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心に移り往く、日々の由無し言.....

やがて今も忘れ去られる

2007-06-20 | 
あまりにも好きで
その気持ちを
持ちこたえるのがつらかった

あまりにも好きだと
何も望めないんだね

あまりにも好きで
いっそ嫌いになりたかった
知らないままでいたかった

知らない頃には
もどれないけど

ずっと好きで
今も好きで

この好きは
何も望まないから
たぶん強く
守られる

―――――――――――――――――

窓のむこうを何かが今
横切ったような気がした
私はいつも遠くを見ていた
あまりにも遠くを見すぎている
それに気づいて
まわりをみわたした時
籠からこぼれた果物や
きれいに刈り込まれた庭の木々
そこから勢いよく飛びだしたみどりの芽
とびとびに置かれた敷石が目にはいり
床に落ちた紙くずや折れた鉛筆の芯さえ
そんなこまごまとしたものがそれぞれの場所でひっそりと息づいている
この現実世界への愛情が
急速にわきおこってきた
これらを愛そう
これらこそを

―――――――――――――――――

大丈夫
恐れないで
解決できないことはない

たとえ破綻しても
思いがけない結末でも
どうにかは なっていく
時間はすぎて
どんどんすぎて
どれもがどうにかなっていき
やがてそれも忘れ去られる

やがて今も忘れ去られる


写真詩集
「やがて今も忘れ去られる」/銀色夏生

「やがて今も忘れ去られる」銀色夏生

昔のような風景写真とは少し違って
日常風景に近い感じ。
おそらく(子供のこともあるし)旅行に行けてないせいかなと思ったり。
それでもやっぱり銀色さんの写真詩は他と違います。
ただ、今回のは装丁がイマイチな気がする。




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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (かずたん)
2007-06-21 22:58:45
銀色さんの詩でしたか。
最後の詩が特に好きですね。
こうした研ぎ澄まされた言葉を読めると
感受性が豊かになっていくような気がします♪
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  ()
2007-06-23 06:37:45
✿かずたん
意欲として触発されるのは、
やっぱり自分の好きな物を見たり聞いたり読んだりだよね。
でも何かの拍子に幅が広がったりするのは
お気に入り以外のものを知っていく積み重ねがあった時かもな、
なんていうことを思ったりする(o-ェ-o)

要するに、かずたんの肥やしになれたなら良かったってことだな。ぅん。
返信する

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