青空ヒュッテ

登山歴15年目・筋金入りの雨女が青空の下の稜線歩きを求めて今日も山に登ります。

薬師岳(2日目)

2012-07-21 14:58:10 | 北アルプス

※前編はコチラ

2012年7月16日(月)

夜中の2時に起床。のそのそと身支度&パッキングを済ませます。
本当は前夜のうちに気付いていましたが、
いち早く母がイビキ寝息を立て始めたために言い出せなかったこと。

こんな時間に起きて出発しても山頂はまだ真っ暗じゃん

・・・ということで、頂上アタックを済ませたらザックを取りに来るだけで
すぐに出発できるように全ての準備を済ませ、
しばらくは部屋で仮眠を撮ります

大部屋の人たちも起き出した気配を感じ、一番乗りで玄関へ。
ちょうど外に様子を見に出ていたマスターと遭遇し、
「今から山頂行くの?」と聞かれ、
母が「晴れてますか」と尋ねると一瞬でマスターの表情が険しくなりました。
「すごいガスと強風。こりゃ晴れないんじゃない」と無残な宣告を受けました
それでもここまで来て登頂しないで下山するなんて勿体ないのでアタックします。
無理だと思ったらすぐ引き返して来なさい、と厳重な注意を受けて、
3:41に薬師岳山荘を出発します。

念のため、レインウェアのズボンを入れたアタックザックを母が背負い、
私はカメラ(山頂展望用に広角レンズを装着)だけぶら下げて、空身の状態で外に出ます。

外は真っ暗闇。
でもヘッデンの明かりに照らし出された空間だけは真っ白になります。
台風中継並のものすごい強風で、濃いガスが広がっているので、
雨は降っていないけどかなりびしょ濡れになる状態でした。

時折立っているのもやっとという感じの強風に飛ばされないよう足を止め、
真っ暗闇&ガスの中でしばしばルートを見失って足を止め、
と牛歩のような歩みで一歩一歩ゆっくりと山頂を目指して進みます。

しばらくして、後方からヘッデンの明かりが2つ見え始め、
私たち2人だけじゃないという安心感にパワーを得て歩みを進めます。

風は一瞬緩むこともありましたが、ほぼ暴風が吹きっぱなしで、
特に向かい風になると、進めないどころか、
息もできないほどの強風に行く手を阻まれ、
ちょっと口をあけると、ちょうどお笑い芸人の送風機を口の中に当てて
鯉のように口が広がるリアクション芸に近い状態で
口が閉じられないくらいの強風が押し寄せました
今まで生きてきた中で一番の強風でした

闇の中から段々稜線が浮かび上がり、視界が広がってきます。
そしてとあるピークを乗り越えると、


広々としたピークにたどりつきました。
時刻は4:19。山荘を出発してから40分です。
コースタイムでは山頂まで50分で、しかもこの強風の中足を止めながらの歩行だったので
コースタイムより早く登頂するはずはない、と思いますが、
(それに山頂標識も見当たらないし。。。)
山頂の手前にこんなピークがあるのだろうか、とも思え、しばらく周辺をうろつきます。

すぐに後続の人たち(最初に見えたヘッデン2人組は山ガールでした。やっぱり女は強い
も追いついて、「ここが山頂ですかねぇ?」と確認し合います。


ケルンを発見して近寄ると、中に小さな銅像が祭られていました。
確か、山頂には薬師如来像が祭られているとガイドブックに書いてあったので
(でもケルンではなかった気もしますが)やっぱりここが山頂なのかも!


ということで、とりあえず記念撮影をすることに。
それでもやっぱりなんか腑に落ちません。
気が付いたら後続の人たちがピークの先まで進んで行ったので、後に続きます。

とちゅうで右手の小高いピークから、先ほどまで私たちの後に続いて来ていた
山ガール2人組が下りてきて、こっちも頂上ではないとのこと。
やっぱり皆この天候ではなかなか山頂にたどり着きません


そして、先ほどの偽ピークから15分でようやく本物の山頂にたどり着きました
下山の時に判明したんですが、先ほどの偽ピークは巻き道がついていて、
分岐点にもちゃんと標識がありました。。。
やっぱり真っ暗闇の中進むのはリスクがありますね
(因みにあの偽ピークは、1963年に愛知大山岳部が薬師のピークと間違えて、
下山ルートを間違えて遭難死したそうで、ケルンはその慰霊碑になっているようです。)


ということで、山荘を出発して約1時間の4:39に標高2,926mの薬師岳山頂に到着


鍵がかかって中は見れませんでしたが、薬師如来像を祭った祠もちゃんとありました。

山頂で記念撮影を済ませたら、展望もないし、
今日は三連休の最終日で帰りに大渋滞が発生することが見込まれるので
一刻も早く下山しなければ、と言うことですぐに山頂を後にします。

