夕張市が「倒産」
先日、衝撃的なニュースが流れた。
北海道夕張市の市長が、20日の市議会で、
国に自治体としての「倒産」に当たる
財政再建団体の指定を申請する考えを表明した。
実質負債は600億円超で、
1年間の標準財政規模(約45億円)の10倍以上。
1992年の福岡県旧赤池町(現福智町)以来14年ぶりで、
財政運営は事実上、国の管理下に置かれる。
くしくも、赤池町と同じく、
炭鉱の閉鎖による急激な人口減少がその起因となるが、
(12万人⇒1万3600人)
夕張メロンなどのブランドの確立で、
新たな展開が軌道に乗っているはずだった。
どうして、今まで財政状況が逼迫していることが、
市民に分からなかったのか。
からくりがあるようである。
負債の多くは、会計上の回転資金である「一時借入金」が占める。
市は15年ほど前から、単年度決算を「黒字」とするため、
前年度決算を整理する「出納整理期間」(4月1日~5月31日)に
一時借入を毎年行い、決算上の収支不足を補っていた。
しかし、長期の地方債より金利が高く、
長年にわたって借り換えを繰り返すうちに、借金が膨らんだ。
いわば、中小企業や多重債務者の自己破産と同じシナリオだ。
決算上は、黒字にするために、隠れ借金をしていた。
いわば、いわゆる「自転車操業」をしていた。
「ヤミ起債」で、観光関連施設の資金を調達していた疑いがあるという。
「ゆうばりホテルシューパロ」(購入価格20億9000万円)、
「マウントレースイスキー場」(同26億円)を購入する際、
第3セクターや公社に支払いを肩代わりさせ、
長期の債務負担行為として公社などに返済する手法で資金調達していた。
決算時には、一時借り入れで黒字にし、
借金は別の組織にさせ、その支払保証をしてごまかしたものである。
このような事態に陥った要因としては、
いろいろなことが重なったのであろう。
まず、行政当局の借金に対する認識不足・危機感のなさ、
あるいは、自治体は破産しないという観念。
議会の役目が果たされたのか、あるいは、
グルになっていたのかもしれない。
そして何よりの要因は、市の財政状況が
市民にしっかり公開されていなかったのであろう。
夕張市のホームページを見ても、財政情報が見当たらない。
市のそのような逼迫していく財政状況が
市民に知れていれば、
当然、市民からのいろいろな要望も控えられ、
逆に、支出を懸念する声が上がってきたであろう。
見えないところでは、いろいろな邪まな力が働く。
見えるようにすることにより、問題も明らかにされる。
そんなことに、それほどのお金を使っていいのか? と。
市のためにと思ってする借金も、
正しい判断に基づくものでなければ意味を成さない。
逆に、ためにならないこともあるのだ。
市という大きな器だから分かりにくいが、
家庭に置き換えてみれば、分かる。
夕張市の行政執行にあたっている人は、多分、
自分の家庭の金銭管理・将来計画を
しっかりなさっているのであろう。
なぜ、同じことが、
市の財政運営でできなかったのか。
所詮は、自分の金じゃない。
という意識があるのは、間違いないところであろう。
このような事態は、専門家からは、
破たん予備軍の「氷山の一角」だとの指摘も出ている。
「人口一万人未満の自治体のいくつかでは同様の問題を抱え、
今後、問題が噴出する」と予測する人もいる。
また、一万人以上だからといって安泰ではない。
厳しい状況に、変わりはない。
国から地方への交付税は削減が続き、
多くの自治体の財政が追い込まれているから。
確かに、国の削減の仕方は、一方的で理不尽であるが、
地方の自治体も、本当に危機感を持って、
財政の健全化に努めなければならない。
しかし、自分は、悪者にならないようにと、
いい顔して、実態を隠している。
そして、最後の破たんのツケは住民にのしかかる。
夕張市議会での市長の発言に、
「人ごとみたいじゃないか」
と、傍聴人からいら立ちの声が飛んだという。
財政再建団体になると、国の再建計画に基づいて
予算編成が行われ、財政を立て直す。
赤字は起債(借金)で埋め、
国が利子補給を行うなどの優遇措置を受けることができる。
しかし、一方で、
保育料などの各種料金の値上げ、
事業の廃止など住民負担増
と行政サービスの低下が懸念される。
自主判断できない世界への転落である。
失ってはならない、「自立」というものを失う。
夕張市の再建においても、20~30年かかるという。
このことは、
『他山の石』として、
われわれの教訓としなければならないことである。
