拝啓 炭谷銀仁朗様
お久しぶりです。
あなたが我が軍を去って半年。
久しぶりにあなたのプレー、
拝見しました。
それにしても見事な昨日の3ラン、
一昨日の2点タイムリーも見事でしたが、
それにも増して素晴らしい糸を引くような打球、
なんだか初めて見たような気がするのは、
ワタシだけでしょうか。
そして相変わらずのキレのあるリードには、
さしもの我が軍の山賊どもも、
全く翻弄されてしまいました。
まあ、
長く親しんだこの場で、
全てを知っている山賊たちを翻弄するなど、
あなたにとっては朝飯前の出来事なのかもしれません。
それにしても、
勝手知ったる〝我が家〟での大活躍は、
我々ファンにとっても、
なんだか嬉しい出来事でした。
これまでも数多の選手がここからFAなどでライバル球団に巣立って行きましたが、
それらの選手の中でこれほど温かい気持ちで応援させてもらったのは、
はっきり言ってあなたが初めてだと思います。
まあ、
ライバルといってもセ・リーグのチームですから、
そう感じたのかもしれませんがね。
昨日見ていて感じたのは、
やはり捕手が良くないと戦えるチームにはならないなあという実感です。
アナタは、
森捕手との戦いに敗れて正捕手の座を奪われ、
そのためにFAで巨人に去ったと言われていますが、
アナタの中では今でも、
捕手としての能力でオレは森には劣っていないというプライドがあるのではないでしょうか。
チーム方針と言えばしたかのないことなのかもしれませんが、
「打てる捕手」
としてあまりチームの試合を見ていないマスコミなどには非常に評判のいい森捕手が、
実はチームの投壊に影を落としていることはあまり言及されていません。
しかし西武ファンは、
ヘビーなファンであるほど森とアナタの「捕手としての能力」の違いを、
嫌という程感じているのではないでしょうか。
昨日のアナタのリードは、
やはり捕手としてたくさんの経験が生かされ、
打者は投手だけではなく捕手とも対峙しなければならないと感じさせるものでした。
そして捕手に一番重要な、
「一流の捕手は黒子に徹することができる」ということも、
昨日感じたところでした。
一方で森捕手は、
少しでも投手がバタバタし始めると、
それを文字通り「リードしていく」術は持ち合わせていないようで、
西武の打線がそうであるように、
投手陣も「調子が良ければ抑えるが、調子が悪けりゃ、ああそれまでよ」という、
その日暮らしのリードに見えてしょうがありません。
黒子に徹すること・・・・・彼にはそれが、一番難しいことのように見受けられます。
そしてそれ以上に、
1試合に必ず1回、2回はやらかすパスボール、あるいは痛いファンブル。
体を張れないその捕球は、
投手陣から「大事なところでは空振りを取る低めの、ワンバン覚悟の変化球」という選択肢を奪い取ってしまっているようにも見え、
投手を追い込んでしまう・・・・・・という事も事実ではないでしょうか。
はっきり言うと、
森捕手はその打力は紛れもなく超一流レベルの選手ですが、
プロの捕手としてはその能力はどんなによく見積もっても一流半、
いや、もっと下に見えます。
それは成績にも如実に表れていて、
西武のチーム投手成績は、
森がマスクをかぶり始めた昨年から急降下。
それまで3点台中盤だったチーム防御率は、
昨年リーグ最下位の4点台になり、
今年はあり得ないような4点台後半まで落ち込んでしまっています。
この要因、
世間ではO投手コーチにその責任の所在を求める声が大半ですが、
ワタシはフロント、首脳陣、そして捕手のそれぞれの稚拙さのコラボに見えて仕方がありません。
コマ不足に何も手を打たないフロント、
昔のやり方に固執するベンチ、
そして能力の低い捕手。
これがいまのあり得ないような酷い状況を招いているのは間違い無いと思っています。
もちろん「打てる捕手」という、
ある種抗えない甘美な響きに、
チーム全体が酔ってしまうのは、
ある意味仕方ないことだと思います。
しかし、
思い出せる「打てる捕手」といわれる、
古くは古田、谷繁、城島から阿部までの各選手は、
みんな一流と呼ばれる高い守備能力を持っていて、
特にリードということに関しては、
疑いなく「一流」というラベルを張れるのは、
間違いのないところです。
「守れない扇の要」
はチーム全体を活性化するどころか、
非常に危険な状態に追い込んでしまうのではないかと思っています。
かくいうワタシも、
ずっと西武というチームを見てきて、
過去の捕手である伊東、細川、そしてアナタという歴代の「守れるが打てない捕手」から、
なんとか打てる捕手が出てこないかなぁ・・・
と思ったことも、
何度もあります。
どの捕手も、実際あまり打てなかったですからね。
まあ、思い返してみると、
チームの歴史を30年以上振り返って、
正捕手と呼ばれる選手がわずか三人ということには、
改めて驚きますね。
それだけ重要で、
長く任せたいポジションなんですね。
西武の歴史においても、
捕手として入団してきても、
打力一流、守備ハテナ?の選手は、
その打力を生かしてコンバートするというのが、
一番いい御し方なんだと思います。
和田ベンちゃんや高木大成など、
そうした選手はこれまでもチームで幾人か見受けられます。
森は明らかにそんな種類の選手に見えてなりません。
なんだか球団は、
何かに取り憑かれたかのように「森を正捕手にして、打てるキャッチャーを作るのだ!!」って感じで突き進んでいて、
まだ捕手としての能力は森よりはマシだと思われる岡田も今シーズン滅多に使うこともないのですが、
このまま数年この状態でいいと思ってるのかな?