明るくなったので、山頂を目指して登ってくる人が増えてきました。
そして一番乗りで山荘に戻ってきて、母が2人分のザックを取りに個室に戻ります。
受付で朝食の振替弁当を受け取ろうと思ったら、
ちょうど朝食時でスタッフが誰もいなかったので母が女将を捕まえて
お弁当を無事引き取ります。
「今から山頂に行かれるんですか?」と聞かれ、
「もう登ってきました!ガスで何も見えませんでした(涙)」と報告します。
「また登りに来ます」と女将に別れを告げて、


5:17に山荘を出発して下山開始。
当初の計画では御来光を拝んで山頂で絶景を撮影しまくって、
5:45に山荘を出発する予定だったのでまだ大分余裕があります


5分で山荘まで15分の標識に到着。
相変わらず周りは真っ白で、風も強いです。


真っ白なガスの中を進みます。


雪渓に差し掛かりました。
この辺から、薬師峠でテン泊したと思われるパーティーが何組か登ってきましたが、
皆さんTシャツ一枚程度の軽装で、きっと上まで上がったらビックリするだろうな・・・
と思いながらすれ違いました。


5:49に薬師平を通過。


大きなケルン。

また雪渓を通過して、前日ハクサンイチゲが咲き乱れていたゾーンを下ります。


その先ではナナカマドの花が咲いていました。


さらに下ると、前方の太郎兵衛平が朝日に照らし出されました


段々天気は回復してきたようです。
しかし、折角目の前に絶景が広がり始めたのに、
カメラのレンズが曇ってガッカリな写真になってしまいました・・・
今後はちょっと対策を考えなければ。


母のコンデジで太郎平小屋にズームイン
昨日より展望が効いているのがせめてもの救いです。


また雲が広がらないうちに、昨日興奮しながら通過した「階段の花畑」(母命名)を下ります。
この辺、昨日は雨で増水して滝のようになった箇所を渡渉しましたが、
1日で大分水が引いて、レインウェアやスパッツなしでも濡れることなく通過できました。

そして、花畑の花たちをまたもや堪能します


リュウキンカ


ミヤマキンポウゲ


登山道からはちょっと遠い場所にサンカヨウも咲いていました。


キヌガサソウはやっぱりこの花畑の主役でした


ショウジョウバカマ


バイカオウレン?


花を愛でながらの沢下り。途中で親子連れとすれ違いました。


花畑を通過して、


6:26に薬師峠を通過。山荘から約70分でした。

 
すぐにチングルマのお花畑が広がります。


できれば青空バックで撮りたかった


ここから少々登りになります。


振り返ると薬師峠が眼下に。


そして、登山道の脇にはたくさんのチングルマ。

右手に目をやると・・・


(画像クリックで拡大表示)
富山市の街並みと富山湾が一望できます


太郎平小屋から先の下山道でも展望を楽しめそうです


私のミラーレス一眼はまだレンズが曇ってます


気持ちの良い木道&石畳歩き。


太郎平小屋の赤い屋根が見えてきました


木道が終わって(写真は木道を振り返ったところ。)


6:51に太郎兵衛平に到着。


小屋の前はとても広々としたスペースになっています。


小屋の前の屋根付きのベンチに腰をおろして、


山荘で貰った朝食用のお弁当をいただきます
メインはゆうべのおかずのかぼちゃの天ぷら。
その他豆やゴボウやたくあんなど、ぶっちゃけ質素なおかずです。。。
小屋の売りとしては、御来光を見てからのんびり朝食を食べてください、ということで、
前日お弁当を頼む時も「冷たいものになりますけどいいですか?」と念を押されたので
まあ仕方ないところでしょう。
昨夜のおかずで一番美味しかった天ぷらが入っていたので良かった

小屋に到着したときに、ベンチに先客の女性が一名いました。
なんでもグループで登ってきて、太郎平小屋に泊まって前日は黒部五郎岳、
この日は薬師岳に登る予定だったそうで、
前日は途中で雨が激しくなって撤退して、
この日もガスって展望が効かないので、登っても楽しくないということで、
残りのパーティーは全員頂上を目指しましたが、
この女性は既に好天時に薬師岳に登ったことがあるということで、
小屋でのんびり仲間の帰りを待つとのことでした。
色々話が弾みましたが、一番話が合ったのは、
「海の日なんて三連休にしないで20日頃にしてくれたらいいのに」ということ。
第三月曜日なんて梅雨明けがまだで天気が安定しないところに
三連休なんて設定されても登山家には全くいいことありません。
梅雨が明けたタイミングに休日を作ってくれれば大助かりなのに・・・

お弁当を食べたら女性に別れを告げて7:10に小屋を出発します。


無事カメラのレンズの曇りが取れました

 
歩きやすい道が続きます。


左手には有峰湖が。


背後の薬師岳方面はまだすっぽりとガスに包まれたままです。


なだらかなアップダウンを繰り返します。
昨日は雨で道が水没していましたが、一晩ですっかり乾いてました。


チングルマ。所々、丸く広がって咲いているものがありました。


有峰湖をズームで。


大分日も差して来ました。


まだきれいな花が付いているものもあれば、この辺のチングルマはもうすっかり綿毛に。


チングルマの綿毛と有峰湖(ちょっとだけ)。


ピークを巻きます。


右手奥になにやら雪渓が見えます。方向的に、立山連峰?


