Del Amanecer

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クリスティーヌにとってのオペラ座の怪人

2006-10-07 01:10:44 | オペラ座の怪人
30回を超えても観ればまた観たくなる困った(?)映画「オペラ座の怪人」。
と言っても先日MOVIXさいたまで再会したばかり。
今回は豊洲の新しいシネコンで興味津々で「音響はどうかな?」とか「スクリーンの大きさは?」とか映画館そのものの印象も気になりつつ、この大好きな作品をエンターテインメントとして「楽しもう」と気楽な感じでシートについたのだった。

音響もまずまずで安心し、いつものようにオークションの場面が始まる。
そう、今日は余裕を持って宝箱の中の宝石を眺めるようにオペラ座の世界に浸る予定だったのに・・・。

クリスティーヌがついに光を浴びて舞台に立ち「Think of me」を歌い始めると理性の箍があっさりと飛んでいってしまった。
私はこの歌に弱いのだ。これを聴くとどうしたって涙が出てくる。
そして今回ほどクリスティーヌに感情移入してしまったことってなかった。

「時々でいいから思い出して・・・」

いいえ。ファントムはあなたのことを忘れたことなど一瞬たりともなかった。
命ある限り、命が尽きてもファントムはあなたのことしか考えなかったよ。
ファントムが愛したのは、愛しているのは、永遠に愛するのはあなただけ。
それだけが彼の望みで、彼の心で、彼のすべて。

ファントムへのクリスティーヌの愛は心の奥深くにそっと眠っていたんだね。
目覚めるのは別れてから。
あまりに深いところにあって気づかなかった。
やさしいラウルの愛に包まれているのに、心の奥でファントムへの愛が疼く。

「私を思い出して。眠らずに諦めに浸り、言葉を失っている私を想って。
 あなたを心の中から追い出そうと必死になっている私を想像してみて。」

ラウルと子供に囲まれたおだやかな生活の中でどうしようもなく思い出すファントムへの熱い想い。
穏やかで幸せなら幸せなほど、ファントムへの愛は狂おしかったことだろう。
どんなにファントムに会いたかったことだろう。
ファントムを思い出さなくても生きていけるのならこんなに苦しい思いをすることはないのだろう。
甘美でありながら身を切られるような想い。

それを知りつつクリスティーヌを生涯愛し守ったラウルも切ない。
愛するクリスティーヌを光の中に放ったファントムも切ない。
でも、こうして愛するファントムを想うクリスティーヌもまた切ない。

胸が痛くなるほどの彼女の想いがあふれるこの歌を聴くとき、
私はやっぱり涙してしまうのだ。
何度観ても、何度聴いても、切なくて。

「あなたを思い出さない日など一日としてありはしないでしょう。」

ファントム、クリスティーヌはこんなにあなたを想っている。


※「Think of me」の歌詞はCDの訳詩より引用




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4 Comments

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わかります! (light-light)
2006-10-07 07:46:12
>クリスティーヌがついに光を浴びて舞台に立ち「Think of me」を歌い始めると理性の箍があっさりと飛んでいってしまった。

>私はこの歌に弱いのだ。これを聴くとどうしたって涙が出てくる。



私もです!聴けば聴くほど心打たれる歌ですよね。この歌がオペラ座の楽曲の中で一番好きです。ミュージック・オブ・ザ・ナイトもいいです。官能的でファントムの渾身の思いが込められていて心打たれます。



>目覚めるのは別れてから。

>あまりに深いところにあって気づかなかった。



やはり回想シーンの時点ではクリスはファントムへの愛をはっきりとは自覚していなかったのでしょうね。まだ16歳ですものね。



「あなたを思い出さない日など一日としてありはしないでしょう。」



私もこの一節を毎日ファントムのことを思って心の中で歌っております。我ながら書いていて恥ずかしいのですが。彼のことがいつまでも心から離れていかないのです。ああスクリーンで彼を観たい!
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ファントムは心の中ですね。 (Angelita)
2006-10-07 22:54:56
コメントありがとうございます!

本当にこの映画は「映画なんだ」という感覚を飛び越えてしまうんですよね。

私の中にもファントムはちゃんと生きています。



クリスティーヌがどんなにファントムを愛してその後の人生を生きたのか、この「Think of me」に歌われているのですよね。

その歌声が地下のファントムに届くシーンが切なくてとても好きなところです。



light-lightさんのブログにもおじゃまして、いろいろオペラ座についてのレビューや考察を読ませていただきました。

light-lightさんの想いがあふれていて、共感したり、「そうだったのか」と思ったり。

オペラ座はこの映画を愛する人の数だけいろいろな感想があるのですよね。それぞれのオペラ座の世界、大切にしたいですね。

また寄らせていただきますね。

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私を想って… (ジャックいるか)
2006-11-12 00:02:45
スミマセン~1ヵ月前の記事のコメントになりますがお許しくださいm(__)m

「Think Of Me」、クリスティーヌがこの歌を歌う場面は2回目以降の鑑賞では毎回のように涙が出ました。
ラウルとの穏やかで優しい生活の中、彼女の心の中では、ことあるごとに、この歌が流れていたと思います。
一人、星空を見上げるとき、深紅の薔薇を見たとき…
決して口にしてはいけない願いだったからこそ、余計にファントムへの想いは彼女の心を燃やし続けていたように感じます。
そして、ファントムも又、この歌を歌っていたのではないか、いつからかそう思う様になりました。

もう二度と逢うことは叶わない二人だけど、二人がこの歌を歌っているとき、互いの存在を少しでも近くに感じれたら…そう願ってしまいます。

クリスティーヌがファントムに指輪を握らせるシーンで私は
「私を忘れないで…」
というクリスティーヌの言葉が聞こえるような気がします。
そしてその指輪を大切に握り締めるファントム。

二人が互いを想い歌う「Think Of Me」
この歌が二人の心から消えることは無かったんだろうなぁ、そう思ってしまいます。
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指輪 (Angelita)
2006-11-12 11:57:06
ジャックいるかさん こんにちは!

そうですね。ファントムもこの歌を歌っていたかもしれません。彼が歌っていたというよりは心の中でクリスティーヌの歌声を聴いていたのかもしれません。

指輪のシーンではクリスティーヌは何も言いませんよね。
ただ黙って万感の想いをこめた眼差しでファントムをみつめ指輪をその手に握らせて去っていく。
涙もなく微笑みながら、でも彼を振り返りながら。
何も言わないからこそ指輪にこめられた想いが熱く哀しいです。
言葉に出来ない想いもあるのですよね。
ぼろぼろに傷ついたラウルの背中に手をあてながらクリスティーヌは振り返る。
でも去っていく彼女に歌う「君だけが私の歌に翼を」というあのときのファントムの目が私は一番好きなのです。

Think of meはふたりの心をつなぐ歌なのですよね。
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