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ムービー・クリティサイズ

映画ブログ。映画を愛でよ!監督を愛でよ!
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ビッグ・フィッシュ

2007-09-10 14:23:34 | DRAMA
『シザーハンズ』のティム・バートン監督作品。個人的にかなり好きです。


キャスト:ユアン・マクレガー、アルバート・フィニー、ビリー・クラダップ


ストーリー:父エドワードが危篤であることを知ったウィル。ウィルは幼い頃からエドワードの荒唐無稽な昔話を聞かされて育ったが、ウィル自身は父の話を信じてはいなかった。それでもおとぎ話のような昔話を続けるエドワードにウィルは怒りを顕にし、事実の確認を始める。


ティム・バートンの映画では一番好きな作品。そしてバートン作品を捉える上で今現在最も重要な作品。
『シザーハンズ』や『チャーリーとチョコレート工場』でもそうであったように父と子の関係が大きなウェイトを占める作風。どうやらバートンは父親との間に深い溝のある人生を送ってきたみたいです。
今までは「親」に対しての「子」であったバートンですが、実はこの映画の少し前に子どもを授かっています。となると彼は「子」としてではなく「親」としての視点からモノを考えるようになります。ですので、ファンタジーを語る父エドワードはバートンの分身です。間違いなく。
息子であるウィルがリアリティを重視するのは、バートン自身が父親と分かり合えなかったことと同じようなシチュエーションにするためだと思います。冒頭で「父とはよく知っている他人のことだ」との台詞から父子の他者性を強く意識し、バートンが息子とどのようにコミュニケーションをとればいいのかということを考えているのかが分かります。

この映画でバートンは嫌いな黄色を多用したと言います(彼はスライム色というかメロンソーダみたいな緑が非常に好きみたいです)。劇中でそれがどのように機能しているかというと、今までファンタジーの世界に生きてきたバートンが嫌うものとは「現実」だと思われます。そう考えると黄色は現実の色。その証拠にエドワードは一目惚れをした女性を追いかけて黄色の花園で彼女のフィアンセにボコボコにされてしまいます。バートンも現実世界で相当叩かれている人ですから。しかし、その花園の中で彼の思いは通じるんです。現実のいい所と悪い所をキレイに描けていますね。


では逆にファンタジーの世界を表すものは何かというと「水」です。エドワードは喉が渇いたと水を欲しがったり、水の浴槽に浸かったり(妻を演じたジェシカ・ラングが服ごと浴槽に入ってくるのは大変素晴らしいシークエンスでした)、ラストでは川へ戻る描写もありました。


リアリティを肯定した上で、ファンタジーの素晴らしさを訴えかける作品。
今までのバートンには見られなかった傾向です。
まるで蛹から蝶が脱皮する瞬間を見てしまったような気分にされます。これを感動と言わずに何と表現しましょうか。

大変素晴らしい作品です。是非ご覧下さい。


オススメ度:

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十二人の怒れる男

2007-08-27 00:33:40 | DRAMA
『狼たちの午後』のシドニー・ルメット監督作品。どうやらこれがデビュー作みたいですね。


キャスト:ヘンリー・フォンダ、リー・J・コッブ、エド・ベグリー


ストーリー:17歳の少年が起こした父親殺人事件。裁判の内容は検事側に有利なまま終わり、陪審員たちの審議が始まる。有罪との声がほとんどの中、第8陪審員だけが有罪の判決に疑問を投げかける。



時間を忘れて食い入るように観ていました。

密室の中で繰り広げられる人間ドラマ。名前なんか設定しなくても物語の進行に差し支えない際立つ人間性。この考え方の異なる12人が一つの事件に対して自分の人間性や偏見を顕わにしてぶつかっていくのがなんとも面白い。
白熱する議論に耳を傾けているうちに観客でさえも考えを問われ、立場を考える。そうした観客の心をも取り込んで13人目の陪審員に仕立てあげてしまうところが本作を傑作たらしめています。


加えて現行の裁判制度への批判。もう少し焦点を狭めれば制度に関わっていく市民のモラルを風刺したストーリー。
面白い映画を撮るのに大金っていらないんだなぁ。

日本では三谷幸喜が影響を受けて『十二人の優しい日本人』という映画を撮っています。
きっと百年経っても面白い映画。こういう作品があるから映画を観るのを止められないんだよな~。


オススメ度:

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クイルズ

2007-08-24 15:50:04 | DRAMA
フィリップ・カウフマン監督作品。誰よそれ?とか思ってたら『インディ・ジョーンズ』の原作書いてる人でした。あら大変。

キャスト:ジェフリー・ラッシュ、ケイト・ウィンスレット、ホアキン・フェニックス、マイケル・ケインと演技出来ます陣。


ストーリー:性の文学を追求したマルキ・ド・サド。彼の文学はキリスト教会から非難されるが、民衆からは絶大な支持を得る。危険視されたサドは修道院へ精神病患者として幽閉される。しかし…。

この映画、近代理性批判の映画です。サドは本能からくる芸術性(自由でもいいかも)、クルミエ神父は宗教、コラール博士は近代理性のメタファーとして対応しています。物語の流れは近代理性が宗教を侵食し、芸術(自由)を束縛。それによって引き起こされる自由と近代理性の闘争へと発展します。その近代理性の象徴のコラール博士がそれはそれは、ムカつく方でね。傲慢で強欲で好色とシャレにならん。

この映画を観てとにかく感じたのはやはりコラール博士を演じたケインの存在感。敵役にインパクトがあると映画の味がグッと締まるということを教えてもらいました。

ちなみにSMのサドの語源となったサドさんですが、本当はマゾな方だったみたいです。


深夜観たにも関わらず、全く眠くなりませんでした。ナイスシネマ。


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カラー・オブ・ハート

2007-08-19 03:23:09 | DRAMA
原題『Pleasantville』
監督は『シービスケット』のゲイリー・ロス。この人、『ビッグ』の脚本を書いているという私的に見逃せない存在。

キャスト:トビー・マグワイア、リース・ウィザースプーン

ストーリー:昔の白黒ドラマ『プリザントヴィル』のことなら何でも知っているオタッキー少年、デイビッド。彼と妹のジェニファーがプリザントヴィルの世界に入っちゃった!!!


