Del Amanecer

スペインとフラメンコ、ビセンテ・アミーゴと映画とフィギュアスケートについて

興味深い「チームブライアン」という本

2015-01-04 18:04:44 | フィギュア・スケート
ブライアン・オーサーがキム・ヨナのコーチとして登場した時はちょっとした驚きだった。
だってね、カルガリーオリンピックで銀メダルを獲った彼はすらりとして羽生君みたいに軽やかにジャンプを跳ぶ選手として記憶していたのだから。

カルガリーオリンピックは1988年の開催。奇しくも私はその年の6月にカナダを旅行し、カルガリーの空港で降りてバスの中からジャンプ台などを目撃したものだ。
あれから27年。ブライアン、お互いに年取ったわねぇ・・(笑)
時の流れを痛切に感じる。

キムヨナに寄り添い、彼女は因縁の地カナダのバンクーバーオリンピックで金メダルを獲った。真央ちゃんに金メダルをと期待していたたくさんのファンはガッカリしたのだけど、その金メダルに導いたのは他ならぬこのブライアン・オーサーだったとは・・・。
彼はただのコーチなどではない。なんという戦略家がこの少女の味方だったのかと思うととても興味深かった。
キムヨナの母がアイスショーで活躍していたこのカナダ人のプロスケーターに専属コーチになってほしいとお願いしたのは偶然ではなかったのだろうね。

でも何もかも、もしかしたら羽生結弦に金メダルを獲らせるための伏線だった!?と思ってしまうほどの師弟関係を今彼と築いているのかと思うと、こちらも偶然ではないような気がしてしまう。すべてはスケートの神様が仕組んだシナリオなんじゃないかってね・・・。
もちろんハビエル・フェルナンデスとの出会いも、きっと偶然なんかじゃない。

この本を読んで、ブライアンがただコーチだけをしているのではないというのが、タイトルの「チーム・ブライアン」からも読み取れる。
このチーム・ブライアンはプロフェッショナルチームなのだ。
それぞれの分野で最高の人を集め、助言を求め、彼の属するクリケット・クラブの生徒たち、とりわけ羽生君やハビエルや、カナダのナム・グエンなどに最高の環境とコーチングと多岐に渡るサポートでトップクラスの選手に育て上げるプロ集団なのだ。
でもそれだけではない。

ブライアンは生徒に分け隔てなく、時にはまるで父親のような愛情を注いでいる。
ビジネスではないとても温かい感情の交流があり、それがまた選手たちの心の安らぎになっているのだろう。そしてその愛情は、彼らがいつか引退し第二の人生に踏み出していくことができるようにという先まで見据えた地に足のついたものなのだということに感動した。

愛すべき息子ハビエルのスペイン人らしいエピソードはスペイン好きの私にとってはニヤリとしてしまう微笑ましさ。そうそう、スペイン人ってこんな人多いよねと笑える。
そして正反対の羽生君の中には、ブライアンは若き日の自分自身を重ね合わせている。
その点でも羽生君にとっては最高のコーチを得たのだろうと思い嬉しくなる。

ブライアンがいれば大丈夫だよ。そう言い切れるくらい彼は魅力的だね。
キムヨナとの別れは突然で納得のいかないものだったような記述もあるけれど、羽生君やハビエルとはそんなふうにはならないだろう。たぶんというよりこれは確信だ。
平昌オリンピックで輝くメダルを手にした教え子たちと微笑むブライアンがみたい。
そしてそのあともきっとふたりはブライアンと良い関係を続けていけるのではないかな。

特に羽生君のファンでない人でも、とても興味深く面白く読める本だと思う。
もちろん彼のファンならなおさらね!


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