左手前の開けた斜面が室堂平っぽいです。


ということは、奥の雪深い山はもしかして剱岳


7:49に五光岩ベンチに到着。ここでドーナツと、潰れた(笑)クリームパンを食べます。


今回山デビューを果たしたダッフィー。
前日はザックカバーの中で、薬師岳山頂アタックの時は空身だったので、
この下山でようやく日の目を見ました(笑)


8:02に五光岩ベンチを出発。


眼下に広がるのは富山湾。


影絵ができるほど日が出てきました。


歩きやすい道が続きます。昨日に比べたら十分満足な眺めです


有峰湖もくっきり。ちなみにこの奥に白山が見えるらしいです。。。


富山の町並み。


来し方を振り返ります。下りは楽チンですが、これを雨の中登るのはなかなか辛かった。


この辺で、折立から登ってくる人が増えだしました。

 
右手に目をやると、山頂に続く稜線が


左手に、こんな目立つポールが。
でも昨日はガスで真っ白だったので全然見えませんでした。


立山連峰?


どうも薬師の稜線が今頃顔を出してきたようです。。。
そしてまたカメラのレンズが蒸されて曇ってきました


でも日光があるのでちょっと幻想的な雰囲気に仕上がりました


・・・とはいっても折角の青空だからクリアな視界で撮影したかったけど


花がたくさんついたマイヅルソウ


ニッコウキスゲはまだつぼみが多いです。

 
予定どおり、9:00ちょうどに三角点に到着しました。
喉をうるおして、日焼け止めと虫よけ(ハッカ油)を付け直してすぐ出発です。


ツマトリソウ


ツマトリソウとゴゼンタチバナ
依然としてレンズ曇り中。。。


ギンリョウソウ


しばらく急斜面を黙々と下っていたらレンズの曇りも解消されました。


樹林帯に入って、時折吹く涼風に癒されます。
しかし日が出てからの樹林帯は、虫の宝庫です。
いつもなら、下山終盤に差し掛かり、汗のせいで虫にたかられるところですが、
こまめにハッカ油のスプレーを使用していたら、数えるほどしか視界にも入って来ない状態で、
とても快適に歩けました やっぱり登山にハッカ油は必携です


タカネニガナ(クモマニガナ?)

 
これが、例の慰霊碑ケルンが祭られた愛知大学山岳部の本物の慰霊碑。


10:07に折立の登山口に到着
小屋の前に水道とブラシがあったので、それを借りて靴とズボンの裾についた泥を洗い流します。


3分ほど格闘して登山口標識前に到着。
トイレに寄ってから車に戻り、着替えを済ませて10:30に車に乗り込みます。

次なる目的地は温泉です

有峰湖をぐるっと回って、飛騨方面を目指します。
途中展望用の駐車スペースがあってそこから見ると、
なんと今頃薬師岳が姿を現しました

慌てて車を停めて、外に出てカメラを構えます。


(画像クリックで拡大表示)
またしてもレンズが曇ってしまいましたがなんとか撮影します。


ちょっと右手に目を移すと、どうやら黒部五郎岳も見えているようでした。

最後の最後に姿を現してくれたけど、やっぱり山の上で見なきゃ意味がない
ということで、次回の山行は薬師が見える北ア某所の予定です(元々予定してた場所ですが)

でも、薬師岳ももう一回リベンジしたいので、
次は(できれば強力な晴れ女の妹を連れて)薬師峠テント泊で、
薬師岳と、黒部五郎岳か雲ノ平をセットで制覇したいと思います。

12:20に事前に目星を付けていたひらゆの森に到着。
1人500円+バスタオル1枚500円を支払って天然の温泉へ
露天風呂もあって、湯の花がたくさん浮いていました。
売店にフレッシュフルーツジュースが売っていたり、
お土産コーナーがあったり(さすがに富山土産はありませんでしたが
とても充実した施設で、今回は時間がなくて入浴込で40分しか滞在できませんでしたが、
次回利用するときはタオル持参で1時間くらいのんびりしたいと思います

新島々のいつもの産地直売所で立派なスイカ(2,300円)を購入し、
14:30に松本で父と合流。そのまま長野自動車道に乗ります。
途中までは順調でしたが、
笹子トンネルで40kmの大渋滞につかまり、
その後も東名でまたもや(予想通り)大渋滞が発生していて、
結局松本を出た時点では自宅到着予定が18時過ぎだったのに、
実際に家に帰りついたのは21時過ぎでした・・・ さすが三連休最終日。

今回は残念ながら雨と強風に見舞われ、
山の上での展望はゼロに終わりましたが、
足元にはたくさんの花が咲き乱れ(特に階段の花畑が圧巻でした
色んな人との出会いもあり、まさに「記憶に残る登山」でした

木道がたくさんついてて歩きやすく、高低差(約1,500m)の割には筋肉痛もほとんど出なかったので、
とても登りやすい山でした。
是非またリベンジしに行きたいと思います

 

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