それから球団は根本的な問題、
忘れていないかな?
あと3年もして、
「やっと森も一人前に・・」
ってなった時に彼はFAの権利取得しますよ。
そしてまず間違いなく、
その権利行使しますよ。
わかってますよねえ。
あの浅村や秋山でさえFAさえ取ればチームを去るという選択をするという「特殊な球団事情」を、
わかってますかね。
「金じゃねえんだ・・・・・」
と去って行かれるが「金でも勝負できない」球団事情で、
FA取った選手に残留を期待するほど甘い予測、
まさか立ててはないとは思いますが。
まあ、FAで去った選手の浮いた年俸分をチーム強化にも当てない球団だしなあ。。。。
ファンも浮かばれないけどね。
そうなった時には、
また正捕手の件、一からやり直し・・
ですよね。
これから3年投壊に苦しんで、
さらにその後は捕手もいなくなる。。。
これを負のスパイラルと言わずして、
なんというのでしょうか。
古田の時も谷繁、城島の時も、
言われていたのは「投手が捕手を育て、そしてその捕手が今度は投手を育てる」ということ。
それこそが黄金のスパイラル。
それが出来た球団は、 長くその強さを維持できるということは、
チーム強化の根幹の部分ではないか、
そう考えているからこそ、
昨日見せつけられてしまった「捕手の差」に、
愕然としているのです。
まあ、捕手を育ててくれるベテラン投手が皆無ということも、
森捕手にとっては悲劇なのかもしれませんが。。。。
アナタはチームに骨をうずめようと思っていたはずなのに、
チームがそれを望まなかった。
それがチームにとってどんなに大きなことか、
いざいなくなってから気づくなんて。。。。。。。
ひどすぎるチーム作りだ。。。
森にも捕手に対するこだわり、プライドがあると思いますが、
やはりプロは能力の世界。
森の打力は、
誰も疑うことのない超一流なだけに、
和田ベンちゃん、元ヤクルトの飯田、あるいは田淵、
そんな「打者としての道」を極めていって欲しい、
そう思います。
そしていま、
「炭谷銀次郎」という失ったものの大きさを、
ファンも改めて噛み締めています。
多分「捕手としてオレは方が絶対に上」と思っているプレーヤーに、
チーム方針という大義名分のもとポジションを奪われたということが彼のFAを後押ししたのは、
間違いのないところでしょう。
その悔しさやモヤモヤした気持ちを持ってやってきたこの古巣との初対決。
心に期するものがあったのは、
想像に難くありません。
そして見せつけた、
森との「捕手としての大きな差」。
これからのチームの苦難の道が、
昨日改めて見えた気がして、
またまたこのチームにため息を禁じ得えませんでした。
さて、古巣のことは置いておいて、
これからも、
巨人という球団で大いに活躍して、
小林・炭谷の「捕手の二本柱」で巨人を支えて行ってほしいと思います。
(実はワタシ、コバちゃんも大好きな選手なんですよねえ。。。。)
そしてどうか、引退した暁には、
現監督の辻さんのように、
「昔のことはどうか水に流して」
チームに指導者として戻ってきてほしいと思っています。
そして来るべき「栗山監督」の時代に、
チームを支えて行ってほしいと思っています。
やっぱり、
「銀ちゃんは西武のユニフォームがよく似合うし、内海は巨人のユニがよく似合う選手だよ」
なんて改めて思います。
がんばってくださいね!
そして秋には日本シリーズでその雄姿を見せてほしいと思っています。
敬具