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第Ⅴ章 架構例を考える

2021-03-17 11:55:08 | 同:通し柱と2階床組

第Ⅴ章 3.架構を考える例1:内外大壁使用 2階床組伏図例(左部分小屋伏図)(断面図はPDF38頁)

梁組の検討手順   [2階建て部分の四隅を通し柱とする               

  

①外周と1階主要間仕切りの位置に、胴差を配置する。

    食堂・台所の上部は、平屋部分の屋根であるが、1階全体を構造体として固めるため2階床と同時に考えるのがよい。

    胴差と梁の高さ関係は天端そろい、もしくは胴差の上に梁を乗せ掛けるのどちらかを考える。→ 

   2階床面全体を十文字に組むことを考える。→床面を安定させるため。 外周および [通り]に胴差・梁を架ける。

③梁通常1間(約1.8m)間隔で入れる。居間・10帖・玄関の梁位置を検討する。

   を掛ける位置は、なるべく梁下に1階管柱がある所とする。上部の荷重を無理なく基礎に伝える。→1階管柱位置の再検討もありうる。

   ここでは和室 [は通り]・[ほ通り]および居間中央 [ち通り]に梁間2間のを架ける。(を [ろ・に通り]に架ける方法もある。)  玄関 [り通り]には梁間1.5間のを架ける。

   ④床梁の丈を決め、梁を受ける胴差と梁の高さ関係を調整し、胴差丈の検討を行う(←矩計図のスケッチ)。

            一般的な梁・胴差の丈(成) (曳割寸法)  幅120mmとするスパン1 間 180~210mm 1. 5間 240~270mm  2間 270~300mm  上記寸法は、「単純梁」としての標準的な数字である。

   天端同面の場合胴差の丈は、胴差スパンに関係なく梁丈同寸以上必要。梁を胴差に乗せ架ける場合胴差の丈は胴差必要丈で決められる。(ただし、スパンに応じた極端な増減は避ける。)

⑤梁間2間の梁を安定させるため、梁間の中間[通り]に小梁を入れる。

1階の間仕切桁:[六通り]と[ろ通り] および 2階間仕切桁:[四通り]を入れる。

         半間(約0.9m)ごとに根太を受けるための小梁(大引に相当)を入れる。床仕上げ材の張り方向により、入れる向き・位置を決める。

 

                                                               

1階小屋部分  

        

 平屋部分と2階建部分とを十分に―体とするためには、平屋部分の軒桁2階建部分の胴差天端をそろえ、また[通り]の妻梁は、2階床梁天端そろえる方がよい。

  材の丈も、胴差・床梁とほぼ同じにする方が好ましい。

 ②小屋梁の架け方は図の3様が考えられる。

       

    A)[三・六・八通り]に桁行方向の梁([わ~ぬ]間)を架け、それらに直交して[を通り]小梁を架ける。

    B)[三・七通り]桁行方向の梁([わ~ぬ]間)を架け、それらに直交して[を通り]小梁を架ける。

    C)一般に見られる方法であるが、2階建部分と平屋建部分とのつなぎ軒桁と敷桁だけである。

  A)B)は総2階部分のとつながり、また小梁を入れることにより小屋面の剛性が高まり、架構全体の強度が高まる。                       

  (小屋組の詳細は次章)

 

 

架構を考える例12階床組伏図例(左側小屋伏図)(断面図はPDF38頁、基礎伏図は39頁、土台伏図58頁)

総二階部分の四隅を通し柱とし、胴差・梁継手で延長し、1階管柱で支える。

通し柱:6m 12㎝(4寸)角 又は 15㎝(5寸)角。 管柱:3m 12㎝(4寸)角。 梁・胴差・軒桁:5m、4m、3m、4/2m材。

胴差・梁は、天端同面で組む。外周部と[ぬ・ほ通り][五通り]を十文字に組み、架構の主要部とする。

主要部の胴差・梁は、1階の管柱間隔から丈7寸(210㎜)程度で可能だが、より堅固にするため、8寸(240㎜)以上の材を用いている。

なお、材寸は挽き割り寸法(仕上げ前の寸法)で表示。

    

この伏図案では、建物奥 [ぬ一]の三方差しより組み始める。

胴差・梁天端同面で組み、2階管柱の根ほぞを長ほぞで確実に納める。

胴差・梁は、1階管柱の間隔にかかわらず、ほぼ一定の断面(幅×丈)で連続させる。

通し柱への胴差・梁の仕口小根ほぞ差し割り楔締め、または小根ほぞ差し込み栓打ち。

〇 [ぬ通り]通し柱への胴差・梁の仕口竿シャチ継ぎ(または雇い竿シャチ継ぎ)。

〇  [ぬ八]を通し柱としないで、管柱とする方法もある。右図→  → 

胴差・梁の継手追掛け大栓継ぎ

胴差と梁の仕ロ大入れ蟻掛け、または胴突き付き蟻掛け(通常は羽子板ボルトなどで補強)。

〇 1階管柱の頭ほぞ、2階管柱の根ほぞ長ほぞ込み栓打ちとすればさらに良)。

〇 床下地板:構造用合板(筋交いを用いない)。

 

