蝶絶!!男泣き・・ 其処にある黒くなった卵で混沌

中の人など・・・ゲフンゲフン

これだけは観ておけ!T~V

2005-06-18 11:12:31 | 妄想パラダイス/波平
一監督につき一作品を選んでみようというコーナー。

Tのつく監督。

テレンス・フィッシャーは「吸血鬼ドラキュラ」?
わし、ホラー苦手やからよう分からんねん(笑)。この人もホラー一筋やからね。
まあ、今観たらそれほど怖いことはなく、懐かしく観られるかもしれないが。
イギリスのハマー・フィルムは低予算の怪奇ものを撮って日銭を稼いでいた会社。
ここで、ピーター・カッシングとかクリストファー・リーを使って、
怪奇ものを量産していた監督のうちの一人がフィッシャーだった。
C・リーなどは後に「スターウォーズ」などでも復活することになる。
B級だけれど面白い映画にリスペクトする心は大事だね。

テレンス・ヤングは「007は殺しの番号」。
007シリーズは現在で20本以上作られているが、記念すべき第一作がこれ。
今は「ドクター・ノオ」で通ってるみたいだが、最初の邦題に敬意を込めて。
これ以降、雨後の筍のごとくスパイ映画が量産された。
色んな機関や諜報部や悪の組織が生まれ、色んな番号やコードネームが生まれた。
ショーン・コネリーの弟まで引っ張り出され、映画でいきなり主演を張る。
個人的には「殺しの免許証(ライセンス)」がもう一度観たい。
これはジェームス・ボンドの友人が活躍する映画。音楽もかっこ良かった。

テレンス・マリックは「シン・レッド・ライン」。
ミスター・マリックは(「きてます」の人ではない)今までに3本しか撮ってない。
「地獄の逃避行」「天国の日々」そして、この映画。
本職は学校の先生で、物理か哲学を教えているらしい。変り種だね(笑)。
映画の画面の底に、詩が流れているような不思議な映画を撮る。
戦争映画であっても、そこにあるのが静けさと深い思索というのが面白かった。
ハリウッド・システムから最も遠い映画を撮ってくれる監督として、注目している。

テリー・ギリアムは「未来世紀ブラジル」。
全編悪夢を見ているかのような世界観の連続は、貴重な体験だった。
「モンティ・パイソン」時代に培った、偉大なる批判精神も忘れていない。
主にビジュアル担当だったらしく、画面における異常に濃い雰囲気はさすがである。
映画というのはやはり壮大な見世物だというのを再確認する。
いつか「モンティ・パイソン」の延長戦上にある、毒まみれで痛烈な映画も観てみたい。

ティム・バートンは「ナイトメア・ビフォア・クリスマス」。
人形劇というかパペット・アニメというか、変な映画だった。
骸骨に針金をつけたようなのが主人公なんだけど、
ミュージカル・シーンがすごくて、奇怪で、美しくて、感動的で・・・どうやねん(笑)。
とにかく、感動というのか放心というのか、心を動かされたことだけは確かである。
「エド・ウッド」は次点。
最低の映画を撮る監督でも、映画に対する愛だけは確実に持っていた姿を描いて圧巻。
「アホな映画ほど可愛い」のである。
B級映画に対する限りない愛情もまた、この監督の特徴。
「マーズ・アタック」の円盤や火星人の造型からも一目瞭然である。

トニーノ・ヴァレリは「怒りの荒野」。
レオーネの助手として演出等を学んでいたヴァレリも、監督として一本立ちした。
これは若きジュリアーノ・ジェンマが老いたリー・ヴァン・クリーフに銃を習い、
増長した先生を最後は撃ち殺すという、マカロニウエスタンだった。
マカロニを観始めた時期に出会った痛快娯楽作として、忘れられない。
ジェンマとクリーフの競演も見所だったが、劇中の「ガンマン十か条」も忘れられない。
「自分以外誰も信用するな」「傷をつけたら、必ず殺せ」とか・・・
これは実人生を生き抜く上でも大切な教えだった(笑)。

トニー・リチャードソンは「長距離ランナーの孤独」。
A・シリトーの小説は先に読んでいたので、若干違和感はあったが、こんなもんだろう。
肌寒い早朝に刑務所を出て、人気のない道を走る孤独感だけは確実に伝わっていた。
初期の傑作たる「蜜の味」はまだ観ていない。
音楽だけは何度も聴いて妄想をたくましくしている。観ないほうが幸せかもしれない。
人口増大で土地がなくなって、死者を宇宙に飛ばして埋葬する葬儀ビジネスを描いた、
「ラブド・ワン」も痛烈なブラック・コメディとして記憶に残っている。

