(映画館観賞)
大変評価が高い映画なので映画館に足を運んだ。
前半うとうとしてしまったのは、観る前から眠気に誘われていたからで作品のせいではない。しかし眠気を飛ばすほどの刺激はないので、体調を整えて観てほしい。美しさを感じるには耳や目を研ぎ澄ませる必要がある。さて、ぼーっと観てしまった人間の感想を書く。
(以下ネタバレあり)
白黒で物語の流れもゆっくり、キャラは立っておらず普通。
犬が沢山出てきても犬好きの私でさえ「かわいい」と思うところがない。うんこの始末がたいへんだなと生活を感じ、淡々と時は過ぎていく。音楽は流れず、生活音が重なる。風や空気を感じる立体感のある素晴らしい音響だった。音だけでも映画館で経験してほしい。映画館で誰かが音を立てているかと思ったくらい自然だった。普段の生活で耳にする静かな音が届いてくる。
私の目が覚めたのは、男が、真っ裸で武術家を気取っているところである。
家政婦は自分の家族とは疎遠になっており、ひとりだ。雇い主に大切にされてはいるけれどやっぱり家政婦に過ぎないのだと話の所々で気付かされる。子どもたちも慕っている。それでも家政婦の立場を充分すぎるくらいわきまえている。妊娠したら男は逃げるし、無口な故に腹の中にいろいろため込んでいるのがよくわかる。どうしようもない状況だ。雇い主の母親は夫が愛人の元へ行ったので離婚し、仕送りはなしで子供4人を養う決意をする。くだらない男ばかりであった。誰かが誰かを心から思って助けているわけではない。
だからこそ荒れ狂う波の中、命がけで雇い主の子供を救う場面が尊かった。
今日は映像を感じ取る力不足だったので、次回は観るときはするどい感覚で臨みたい。心の調子がよかったら見えるものがまた違うだろう。昔を懐かしめる余裕ができたら観たい。