先日、衝撃的なニュースが流れた。
北海道夕張市の市長が、20日の市議会で、
国に自治体としての「倒産」に当たる
財政再建団体の指定を申請する考えを表明した。
実質負債は600億円超で、
1年間の標準財政規模(約45億円)の10倍以上。
1992年の福岡県旧赤池町(現福智町)以来14年ぶりで、
財政運営は事実上、国の管理下に置かれる。
くしくも、赤池町と同じく、
炭鉱の閉鎖による急激な人口減少がその起因となるが、
(12万人⇒1万3600人)
夕張メロンなどのブランドの確立で、
新たな展開が軌道に乗っているはずだった。
どうして、今まで財政状況が逼迫していることが、
市民に分からなかったのか。
からくりがあるようである。
負債の多くは、会計上の回転資金である「一時借入金」が占める。
市は15年ほど前から、単年度決算を「黒字」とするため、
前年度決算を整理する「出納整理期間」(4月1日~5月31日)に
一時借入を毎年行い、決算上の収支不足を補っていた。
しかし、長期の地方債より金利が高く、
長年にわたって借り換えを繰り返すうちに、借金が膨らんだ。
いわば、中小企業や多重債務者の自己破産と同じシナリオだ。
決算上は、黒字にするために、隠れ借金をしていた。
いわば、いわゆる「自転車操業」をしていた。
「ヤミ起債」で、観光関連施設の資金を調達していた疑いがあるという。
「ゆうばりホテルシューパロ」(購入価格20億9000万円)、
「マウントレースイスキー場」(同26億円)を購入する際、
第3セクターや公社に支払いを肩代わりさせ、
長期の債務負担行為として公社などに返済する手法で資金調達していた。
決算時には、一時借り入れで黒字にし、
借金は別の組織にさせ、その支払保証をしてごまかしたものである。
このような事態に陥った要因としては、
いろいろなことが重なったのであろう。
まず、行政当局の借金に対する認識不足・危機感のなさ、
あるいは、自治体は破産しないという観念。
議会の役目が果たされたのか、あるいは、
グルになっていたのかもしれない。
そして何よりの要因は、市の財政状況が
市民にしっかり公開されていなかったのであろう。
夕張市のホームページを見ても、財政情報が見当たらない。
市のそのような逼迫していく財政状況が
市民に知れていれば、
当然、市民からのいろいろな要望も控えられ、
逆に、支出を懸念する声が上がってきたであろう。
見えないところでは、いろいろな邪まな力が働く。
見えるようにすることにより、問題も明らかにされる。
そんなことに、それほどのお金を使っていいのか? と。
市のためにと思ってする借金も、
正しい判断に基づくものでなければ意味を成さない。
逆に、ためにならないこともあるのだ。
市という大きな器だから分かりにくいが、
家庭に置き換えてみれば、分かる。
夕張市の行政執行にあたっている人は、多分、
自分の家庭の金銭管理・将来計画を
しっかりなさっているのであろう。
なぜ、同じことが、
市の財政運営でできなかったのか。
所詮は、自分の金じゃない。
という意識があるのは、間違いないところであろう。
このような事態は、専門家からは、
破たん予備軍の「氷山の一角」だとの指摘も出ている。
「人口一万人未満の自治体のいくつかでは同様の問題を抱え、
今後、問題が噴出する」と予測する人もいる。
また、一万人以上だからといって安泰ではない。
厳しい状況に、変わりはない。
国から地方への交付税は削減が続き、
多くの自治体の財政が追い込まれているから。
確かに、国の削減の仕方は、一方的で理不尽であるが、
地方の自治体も、本当に危機感を持って、
財政の健全化に努めなければならない。
しかし、自分は、悪者にならないようにと、
いい顔して、実態を隠している。
そして、最後の破たんのツケは住民にのしかかる。
夕張市議会での市長の発言に、
「人ごとみたいじゃないか」
と、傍聴人からいら立ちの声が飛んだという。
財政再建団体になると、国の再建計画に基づいて
予算編成が行われ、財政を立て直す。
赤字は起債(借金)で埋め、
国が利子補給を行うなどの優遇措置を受けることができる。
しかし、一方で、
保育料などの各種料金の値上げ、
事業の廃止など住民負担増
と行政サービスの低下が懸念される。
自主判断できない世界への転落である。
失ってはならない、「自立」というものを失う。
夕張市の再建においても、20~30年かかるという。
このことは、
『他山の石』として、
われわれの教訓としなければならないことである。