時には目食耳視も悪くない。

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世界共通語。

2020年02月03日 | 本の林
 学生の時に受けた小論文の試験の課題が、「なぜ音楽が必要なのか」について書くものだったことを今も覚えています。
 具体的に何を書いたかは忘れてしまっているのですが。。。

 あらためて考えてみると、なかなか言葉で説明するのが難しそうです。

 楽しい気分の時、リラックスしたい時、勉強に集中したい時など、音楽を聞きたくなる理由は沢山あると思いますが、反対にまったく音楽を聞きたくない時もあるはずです。

 人が求めなければ音楽は必要にはなりません。
 もし仮に、世界中の人みなすべてが音楽を不要なものと見なしたら、この世から音楽は消え去ります。
 そんな世界、私には想像がつきませんし、これから先もそういう状況にはならないと思います。

 音楽がなぜ必要なのかという問いには、「必要としている人がいるから必要だ」としか、答えられないのではないでしょうか。

 音楽は人の生活の営みの中で生まれ、育まれる文化の一つです。
 ですから、もしまだ見知らぬ国の人について知りたい時、その国の音楽について調べることは良い方法かもしれません。

 どの国にも、その国独自の言語や食べ物があるように、音楽もその国の歴史や習俗を象徴している場合がほとんどです。
 日本の伝統芸能である能や歌舞伎では、昔ながらの装束を見ることができますし、上演されるものは日本の季節に即していたり、生活習慣と密接な関係にあるものであったりします。

 人が住んでいる場所や、その社会のしきたり、特有の考え方などと音楽を切り離して考えることはできませんし、むしろ、それらの理由があるからこそ、その音楽が成立していると見なす方が、より自然なことに思われます。

 音楽関係の本について雑談する動画【本の林】では、《「アメリカ音楽」の誕生 社会・文化の変容の中で》奥田恵二(2005 河出書房新社)を取り上げました。
 ※動画へはコチラをクリックするか、「本の林」で動画検索をお願いします。

 この本では、アメリカ音楽について書くにあたって、その始まりを1492年のコロンブスによる新大陸発見としています。
 つまり、アメリカ音楽について知ろうとするならば、まずその国の成り立ちを理解することが求められるということなのです。

 アメリカという国、人、その歴史、生活の営み、それらすべてを表現しているのが「アメリカ音楽」なのですから。

 ジャズやロック、ヒップホップなどのダンスミュージックはアメリカで育まれ、日本に流入した音楽です。
 曲だけを聞いて楽しむことはもちろん良いのですが、それらの音楽がどのように生まれ、アメリカの人たちに愛されてきたのか(あるいは、あまり歓迎されていないのか)、人々のどんな思いが音楽に表されているのかを知った時、以前よりもその音楽が好きになり、より身近なものと感じられるかもしれません。

 また、今まで見えていなかったアメリカという国の別の側面に気がつき、それまでの理解が変わるかもしれません。
 音楽は異なる国の人間同士が言葉を交わさずに交流することができる唯一の手段とも言えはしないでしょうか。

 もし、今私が「音楽はなぜ必要なのか」という問いを投げかけられたら、「世界平和のために不可欠だから」と答えてみようと思います。
 (少し格好つけすぎですが。。。)


 


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