先週はRの途中までだった。
今週はRの終わりまで。
一監督について一作品を勝手に選んでしまおうというコーナーです。
なにげなく始めたこの企画、結構長く続いている。私も皆も飽きてきたんじゃないか?
とりあえず、ここまでやっちゃったんだから最後までいくよ。お付き合いしてもらうよ。
やっぱり先っぽ入れちゃったら、最後までイクしかないでしょ?(笑)
ロバート・ロドリゲスは「デスペラード」。
ラテン系の音楽に乗せて、痛快に描いたアクションの数々。
この前作の「エル・マリアッチ」超低予算で製作され、評価された作品だ。
売り込むためには作品がいる。金がなくても才能があれば、作品は出来るという見本。
「スパイ・キッズ」は一作で良かったと思う。ダラダラ才能を浪費しないでほしい。
新作「Sin City」はF・ミラーのノワール風の漫画が原作だから、面白そうだ。期待。
ロベルト・ロッセリーニは「無防備都市」。
占領下のローマにおけるレジスタンスと抑圧を、やむにやまれぬ気持ちで
素人俳優、現地ロケを使って描き出した。熱いものがこもった作品だ。
続く「戦火のかなた」も反戦の思いが強いいい作品だが、若干甘くなった。
バーグマンとの電撃結婚以降、熱い思いは奥さんに注ぎ込んだのか、やや低調。
やはり芸術は幸せの中からは生まれないのか。
幸せでない私なんか、名作を生める立場にあることを喜ぶべきなのか・・・(笑)。
ロバート・ロッセンは「ハスラー」。
ビリヤードという非情の世界に生きるファースト・エディは実に孤独なヒーローだ。
最後に勝負に勝ったとしても、愛するものを失ったハスラーは人生に敗北している。
しかし、賭けビリヤードの世界をこれほど面白くリアルに見せた映画はない。
映画は私たちの知らない世界を垣間見せ、自己の人生を見直す機会を与えてくれる。
ロバート・ワイズは「ウエストサイド物語」。
何回観ても面白い映画というものがある。
この作品のダンスシーンもそうだ。CDも何回聴いても飽きがこない。
「サウンド・オブ・ミュージック」も好きな映画だがサントラを何度も聴くことはない。
ミュージカルばかりでなく、編集者出身のこの監督はなかなかの先物買いでもある。
「地球が静止する日」では初めて理性的で友好的な宇宙人を描く。
「たたり」では人智を超えた力の存在を、特撮ではなく実写だけのカメラワークで表現。
ロジャー・コーマンは「血まみれギャングママ」。
一家の長にして稀代の無法者たる女ギャングを描いた作品。
息子の一人にロバート・デニーロが扮し、スラングを用いて早くも凝った役作りをする。
現存するフィルムはあまりに過激だったのでかなりカットされている。もとの版が観たい。
B級で早く安く損のないように撮るという監督だが、憎めない人だ。書いた本も面白い。
「X線の眼を持つ男」などは「見える」ようになることで不幸になっていく男の話。
「血のバケツ」は未見だが、一度観てみたいと思わせる内容だ。
ちなみに私は「金星人地球を征服」のビデオと「古城の亡霊」のDVDを持っている。
ロジェ・ヴァディムは「バーバレラ」。
最初観たときはくだらないと思ったが、再見してみるとやっぱりくだらなかった。
しかし、この脱力感漂う映画を愛せるようになった私は大人になったのか、堕落したのか。
冒頭のオープニングタイトルはいきなりJ・フォンダのヌードから始まる。
翼を持つ人間とか、殺人人形とか、セックスマシーンとか出てきて、楽しくて仕方ない。
BBの一連の作品も若い頃にはドキドキしながら観たものだが、
AVに慣れた現代の若者にどれだけ通用するかは疑問。
おじさんの頃はこんな所でも色々苦労があったのだよ(笑)。
ローランド・エメリッヒは「インデペンデンス・デイ」。
とりあえず大仕掛けで客を煙に巻き、B級だが娯楽に徹してとにかく客を喜ばせる。
ある意味、一番ハリウッド的な監督かもしれない。
この作品では大統領が自ら戦闘機に乗って異星の宇宙船を攻撃したりもする。
やはり世界の危機はアメリカが救わねばならない、という論理は今も健在なんだろうな。
「スターゲイト」「ジャッカル」「ゴジラ」と続く、CG満載かスター満載で、
とにかく仮想敵を想定して皆が団結し、敵を打ち破って快感。主役は俺、みたいな構造。
いろんな意味で、とても勉強になります(笑)。