 架構を考える例2 2階床組

 -A:総二階の四隅通し柱とし、胴差・梁継手で延長し、1階管柱で支える。内外大壁。

 -B:総二階の四隅中央部通し柱とする。(内外真壁仕様、内外大壁仕様、内真壁・外大壁仕様)

   

①外周1階主要間仕切りの位置に、胴差と梁を配置する。

   胴差と梁の高さ関係は天端そろい、もしくは胴差の上に梁を乗せ掛けるのどちらかを考える。

   2階床面全体を十文字に組むことを考える。外周および [ほ・四通り]に胴差・梁を架ける。→床面を安定させるため。

梁は通常1間(約1.8m)間隔で入れる。居間・食堂、台所の位置を検討する。

   を掛ける位置は、なるべく梁下に1階管柱がある所とする。上部の荷重を無理なく基礎に伝える。→1階管柱位置の再検討もありうる。

   ここでは、居間・食堂および台所の [は通り]に梁間2間・1間半の梁を、[へ通り(2階間仕切り桁)]を架ける。

  床梁の丈を決め、梁を受ける胴差の高さ関係を調整し、胴差丈の検討を行う(←矩計図のスケッチ)。

   一般的な梁・胴差の丈(成) (曳割寸法)  幅120mmとするスパン1 間 180~210mm 1. 5間 240~270mm  2間 270~300mm  上記寸法は、「単純梁」としての標準的な数字である。

   天端同面の場合胴差の丈は、胴差スパンに関係なく梁丈同寸以上必要

   梁を胴差に乗せ架ける場合→胴差の丈は胴差必要丈で決められる。ただし、スパンに応じた極端な増減は避ける

⑤2間の梁を安定させるため、梁間の中間[三通り]・[七通り]に小梁を入れる。

1階の間仕切桁:[三通り]と[六通り]・およびおよび2階間仕切桁[へ・五通り]を入れる。

  半間(約0.9m)ごとに根太を受けるための小梁(大引に相当)を入れる。

   床仕上げ材の張り方向により、入れる向き・位置を決める。

                                 

架構を考える例2-A:2階床組 内外大壁使用

総二階の四隅通し柱とし、胴差・梁継手で延長し、1階管柱で支える。

通し柱:6m 12㎝角(4寸)  管柱:3m 12㎝角(4寸)  梁・胴差:5m、4m、3m、4/2m材。

胴差・梁は、天端同面で組む。

    

〇外周部と[ほ通り][四通り]を十文字に組み、架構の主要部とする。

〇この伏図案では、 [ぬ一]通し柱より組み始める。

胴差・梁は、1階管柱の間隔にかかわらず、ほぼ一定の断面(幅×丈)で連続させる。

 主要部の胴差・梁は、1階の管柱間隔から丈7寸(210㎜)程度で可能だが、より堅固にするため、8寸(240㎜)以上の材を用いている。 

 なお、材寸は挽き割り寸法仕上げ前の寸法)で表示。

胴差・梁天端同面で組み、2階管柱の根ほぞを長ほぞで確実に納める。

通し柱への胴差・梁の仕口小根ほぞ差し割り楔締め、または小根ほぞ差し込み栓打ち

胴差・梁の継手腰掛け鎌継ぎ+短冊金物

胴差と梁の仕ロ大入れ蟻掛け、または胴突き付き蟻掛け(通常は羽子板ボルトなどで補強)。

○1階管柱の頭ほぞ、2階管柱の根ほぞ長ほぞ込み栓打ちとすればさらに良)。

○床下地板:構造用合板(筋交いを用いない)。  

 

架構を考える例2-B:2階床組  内外真壁仕様、内外大壁仕様、内真壁・外大壁仕様

総二階の四隅中央部通し柱とする。

通し柱:6m 12㎝角(4寸) 中央部は15㎝角(5寸)  管柱:3m(12㎝角)  梁・胴差:5m、4m、3m、4/2m材。

胴差・梁は、天端同面で組む。

   

〇外周部と[ほ通り][四通り]を十文字に組み、架構の主要部とする。

〇この伏図案では、 [ぬ一]通し柱より組み始める。

胴差・梁は、1階管柱の間隔にかかわらず、ほぼ一定の断面(幅×丈)で連続させる。

 主要部の胴差・梁は、1階の管柱間隔から丈7寸(210㎜)程度で可能だが、より堅固にするため、8寸(240㎜)以上の材を用いている。

 なお、材寸は挽き割り寸法仕上げ前の寸法)で表示。

胴差・梁天端同面で組み、2階管柱の根ほぞを長ほぞで確実に納める。

四隅通し柱への胴差・梁の仕口小根ほぞ差し割り楔締め、または小根ほぞ差し込み栓打ち

中央部通し柱への胴差・梁の仕口竿シャチ継ぎまたは雇い竿シャチ継ぎ)。

胴差・梁の継手追掛け大栓継ぎ

胴差と梁の仕ロ大入れ蟻掛け、または胴突き付き蟻掛け(通常は羽子板ボルトなどで補強)。

〇1階管柱の頭ほぞ、2階管柱の根ほぞ長ほぞ込み栓打ちとすればさらに良)。

〇床下地板:構造用合板(筋交いを用いない)。  

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