これはプログラムのロミオの写真。
艶やかな黒髪をきっちり分けて梳ったステファンが数メートル先に立っている。
最初のポーズを決めて音楽が始まるのを待つ一瞬。
何とうれしいことに私が座った南サイドのアリーナ席は正面だった。
こちらは競技会ならジャッジ席がある方。もともと競技用プログラムになるはずだったこのプログラムはジャッジ側が正面に作られているようだ。こちらを向いて氷の上に立つステファンは私をしっかりと強い眼差しで見つめている(ように見える!)。
かつて世界を二分したポルトガルとスペイン。
ポルトガルの血が半分流れるステファンと、スペイン人が征服した地アルヘンティナ。
ともにルーツはラテンだ。
ステファンの中に流れるラテンの血が目を覚ましたように、ステファンはロミオとはまるで別人だ。
ワインが体に染み込んでいくようにゆっくりと、濃厚なタンゴの旋律の中にステファンは溶けていく。
フラメンコはソロでも踊れるけれど、タンゴは本来ひとりでは踊れない。
パートナーなしには成立しない踊りなのだけど、ステファンは見えない相手に身を焦がしたり、
翻弄したりしながら、ピアソラのタンゴを独り舞台で踊るのだ。
アントニオ・ナハーロの振付らしく、斬新でスリリング。
どこかフラメンコ的な気もするけれどしっかりアルゼンチン・タンゴの雰囲気を漂わせている。
彼の振り付けのセンスは私は好きだ。
そしてそれを表現するのがステファンだからこそ、より彼の振り付けが生きるのだ。
複雑なステップ、そして独特の手の表情。プロになっても果敢にジャンプを跳ぶ姿。
でもプロになったからこそ表現は無限に自由だ。
それはこのピアソラのタンゴからもひしひしと伝わってくる。
始まってしまえば後は終わるだけ。
はかないうたかたのようにすべては空気の中に消えてしまう。
終わらないで~と胸の中で叫び続けたのに・・・。
でも初めて目の前でみた生のタンゴはしっかりと心に焼き付けられた。
誰もが氷の上でステファンと一緒に踊っていたことだろう。
そう、タンゴはひとりでは踊れないのだから。
滑り終えて満足そうな笑みを浮かべたステファン。いい表情をしていたね。
ご挨拶もこちら側から。投げキッスもしっかりしてくれた。
となりの人がスイスの旗を持っていたからか、手を振ってくれるステファン。
濃厚なのにやっぱりどこか爽やかなステファンは風のように去っていった。
まだ氷の上には熱い空気が漂っている。
ステファン、氷が溶けちゃうよ・・・。
~~3へ続きます~~
艶やかな黒髪をきっちり分けて梳ったステファンが数メートル先に立っている。
最初のポーズを決めて音楽が始まるのを待つ一瞬。
何とうれしいことに私が座った南サイドのアリーナ席は正面だった。
こちらは競技会ならジャッジ席がある方。もともと競技用プログラムになるはずだったこのプログラムはジャッジ側が正面に作られているようだ。こちらを向いて氷の上に立つステファンは私をしっかりと強い眼差しで見つめている(ように見える!)。
かつて世界を二分したポルトガルとスペイン。
ポルトガルの血が半分流れるステファンと、スペイン人が征服した地アルヘンティナ。
ともにルーツはラテンだ。
ステファンの中に流れるラテンの血が目を覚ましたように、ステファンはロミオとはまるで別人だ。
ワインが体に染み込んでいくようにゆっくりと、濃厚なタンゴの旋律の中にステファンは溶けていく。
フラメンコはソロでも踊れるけれど、タンゴは本来ひとりでは踊れない。
パートナーなしには成立しない踊りなのだけど、ステファンは見えない相手に身を焦がしたり、
翻弄したりしながら、ピアソラのタンゴを独り舞台で踊るのだ。
アントニオ・ナハーロの振付らしく、斬新でスリリング。
どこかフラメンコ的な気もするけれどしっかりアルゼンチン・タンゴの雰囲気を漂わせている。
彼の振り付けのセンスは私は好きだ。
そしてそれを表現するのがステファンだからこそ、より彼の振り付けが生きるのだ。
複雑なステップ、そして独特の手の表情。プロになっても果敢にジャンプを跳ぶ姿。
でもプロになったからこそ表現は無限に自由だ。
それはこのピアソラのタンゴからもひしひしと伝わってくる。
始まってしまえば後は終わるだけ。
はかないうたかたのようにすべては空気の中に消えてしまう。
終わらないで~と胸の中で叫び続けたのに・・・。
でも初めて目の前でみた生のタンゴはしっかりと心に焼き付けられた。
誰もが氷の上でステファンと一緒に踊っていたことだろう。
そう、タンゴはひとりでは踊れないのだから。
滑り終えて満足そうな笑みを浮かべたステファン。いい表情をしていたね。
ご挨拶もこちら側から。投げキッスもしっかりしてくれた。
となりの人がスイスの旗を持っていたからか、手を振ってくれるステファン。
濃厚なのにやっぱりどこか爽やかなステファンは風のように去っていった。
まだ氷の上には熱い空気が漂っている。
ステファン、氷が溶けちゃうよ・・・。
~~3へ続きます~~
コメントレスが遅くなってごめんなさい・・
席を買うときはどこが正面なのか分らないので賭けなんですが、今回は売り出してから大分たっていたのに、1席だったこともあり、よいところが残っていてホントよかったです。
もうワンランク下の席にしようと思ったのですが、ここがあいていたので奮発しました!
ステファンは本当にプロらしくなったと思います。
ロミオにしろ、ポエタにしろ、もともとショー的要素のあるプログラムが多かったような気がするのですが、このタンゴはまさにプロとしての出発にふさわしい濃いプログラムだと思いました。
幻の「サマータイム」もぜひ完成してお披露目してほしいものです。
今回はプロのスケーターの多いショーだったのでなおさら思ったのですが、競技会を退いても、みんな活躍しているんだなぁと・・・ステファンの横顔を眺めながら彼の未来に想いを馳せてしまいますね。
ステファンのピアソラ、お席の方はベストポジションで、彼の演技を存分にご堪能できたみたいで、良かったですね!
ステファンをMOI→SOIと見させていただいて(←テレビでですが、、、、汗)彼はプロになってから「表現欲」みたいなものがますますと開放されてきたというか、
プロという自由な立場になって、もっともっと貪欲に「いろいろなものを表現したい!」
そんな彼の気迫みたいなものがあの「タンゴ」からヒシヒシと伝わってくるような、そんなプログラムですよね。
今後彼が何をどう表現してくれるのか?彼がどう変化していくのか、引退してもなお目の離せない素敵なスケーターですね!
引き続きレビューの方、楽しみにしておりますね!