見出し画像

gooブログのテーマ探し!

14.イギリス「賢明な選択:ポンドをユーロに統合せず」

 「賢明な選択:ポンドをユーロに統合せず」 一部引用編集簡略版

  1999年の年頭に、ヨーロッパ連合(EU)の15か国のうち、11か国が通貨を統合した。マルクやフラン、リラにかわって、ユーロが出現した。イギリスはEUのメンバーである(現状は脱退)にもかかわらず、すぐに通貨統合に加わることを見送った。賢明なことだ。イギリスでは通貨同盟への参加の是非をめぐって、論争が闘わされてきた。
  イギリスが通貨統合に参加するのを躊躇している最大の理由は、EUの通貨統合が最終的な政治統合へ向けた通り道となっているためである。通貨を統合したEU11か国は「ユーロランド」と呼ばれている。だが、多くのイギリス人がユーロランドに、かつてのナポレオンやヒトラーの影を見ている。イギリスにはユーロランドの外にあって、日本のように独立した経済大国となるべきという議論がある。

  しかし、EUの通貨統合や政治統合は、世界のグローバリゼーションの潮流に逆らうものだ。今日では、ユーゴスラビアやソ連、チェコスロバキアが分裂したように、民族がいっそう自分の道を歩もうとするようになっている。スペイン、イタリア、フランス、ベルギーでも、同じような動きが強まっている。EUの統合は時代を錯誤したものだ。イギリスでさえ、スコットランドがこれまでイングランド、ウェールズ、アイルランドとともに連合王国をつくってきたが、分離独立する可能性があるといわれている。

  2002年から、”ユーロランド”で、ユーロの紙幣や硬貨が11か国の通貨を置きかえることになるが、発表されたユーロの紙幣やコインのデザインはおぞましいものだ。これらの11か国が、古くて豊かな伝統文化をもっているのにもかかわらず、個別の人物や建物、風景を用いることがまったくなく、どこにも存在しない絵柄をあしらった無機的な意匠となっている。特定の国の人物や遺跡などを用いることができないというのが、理由である。

  加瀬氏はイギリスがEU統合に加わらないように願っている。エリザベス女王か将来の国王の肖像があしらわれたポンド紙幣や、硬貨がなくなってしまったら、イギリスがイギリスではなくなってしまう。(投稿者補足:イギリスはいったんEUに参加したが、通貨統合は拒否した。そして、結局EUも脱退してしまい、日本との協力関係を強化している)

  よい社会は、お行儀のよい社会だ。イギリスの政治家で、政治思想家として名高いエドモンド・バークは近代保守主義の基礎を作ったが、下級弁護士であるソリシターの家に生まれたから、中産階級の出身である。バークは「法よりも、作法のほうが重要だ。法と文明が作法という土台の上にもとづいているからだ」と戒めている。

参考:加瀬英明著「イギリス 衰亡しない伝統国家」
 加瀬英明氏は「ブリタニカ国際大百科事典」初代編集長
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「伝統国家イギリス」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事