川柳しま専科 2022/1 投稿分

２０２２　川柳しま専科

1/1(土)　

故郷帰りこの機逃がしてなるまいと

観望や呑気なことで大寒気

さぁーてと五黄の虎も目星つき

1/2(日)　

十七音己の十年搔き集め

太閤も指をくわえて待つお節

美しき青きドナウに湧く拍手

1/3(月)　

寅年や咆哮するも他意はなく

LED線香灯して年を越し

願わくば老人ホーム泳ぎ付き

1/4(火)　

古刹焼く同じ憂き目の寂光院

箱根路や走りたかろうに江戸飛脚

十年も詠めば天丼並みとなり

1/5(水)　

そそくさと賽銭投げて初詣

天安門口を開けど閉じたまま

凧揚げて無理矢理唄うわらべ歌

1/6(木)　

千里馬とまではゆかぬが三十里

幸福は欲しがりません過去を持ち

呑んでも嚙むな讃岐のウドン

1/7(金)　

不意な雪外に出るなと娘の縛り

降る雪に足を奪われシチューでき

積雪や語る恥ずかし只三寸

1/8(金)　火星での地震は火震腑に落とし

ユーチューブ孫の土俵で胸を借り

海溝も怖いがもっと直下型

1/9(日)　

雪背負い折れたスイセン介護Ⅲ

コロナ禍や今や遥かな人いきれ

年齢表己の歳は知れたもの
1/10(月)　

本物はふつうの中に見え隠れ

ひもじいかヒヨの悲鳴に情けかけ

オミクロンあれよあれよの双極線

1/11(火)　

歳も日もコロコロ変わる新成人

No, コロナ今じゃウイズで Yes We Can.

東京もウイーンに倣いラデツキー
1/12(水)　

十年分ヘボ句連ねて冊子成る

首長くクシャミ三回コロナ薬

抜け目なくハッピーアワー爺浸り
1/13(木)　

黄水仙唇寄せても嫌がらず

よぼよぼと三年会わねばへたり合い

コロナ禍や今や何処に人熱れ

1/14(金)　

二、三年駄句も晒せば枯れ尾花

クジラからノミまで蠢く You tube

水晶が愛しや狂う掛け時計
1/15(土)　十五日つい成人の日口に出る

水３トン使い流して娘らは去り

闘牛じゃないけど時々赤を着る

1/16(日)　

遠藤を歌舞伎役者に贔屓筋

好きだった水道屋さんののり子ちゃん

梟に睨まれ日々の身を糾す

1/17(月)　

カッコ付け空から津波が降ってきた

カニで釣りカニに釣られて蟹は枯れ

着古した「昭和」の衣脱ぎ難く

1/18(火)　

娘ら帰る先ず宅配便の忘れ物

ダウンコート一枚剥いで着る習い

詐欺注意チラシ真っ先手渡され

1/19(水)　大寒気気圧の崖を転げ落ち

住所録正月終えて罫が減り

サイレンが鳴れば高台務めとし
1/20(木)　

終盤で素人口出すプロ将棋

コオロギも食べる覚悟の余命かな

インコ群れここは何処かと世捨て人

1/21(金)　

土俵上四股踏む阿炎に口籠り

海渡りバイデンマスクは黒と化し

厄払い後ろ盾なく神仏

1/22(土)　

一万人竦むめど生きる他はなく

飲み屋さえ行かねばよしと合点ぶる

コロナ禍や囃してマスコミ定めなく

1/23(日)　

大寒やウイルスだけが羽伸ばし

家籠りせめて抗うスイミング

爺にはねぇ学級閉鎖が気にはなり

1/24(月)　川柳しま専科・2021余話

1/24(月)　

初場所を終えて廻しを締め直す

おこがまし寅彦の句情を入れ

これだけの罹患あれだけの人出

1/25(火)　

御嶽海あっと驚く為五郎

赤毛のアン希林のあんも共にAnn

十七音波風収めて日を繋ぐ

1/26(水)　

小銭失せ平次も賊を捕り逃し

ジパングもトンガの噴火身に覚え

侮れば南海トラフの目が尖る

1/27（木) 　

流行り風邪よきに計らえオミクロン

十年分詠んだ冊子が飛び跳ねる

還暦をとうに過ぎても赤いシャツ

1/28(金)　

一句でも「い」と「う」違えて二句となり

紅梅を天まで届ける不精者

よもやよもやまさかまさかのテストかな

1/29(土)　

いつもより長い一月自粛倦み

親子丼ヤキトリ入れて味嵌り

十七音転がる地球停めてみせ

1/30(日)　

マスク捌け勢い序にヤマを掘り

ウイルスは東京人を引っぺがし

共生やメジロとミカン半分っ子

1/31(日)　

五七五一万枚のコマ送り

自粛せど始末に終えぬ光熱費

日銀も顔青ざめる物価高