Del Amanecer

スペインとフラメンコ、ビセンテ・アミーゴと映画とフィギュアスケートについて

遅ればせながら・・・カニサレス来日公演2013

2013-12-29 00:31:24 | コンサート&公演レビュー
今年2度目の来日。
5月のラ・フォル・ジュルネでは7つのコンサートに行ったけれど、そのうちフラメンコはふたつ。
いずれも時間は通常のコンサートの半分で約1時間。
この時も「魂のストリングス」の公演もあったけれど、いかんせん1時間という枠のなかでは演奏曲数は限られてしまうから、それをダイジェスト版とするなら今回のコンサートは完全版だった。

公演日は12月18日と19日の2日間だったけれど、両日ともあいにく雨模様。
それでもオフィスを定時に飛び出して新宿文化センターへ。
開場の18時15分頃に東新宿の駅に着いたけれどとりあえず軽くお茶して18時半頃会場に入る。
サイン会があるというのでまたCDを買う。
この前のトークイベントの時に新譜は2枚とも購入済みで、いずれもサインしてもらったのだけど、また声がかけられるのならと三角帽子2枚目を買った。
クロークはないので、コインロッカーにダウンを入れていると、クラシックギタリストの鈴木大介さんと遭遇。彼らはすっかり友人なのね。

わが友人は職場から遠いためぎりぎりになるというので、先に席へ。
ラフォルジュルネのフラメンコの時は知ったのが遅くて端の方に突き出した2階席(よみうりホール)だったけれど、今回は先行発売初日に申し込んだので、2列目のやや左寄りながら通路わきのとっても見やすい席だった。
ステージからも近くて肉眼(?)で指遣いが見られそうだ。
今回はクァルテットなので、カニサーレスとセカンドギターのホアン・カルロス・ゴメス、バイレ・カスタネット・パルマのチャロ・エスピーノ、バイレ・カホン・パルマのアンヘル・ムニョスというメンバー。
必要最小限でシンプルな組み合わせだと思う。

席が暗くなる前に友人が滑り込んできた。良かった。
彼女が席に座るのを待っていたかのようにタイミングよくコンサートが始まった。
ひとり椅子に座り、ゆったりと弾きはじめるカニサーレス。
相変わらず力強いゴージャスな音だ。
弦を押さえたまま次のポジションへ。カニサーレスらしい心を揺さぶるフラメンコな音。
弦を抑えたままグイーンと前後に弦を揺らす。音を自在に操るマエストロの技。
バックのスクリーンには手元が大映しになっているけれど、私は彼の生の指の動きが楽しめてラッキーだ。
前回のラフォルジュルネは基本クラシックの音楽フェスティバルなのでカニサーレスもクラシック系の演奏が多かったけれど、やっぱり私にはフラメンコを演奏するカニサーレスがいい。

他のメンバーも加わって「クエルダス・デル・アルマ(魂のストリングス)」の曲が続く。
でもその中に昔の曲も数曲。
私の好きな「コメタス・デ・ジュビア(彗星の雨)」はコンサートの定番だね。
最高に盛り上がって熱い曲だ。信じられないような指の動きも堪能できる。
彼は演奏中のシリアスな表情はこわいくらいなんだけど、曲の合間にみせる笑顔はまるで別人のよう。
本当はお茶目で楽しくて優しい人だからね。

休憩をはさんで演奏は続く。
1曲ごとに熱くなっていく。でもこの前のよみうりホールと何かがちがう。
なんだか激しく情熱的なのに、どこかゆったりとしていてストイックな感じがしないのだ。
今回はかなり早めに12月頭には来日して、マネージャーである奥様とプロモーション活動をしながらも日本の家族や友人の方たちとの時間を過ごしていたようだから、そんなリラックスした気持ちが表れたのかな。
前回はゾクゾクしてしまったのだけど、今回はなんだか心癒されてゆっくりゴージャスな音を堪能させてもらった、何か優しさにあふれた演奏だったような気がする。

10月にビセンテのコンサートを聴いたばかり。
つい比べてみたくもなるけれど、どちらも神に選ばれた天才だ。
比べることなどできないし、比べることは意味がない。
ただただその個性の違いを楽しむというのが正解なのだから。
どちらも音がとてもきれいというのは共通点かもね。

途中チャロが何曲か衣装を変えては華麗に舞って花を添える。
もちろんアンヘルも。ふたりともとても切れの良いスリリングな踊りで私たちを引き込む。
セカンドギターのホアンの演奏も素晴らしく、本当にカニサーレスは最強のメンバーを選んだなぁと思う。
アンコールは一曲だったけれど、最後にはスタンディング・オベーションで彼らに拍手をおくった。
大満足なコンサートだったね。

終了後サイン会に並ぶ。
時間がないのでサインはひとつ、名前入れは禁止、一緒の写真も禁止と今日は厳しい。
でもこの前のイベントのときそれらは全部かなえられているからね。
私の番がきたので「Feliz Navidad!楽しい休暇を過ごしてくださいね」とスペイン語で声をかけると、にっこり笑って、そして早口で何か言われた。聞き取れなかったので「え?」と聴きなおすと奥様が「あなたのこと覚えてるって言ってます」と。
トークショーの時、1列目に座っていたからね。でも覚えていてくれてうれしい。
暖かい手で握手をしてくれた。素敵な笑顔だった。
列から離れると小島章二さんと濱田滋郎さんを見かけた。
この前イベントの時にお話しさせていただいた、奥様の妹さんにもお会いした。

今回のコンサートはキリンビールがスポンサーだったので、キリンラガー2缶がお土産に配られた。
外に出ると雨がさっきよりも強くなっていた。
でもそんな雨にもかき消されたりはしないほど心の中にともった灯りは明るくて温かい。
本当に素敵なコンサートだったからね。


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2 Comments

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余韻 (Luzia)
2013-12-29 15:09:53
Angelitaさん、こんにちは。

カニさんのコンサートの余韻がまだ続いております。当日はクラシック関係者の方も多くいらっしゃっていましたね。僕は大萩康司さんを目撃しました。あと、ピーター・バラカン氏も。あの荒天の中、満員だったのは素晴らしい!

Angelitaさんが仰るとおり、とてもリラックスした演奏でした。バリバリ熱い演奏を期待していた方は一瞬えっ?っとなったかもしれませんね。

でも、一音たりとも揺るがせにしないカニさんの集中力は凄まじいものを感じました。やっぱり、半端ない感性の持ち主ですわ。

近年では珍しいシンプルな編成のコンサートだったのも良かったです。ビールも貰えましたしっ!
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余韻・・・ (Angelita)
2013-12-29 21:24:49
Luziaさん
ホント、まだ余韻に浸っていますよ。
トークイベントからずっとカニさんのギターが頭の中をぐるぐる・・。
コンサートは本当に情熱的でカッコイイのになんだか癒されましたね。
きっとカニさんがすごく満足して、家族と一緒に暖かい時間を過ごして、そして日本での滞在も楽しんでくれているんだろうなぁと思いました。
あの指をみているとドキドキしますよ。
(あ、ビセンテに怒られちゃう!?かな笑)
ビールのお土産付きはびっくりでしたね。
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