ローランド・ジョフェは「キリング・フィールド」。
70年代のカンボジアを舞台に、米人ジャーナリストと現地助手の友情を描く。
クメール・ルージュの恐怖、累々と連なる白骨死体の映像がショッキングでもあった。
この物語は米人記者の書いたものを基にしている。
アカデミー助演男優賞を取ったハイン・S・ニョールが授賞式の席上で静かに話し始め、
徐々に涙ぐんでいった顔が忘れられない。涙って話しながら静かに流れるんだね。
ロマン・ポランスキーは「水の中のナイフ」。
彼の映画は選ぶのに苦労する。これに続く「反撥」「袋小路」の3作は、
不安感に満ち溢れた画面の連続で、静かなのに高揚させられる。
「ローズマリーの赤ちゃん」「チャイナタウン」で不安感溢れる画面はそのままに、
物語性を加味した味わい深い語り口で、エンターテイメント的な成長を感じさせた。
近作「戦場のピアニスト」ではナチスに対する怒りも長い歳月が癒したかのような、
穏やかな語り口になっていたのが印象的。これは成熟と呼んでいいのか。
ロナルド・ニームは「ポセイドン・アドベンチャー」。
豪華客船ポセイドン号の転覆によって、客船内に閉じ込められた人々の脱出劇。
非常に気が弱くなっていた時期に観たため、S・ウィンタースが死ぬシーンで号泣。
隣の友人たちが私の異変を、宇宙人でも見るようにしていた。
続く「オデッサファイル」もF・フォーサイスの原作をもとに、
不安感あふれる物語を淡々とした語り口で語った。オチもいい。
もともとはイギリスの人。イギリス時代の作品は一本も観ていない。
ルドルフ・マテは「地球最後の日」。
新星が地球に近づいてくる。回避は不可能。
巨大なペンシル型ロケットを建造し、選ばれた人々だけが地球を脱出することになる。
しかし、パニックが起こりなかなかロケットは飛ばせない・・・。
ロケットの形とパニックののどかさが時代を感じさせるが、夢あふれる作品。
ここで登場した地球滅亡の光景はなかなか味わい深かった。
「都会の牙」「武装市街」などのノワール、
「欲望の谷」「レッド・リバー」などの西部劇もある。
今週はRの終わりまで。
一監督について一作品を勝手に選んでしまおうというコーナーです。
なにげなく始めたこの企画、結構長く続いている。私も皆も飽きてきたんじゃないか?
とりあえず、ここまでやっちゃったんだから最後までいくよ。お付き合いしてもらうよ。
やっぱり先っぽ入れちゃったら、最後までイクしかないでしょ?(笑)
ロバート・ロドリゲスは「デスペラード」。
ラテン系の音楽に乗せて、痛快に描いたアクションの数々。
この前作の「エル・マリアッチ」超低予算で製作され、評価された作品だ。
売り込むためには作品がいる。金がなくても才能があれば、作品は出来るという見本。
「スパイ・キッズ」は一作で良かったと思う。ダラダラ才能を浪費しないでほしい。
新作「Sin City」はF・ミラーのノワール風の漫画が原作だから、面白そうだ。期待。
ロベルト・ロッセリーニは「無防備都市」。
占領下のローマにおけるレジスタンスと抑圧を、やむにやまれぬ気持ちで
素人俳優、現地ロケを使って描き出した。熱いものがこもった作品だ。
続く「戦火のかなた」も反戦の思いが強いいい作品だが、若干甘くなった。
バーグマンとの電撃結婚以降、熱い思いは奥さんに注ぎ込んだのか、やや低調。
やはり芸術は幸せの中からは生まれないのか。
幸せでない私なんか、名作を生める立場にあることを喜ぶべきなのか・・・(笑)。
ロバート・ロッセンは「ハスラー」。
ビリヤードという非情の世界に生きるファースト・エディは実に孤独なヒーローだ。
最後に勝負に勝ったとしても、愛するものを失ったハスラーは人生に敗北している。
しかし、賭けビリヤードの世界をこれほど面白くリアルに見せた映画はない。
映画は私たちの知らない世界を垣間見せ、自己の人生を見直す機会を与えてくれる。
ロバート・ワイズは「ウエストサイド物語」。
何回観ても面白い映画というものがある。
この作品のダンスシーンもそうだ。CDも何回聴いても飽きがこない。
「サウンド・オブ・ミュージック」も好きな映画だがサントラを何度も聴くことはない。
ミュージカルばかりでなく、編集者出身のこの監督はなかなかの先物買いでもある。
「地球が静止する日」では初めて理性的で友好的な宇宙人を描く。