トニー・スコットは「トゥルー・ロマンス」。
タランティーノの思い入れたっぷりの脚本を、テンポよく描いた快作。
脇役のそれぞれが実に個性的な演技を見せるのが魅力的だ。
特に、デニス・ホッパーとクリストファー・ウォーケンのやりとりは最高だ。
俳優をやりたかったタラちゃんの書く台詞は、役者をノセる台詞なのかもしれない。
パワーアップした「ビバリーヒルズ・コップ」や「トップガン」のスピード感。
TVのザッピングに慣れた観客には、このぐらいのカット割の早さが通常かもしれない。

トラン・アン・ユンは「シクロ」。
ベトナムの監督というのは初めてだったが、その画面の綺麗さにびっくりした。
犯罪の描き方と緊張感が抜群で、ベトナムの生活感が珍しくもあった。
その後、「青いパパイヤの香り」はエッチな映画だと思って喜んで観たが、違った(笑)。
「夏至」と続けて観ていくと、犯罪を描きたいわけじゃなくて、生活感を描きたいようだ。
日本と違うベトナムの暮らしは、それはそれで面白いがやや物足りない。
犯罪というドラマを取り入れて、合間に生活を描いてくれた「シクロ」が一番面白かった。

ツイ・ハークは「ブレード/刀」。
ウェズリー・スナイプスの「ブレイド」とは別なので、混同しないでほしい(笑)。
ジョン・ウーと並んで「香港のスピルバーグ」と言われた監督。
面白さを追求し、特撮もふんだんに取り入れる、その精力的な映画づくりは見事である。
この映画は昔の武侠映画(「片腕ドラゴン」あたり?)のリメイクである。
香港からアメリカに移ろうという時期の映画でもあり、気合が入っている。
特に、ラスト10分間は続くのではないかと思われる対決シーンには溜息が出た。
香港映画のもう一人の雄として、忘れてほしくない監督である。

Vのつく監督。

ヴィクター・フレミングは「風と共に去りぬ」。
名作ということになっており、壮大な映画ではあるが話はそれほど好きじゃない。
もっと貧乏でせせこましくて、惨めでいやらしい人間が私は好きである。
クラーク・ゲイブルもいい男とは思わないし、かっこいいとも思えない。
「或る夜の出来事」みたいなコミカルな演技は許せるけど、二枚目気取りの映画は・・・
ヴィヴィアン・リーも美しいとは思わないが、その後の狂気を考えるとこの時が一番かと。
色んな意味で愛憎入り乱れるのだが、観始めると最後まで観てしまう。
悔しいけれど、映画におけるこの豪華さは、日本人にはなかなか出せない。

ヴィンセント・ミネリは「巴里のアメリカ人」。
狭い部屋を賢く使う主人公の画家の朝のシーンからして、まず面白い。
ロートレックの絵を模した群舞シーンや、コール・ポーターの音楽は圧巻である。
個人的には子供たちに映画を教えるシーンが大好きである。「アイ・ガット・リズム」。
ジーン・ケリーよりアステアが好きという方には「バンド・ワゴン」。
いや、レスリー・キャロンだという人には「恋の手ほどき」
エリザベス・テイラーのファンには「花嫁の父」や「可愛い配当」や「いそしぎ」。
よりどりみどりでっせ(笑)。

ヴィットリオ・デ・シーカは「自転車泥棒」。
貧しさゆえに働き、自転車を盗まれて盗み返そうとして捕まる。
貧乏でせこくて、どうしようもなく悲しい惨めな気分に浸りたい時はこの映画(笑)。
「靴みがき」も同様に、貧しい子供たちの姿が健気でした。
個人的には、戦争でアメリカ人に親子ともども犯される母娘を描いた「ふたりの女」も。
特に娘の破瓜の瞬間の表情は、今も覚えています(笑)。
「ボッカチオ‘70」「昨日・今日・明日」「ああ結婚」なんかの艶笑喜劇もいい。
ソフィア・ローレンの豊満な肉体を見ているだけで目の保養。「ひまわり」もあった。
そろそろ老境だから「ウンベルトD」も観たい。けど、ビデオがどこにもない。

ウラジミール・メンショフは「モスクワは涙を信じない」。
ソ連映画では珍しい喜劇映画。
といっても大笑い出来るんじゃなくて、ほのぼの、しみじみ、クスって感じ。
ソビエト映画特集とかでしか観られないけど、やってたら観ましょう。

フォルカー・シュレンドルフは「ブリキの太鼓」。
数奇な運命によって生まれたオスカル少年は戦争と同時に成長が止まる。
少年の特技は超音波のような声で窓ガラスを破ること。
戦争時の暗いイメージをぶち破るかのような主人公の造型が面白い。
グロテスクなイメージにあふれているのに、
美しいと感じさせる画面作りも一見の価値あり。
映画を観たあとは「太鼓の達人」でオスカル気分を味わいましょう(笑)。

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