通り]に小梁を架ける。
C)一般に見られる方法であるが、2階建部分と平屋建部分とのつなぎは軒桁と敷桁だけである。
A)B)は総2階部分の梁とつながり、また小梁を入れることにより小屋面の剛性が高まり、架構全体の強度が高まる。
(小屋組の詳細は次章)
架構を考える例1:2階床組伏図例(左側小屋伏図)(断面図はPDF38頁、基礎伏図は39頁、土台伏図58頁)
総二階部分の四隅を通し柱とし、胴差・梁を継手で延長し、1階管柱で支える。
通し柱:6m 12㎝(4寸)角 又は 15㎝(5寸)角。 管柱:3m 12㎝(4寸)角。 梁・胴差・軒桁:5m、4m、3m、4/2m材。
胴差・梁は、天端同面で組む。外周部と[ぬ・ほ通り][五通り]を十文字に組み、架構の主要部とする。
主要部の胴差・梁は、1階の管柱間隔から丈7寸(210㎜)程度で可能だが、より堅固にするため、8寸(240㎜)以上の材を用いている。
なお、材寸は挽き割り寸法(仕上げ前の寸法)で表示。
〇 この伏図案では、建物奥 [ぬ一]の三方差しより組み始める。
〇 胴差・梁を天端同面で組み、2階管柱の根ほぞを長ほぞで確実に納める。
〇 胴差・梁は、1階管柱の間隔にかかわらず、ほぼ一定の断面(幅×丈)で連続させる。
〇 通し柱への胴差・梁の仕口:小根ほぞ差し割り楔締め、または小根ほぞ差し込み栓打ち。
〇 [ぬ通り]通し柱への胴差・梁の仕口:竿シャチ継ぎ(または雇い竿シャチ継ぎ)。
〇 [ぬ八]を通し柱としないで、管柱とする方法もある。右図→ →
〇 胴差・梁の継手:追掛け大栓継ぎ。
〇 胴差と梁の仕ロ:大入れ蟻掛け、または胴突き付き蟻掛け(通常は羽子板ボルトなどで補強)。
〇 1階管柱の頭ほぞ、2階管柱の根ほぞ:長ほぞ(込み栓打ちとすればさらに良)。
〇 床下地板:構造用合板(筋交いを用いない)。
架構を考える例2 2階床組
-A:総二階の四隅を通し柱とし、胴差・梁を継手で延長し、1階管柱で支える。内外大壁。
-B:総二階の四隅と中央部を通し柱とする。(内外真壁仕様、内外大壁仕様、内真壁・外大壁仕様)
①外周と1階主要間仕切りの位置に、胴差と梁を配置する。
胴差と梁の高さ関係は天端そろい、もしくは胴差の上に梁を乗せ掛けるのどちらかを考える。
②2階床面全体を十文字に組むことを考える。外周および [ほ・四通り]に胴差・梁を架ける。→床面を安定させるため。
③梁は通常1間(約1.8m)間隔で入れる。居間・食堂、台所の梁位置を検討する。
梁を掛ける位置は、なるべく梁下に1階管柱がある所とする。上部の荷重を無理なく基礎に伝える。→1階管柱位置の再検討もありうる。
ここでは、居間・食堂および台所の [は通り]に梁間2間・1間半の梁を、[へ通り(2階間仕切り桁)]を架ける。
④各床梁の丈を決め、梁を受ける胴差と梁の高さ関係を調整し、胴差丈の検討を行う(←矩計図のスケッチ)。
一般的な梁・胴差の丈(成) (曳割寸法) 幅120mmとするスパン1 間 180~210mm 1. 5間 240~270mm 2間 270~300mm 上記寸法は、「単純梁」としての標準的な数字である。
天端同面の場合→胴差の丈は、胴差スパンに関係なく梁丈同寸以上必要
梁を胴差に乗せ架ける場合→胴差の丈は胴差必要丈で決められる。(ただし、スパンに応じた極端な増減は避ける)
⑤2間の梁を安定させるため、梁間の中間[三通り]・[七通り]に小梁を入れる。
⑥1階の間仕切桁:[三通り]と[六通り]・およびおよび2階間仕切桁:[へ・五通り]を入れる。
⑦半間(約0.9m)ごとに根太を受けるための小梁(大引に相当)を入れる。
床仕上げ材の張り方向により、入れる向き・位置を決める。
架構を考える例2-A:2階床組 内外大壁使用
総二階の四隅を通し柱とし、胴差・梁を継手で延長し、1階管柱で支える。
通し柱:6m 12㎝角(4寸) 管柱:3m 12㎝角(4寸) 梁・胴差:5m、4m、3m、4/2m材。
胴差・梁は、天端同面で組む。
〇外周部と[ほ通り][四通り]を十文字に組み、架構の主要部とする。
〇この伏図案では、 [ぬ一]通し柱より組み始める。
〇胴差・梁は、1階管柱の間隔にかかわらず、ほぼ一定の断面(幅×丈)で連続させる。
主要部の胴差・梁は、1階の管柱間隔から丈7寸(210㎜)程度で可能だが、より堅固にするため、8寸(240㎜)以上の材を用いている。
なお、材寸は挽き割り寸法(仕上げ前の寸法)で表示。
〇胴差・梁を天端同面で組み、2階管柱の根ほぞを長ほぞで確実に納める。
〇通し柱への胴差・梁の仕口:小根ほぞ差し割り楔締め、または小根ほぞ差し込み栓打ち。
〇胴差・梁の継手:腰掛け鎌継ぎ+短冊金物。
○胴差と梁の仕ロ:大入れ蟻掛け、または胴突き付き蟻掛け(通常は羽子板ボルトなどで補強)。
○1階管柱の頭ほぞ、2階管柱の根ほぞ:長ほぞ(込み栓打ちとすればさらに良)。
○床下地板:構造用合板(筋交いを用いない)。
架構を考える例2-B:2階床組 内外真壁仕様、内外大壁仕様、内真壁・外大壁仕様
総二階の四隅と中央部を通し柱とする。
通し柱:6m 12㎝角(4寸) 中央部は15㎝角(5寸) 管柱:3m(12㎝角) 梁・胴差:5m、4m、3m、4/2m材。
胴差・梁は、天端同面で組む。
〇外周部と[ほ通り][四通り]を十文字に組み、架構の主要部とする。
〇この伏図案では、 [ぬ一]通し柱より組み始める。
〇胴差・梁は、1階管柱の間隔にかかわらず、ほぼ一定の断面(幅×丈)で連続させる。
主要部の胴差・梁は、1階の管柱間隔から丈7寸(210㎜)程度で可能だが、より堅固にするため、8寸(240㎜)以上の材を用いている。
なお、材寸は挽き割り寸法(仕上げ前の寸法)で表示。
〇胴差・梁を天端同面で組み、2階管柱の根ほぞを長ほぞで確実に納める。
〇四隅通し柱への胴差・梁の仕口:小根ほぞ差し割り楔締め、または小根ほぞ差し込み栓打ち。
〇中央部通し柱への胴差・梁の仕口:竿シャチ継ぎ(または雇い竿シャチ継ぎ)。
〇胴差・梁の継手:追掛け大栓継ぎ
〇胴差と梁の仕ロ:大入れ蟻掛け、または胴突き付き蟻掛け(通常は羽子板ボルトなどで補強)。
〇1階管柱の頭ほぞ、2階管柱の根ほぞ:長ほぞ(込み栓打ちとすればさらに良)。
〇床下地板:構造用合板(筋交いを用いない)。