「たたり」では人智を超えた力の存在を、特撮ではなく実写だけのカメラワークで表現。
ロジャー・コーマンは「血まみれギャングママ」。
一家の長にして稀代の無法者たる女ギャングを描いた作品。
息子の一人にロバート・デニーロが扮し、スラングを用いて早くも凝った役作りをする。
現存するフィルムはあまりに過激だったのでかなりカットされている。もとの版が観たい。
B級で早く安く損のないように撮るという監督だが、憎めない人だ。書いた本も面白い。
「X線の眼を持つ男」などは「見える」ようになることで不幸になっていく男の話。
「血のバケツ」は未見だが、一度観てみたいと思わせる内容だ。
ちなみに私は「金星人地球を征服」のビデオと「古城の亡霊」のDVDを持っている。
ロジェ・ヴァディムは「バーバレラ」。
最初観たときはくだらないと思ったが、再見してみるとやっぱりくだらなかった。
しかし、この脱力感漂う映画を愛せるようになった私は大人になったのか、堕落したのか。
冒頭のオープニングタイトルはいきなりJ・フォンダのヌードから始まる。
翼を持つ人間とか、殺人人形とか、セックスマシーンとか出てきて、楽しくて仕方ない。
BBの一連の作品も若い頃にはドキドキしながら観たものだが、
AVに慣れた現代の若者にどれだけ通用するかは疑問。
おじさんの頃はこんな所でも色々苦労があったのだよ(笑)。
ローランド・エメリッヒは「インデペンデンス・デイ」。
とりあえず大仕掛けで客を煙に巻き、B級だが娯楽に徹してとにかく客を喜ばせる。
ある意味、一番ハリウッド的な監督かもしれない。
この作品では大統領が自ら戦闘機に乗って異星の宇宙船を攻撃したりもする。
やはり世界の危機はアメリカが救わねばならない、という論理は今も健在なんだろうな。
「スターゲイト」「ジャッカル」「ゴジラ」と続く、CG満載かスター満載で、
とにかく仮想敵を想定して皆が団結し、敵を打ち破って快感。主役は俺、みたいな構造。
いろんな意味で、とても勉強になります(笑)。
ローランド・ジョフェは「キリング・フィールド」。
70年代のカンボジアを舞台に、米人ジャーナリストと現地助手の友情を描く。
クメール・ルージュの恐怖、累々と連なる白骨死体の映像がショッキングでもあった。
この物語は米人記者の書いたものを基にしている。
アカデミー助演男優賞を取ったハイン・S・ニョールが授賞式の席上で静かに話し始め、
徐々に涙ぐんでいった顔が忘れられない。涙って話しながら静かに流れるんだね。
ロマン・ポランスキーは「水の中のナイフ」。
彼の映画は選ぶのに苦労する。これに続く「反撥」「袋小路」の3作は、
不安感に満ち溢れた画面の連続で、静かなのに高揚させられる。
「ローズマリーの赤ちゃん」「チャイナタウン」で不安感溢れる画面はそのままに、
物語性を加味した味わい深い語り口で、エンターテイメント的な成長を感じさせた。
近作「戦場のピアニスト」ではナチスに対する怒りも長い歳月が癒したかのような、
穏やかな語り口になっていたのが印象的。これは成熟と呼んでいいのか。
ロナルド・ニームは「ポセイドン・アドベンチャー」。
豪華客船ポセイドン号の転覆によって、客船内に閉じ込められた人々の脱出劇。
非常に気が弱くなっていた時期に観たため、S・ウィンタースが死ぬシーンで号泣。
隣の友人たちが私の異変を、宇宙人でも見るようにしていた。
続く「オデッサファイル」もF・フォーサイスの原作をもとに、
不安感あふれる物語を淡々とした語り口で語った。オチもいい。
もともとはイギリスの人。イギリス時代の作品は一本も観ていない。
ルドルフ・マテは「地球最後の日」。
新星が地球に近づいてくる。回避は不可能。
巨大なペンシル型ロケットを建造し、選ばれた人々だけが地球を脱出することになる。
しかし、パニックが起こりなかなかロケットは飛ばせない・・・。
ロケットの形とパニックののどかさが時代を感じさせるが、夢あふれる作品。
ここで登場した地球滅亡の光景はなかなか味わい深かった。
「都会の牙」「武装市街」などのノワール、
「欲望の谷」「レッド・リバー」などの西部劇もある。
ちょっと絵っぽい終末観でしたけどね。
「Cinema and so on」でも語ってます。
SF外国映画というカテゴリーです。
よろしければ読んでみて下さい。