Del Amanecer

スペインとフラメンコ、ビセンテ・アミーゴと映画とフィギュアスケートについて

沖仁 en 近江楽堂2015

2015-01-31 00:46:24 | コンサート&公演レビュー
今週火曜日(1/27)の夜、東京オペラシティ・近江楽堂で開催された「沖仁 完全ソロ・フラメンコギターコンサート -Sin micro- 第12弾」へ。
この小さな教会のような素敵な空間でマイクなしのコンサート。
ギターのような大音量の出ない楽器にはぴったりだね。
遊牧民のテントの中で肩寄せ合っているかのような親密で温かな空間。

沖仁はいつものように柔らかな物腰で、穏やかなアイレを身にまとって登場。
今回は彼の愛器や、試作品のギターを何本も持参して聴き比べも出来るというもの。
楽器はどれもそうだろうけれど、とりわけギターのような楽器は繊細に音のちがいが分かるので興味深い。

1曲目はヤマハのモデル(沖さんの所有ではない)でパコ・デ・ルシアの二筋の川をアレンジで。
彼のスペイン時代に使っていたというコンデ・エルマノスはとても弾きにくい楽器なのだという。その事実に気づかずに長年使っていて、他の人の楽器を借りて弾いて驚いたとか・・(笑)
でもきっと彼にとってはスペイン修業時代の戦友のような楽器なのだろうね。
1曲ごとにギターを変えながら、ブレリア、シギリージャ、ソレアーと、純粋なフラメンコの曲ばかりを披露してくれた。

昨年まではいろいろなジャンルのアルティスタとの共演が多くて、フラメンコ色が少々薄かった印象だけど、この夜の第一部は濃厚なフラメンコで満たされていて大満足だった。
やっぱりフラメンコギタリストはフラメンコそのものを弾いているときが一番素敵だ。
ビセンテもカニサーレスもトマティートもみんな同じ。
思わずニヤリとするようなバリバリのフラメンコに酔った。

「最後の曲です」というので、え?短くない?と思ったら第一部最後の曲で、休憩をはさんでしっかり第二部もあったのだ。
1曲目にチック・コリアのスペインを演奏。素敵なアプローチでとってもよかったけれどご本人は「これって一人で弾く曲じゃないですよね~」と笑っていた。ひとりで演奏すると、なんというか・・忙しいからね!(笑)
今年のお正月からアレンジを始めたという「さくらさくら」は途中でおしまい。「ここまでしかできていないんです」ということでした。そんなラフな雰囲気もこのホールならではなのでしょうね。
第一部に比べたら穏やかな曲ばかりという感じだったな。
でもやっぱり沖仁にはスペイン人も納得のフラメンコフラメンコを弾いて欲しい。

アンコールには「どの楽器かリクエストは?」の問いかけに私の前方の女性がコンデ・エルマノスを所望。例の弾きにくいやつね。
それでもその微塵も繊細さがないというマッチョな楽器を多少弾きやすく改造したのだという。
硬派なファルーカ。なるほど楽器によってものこんなに音がちがうんだよね。
でも弾き終えて最後の曲は「もうこの子では弾きたくないから~(笑)」と楽器を替えて新曲を披露。ファミリアというこの曲は優しさにあふれていて、最近第二子が誕生したばかり彼らしいあたたかな曲だった。
(沖さん、ギターたちを「この子」と呼ぶのが微笑ましかった!)

それにしてもこの、sin microfono マイクなしというのは面白かった。
本当にギターからのみ流れてくる音が空間を満たしていくというのは、大きなホールでは出来ない。
アルティスタと親密な距離で音楽とゆったりと対話できるという贅沢なひと時だった。

コンサート自体ももフラメンコも久しぶりだった。
そしてやっぱり私はギターの音が、ギターという楽器が一番好きなんだなぁと再発見できた。
次回は3月・ビルボードライブでの渡辺香津美との共演に行く予定。
こちらは純粋なフラメンコにはならないだろうけれど、以前聴いたこともありとても楽しみだ。


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沖仁 完全ソロ・フラメンコギターコンサート -Sin micro- 第12弾
2015年1月27日火曜日1830~
東京オペラシティ 近江楽堂







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4 Comments

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Solo! (Luzia)
2015-01-31 10:16:31
Angelitaさん、こんにちは。

沖仁さんのコンサートレポ、ありがとうございました。色々な楽器を弾かれたのですね。各楽器の音の違いが判って面白いんですよねぇ。

近年は完全ギターソロによるフラメンコ・ギターのコンサート自体が非常に珍しいので、今後もどんどんやって欲しいですね!
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Solo y muy flamenco! (Angelita)
2015-01-31 13:22:19
Luziaさん
むかし野口英世ホール(?だったっけ?)でやっていたクラシックギター試奏会を思い出しました。
福田さんがゲストだったのかなぁ?(ちがったかな?)舞台にほとんど幕を下ろした覆面状態で次々と試奏をして音を比べるというの。あれ、思い出しました(笑)

確かにギター1本のフラメンコギターのコンサートってないですよねぇ。チケットは数十分で売り切れたとか。
(席数が少ないですからね)!行けてよかったです。
毎年やってるみたいなので、次回はぜひ!
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Unknown (アルパコ)
2015-02-05 18:28:27
Angelitaさん、初めまして
Luziaさんのブログからお邪魔しました。
ちょうどこの日は他のライブで見に行けず、このレポで詳しい内容を知ることができて助かりましたありがとうございます。色々なギターを弾き分けたのは興味をそそるところですねU+266B
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初めまして (Angelita)
2015-02-05 22:12:37
アルパコさん
初めまして。ご訪問ありがとうございます。
今回は行かれなかったそうで残念でしたね。
毎年やっているようなのですが、私は初めてでした。
なかなかマイクなしのようなコンサートはないので贅沢な時間でした。
逢坂剛さんのカディスの赤い星コンサートでは、逢坂さんの所有の様々なギターを沖さんやゲストのギタリストが弾く場面もありますが、沖さんが所有のものを持ってきて弾き比べというのは面白いですよね。
来年は行かれるといいですね!
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