まず、やっぱりは白黒とカラーの共存する映像ですよね。不思議綺麗。
でもそれだけではなくて、その技法を際立たせるために「成長」という要素を盛り込んでいます。プリザントヴィルの住民は最初、自分の型にハマッた生活しか出来ません。住民は現実世界から来たデイビッドやジェニファーと接するうちに、自分の殻を破り、そしてそこで初めて彼らには色が付きます。これは主人公のデイビッド達も例外ではなく、彼ら自身が成長するまで色づくことを許されません。この「成長」というテーマがあることによって、世界が徐々に色づいていくことに感動できるワケです。


しかし、もう一捻りありますよー。

この作品では最初、現実世界は様々な困難を抱えているものとし、逆に白黒の世界では困難がない理想の世界として考えられています。ですが、主人公達が白黒の世界を体験すると、そこはとても退屈で窮屈な世界であることに気がつきます。そして世界を色づかせていくのですが、それが進めば進むほどに困難が生まれてくるようになるんです。最終的に白黒の世界はフルカラーになるのですが、そこは現実社会と同じ問題を抱えるようになってしまいます。多様性の持つ自由さとそれに付きまとう問題。そこをほのぼのとさせながらも、話に織り交ぜてくるゲイリー・ロス。


こいつぁスゲー映画だっっ!!!!

オススメ度:

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マイルーム

2007-08-15 16:09:49 | DRAMA
原題『Marvin's Room』

ジェリー・ザックス監督作品。

キャスト:メリル・ストリープ、ダイアン・キートン、レオナルド・ディカプリオ


ストーリー:リーの息子ハンクは自分の家に火を放ち、更正施設に送られる。ハンクと上手くコミュニケーションの取れないリーに、痴呆状態で寝たきりの父マーヴィンと叔母のルースの面倒を見る姉ベッシーから白血病の骨髄移植の依頼の報が入る。彼女たちは20年にも及ぶ疎遠な関係だった。


いい話なんですけど、ありきたりな上に消化不良で終わります。材料が、痴呆の父の介護問題、ベッシーとリーの関係の回復、ベッシーとハンクの交流と非常に多いのがネックだったように思います。特にリーとハンクの関係の回復は非常に簡素なエピソードで片付けられてしまっていて問題未解決なのでは?とさえ思ってしまいます。


この映画はもうストーリーに期待するのは止めて、豪華俳優陣の演技にひたすた酔って下さい。ディカプリオはとっても上手な俳優ですが、彼を歯牙にもかけないほどのキートンとストリープ!特にメリル・ストリープの演技は神業。泣くのをかろうじて堪える涙の溜め具合、その時に返事をする声のかすれ具合。一体、何を、どのように、どの程度トレーニングしたらあんな演技が可能になるんでしょうか。スゴイなぁ。


ホントはハート二つ程度の評価なんですけど、キートンのストリープの底力でハート一個追加。


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リトルフットの大冒険 謎の恐竜大陸

2007-08-09 06:02:37 | DRAMA
原題『The Land Before Time』
あぁ~、子どもの頃大っ好きだった映画。もう何回観たことか。ずっと店頭になくて先日やっとDVDを入手しました。幸せ。

監督は『アナスタシア』のドン・ブルース。

ストーリー:遥か遠い昔、まだ恐竜が地球にいた頃。大地は廃れ、地球上から緑が消えつつあった。食料に困った草食恐竜達は緑の繁る「みどりの谷」を目指す。プロントサウルスの主人公リトルフットはその道中で家族とはぐれるが、4人の仲間とともに「みどりの谷」へ向かう。

子どもの頃に好きだった映画というのは、大人になってから観てみるとガッカリするということが少なからずあるでしょう。しかし、本作は子ども用に作られた映画であるにも関わらず大人にでも楽しめるよう作られています。ってか大人になってから観たら初っ端から泣いた。
異種同士での交流を禁止されている恐竜たちが、種を超えて協力しあうという骨太のストーリーは年齢を重ねても楽しめる内容だと思います。

終盤までリトルフットが大切に所持する星の形の葉は「希望へ向かうための力」を示します。最初はこの葉を無しに頑張ることの出来ないリトルフットですが、仲間と心を通わせた時に葉を必要としなくなり、仲間と「希望」へ向かうようになる様はなんとも感動的です。


DVDを買うまで知らなかったのですが、製作総指揮にスティーブン・スピルバーグ、ジョージルーカスを迎えており、そのためか『ジュラシックパーク』『インディ・ジョーンズ』を彷彿とさせるシーンが各所に見てとれます。演出に関わったのか、影響を受けたのか、どちらなんでしょうね。

日本ではあまり有名ではありませんが、海外ではかなり人気があるみたいでテレビでシリーズ5作目まで作られました。主題歌もダイアナ・ロスが歌っているなどタイアップも充実してます。

子どもが生まれたら一緒に観ます。
これは絶対です。

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モンスターズ・インク

2007-07-11 21:44:19 | DRAMA
ディズニーのPIXER作品。

監督はピート・ドクター、デヴィッド・シルバーマン、リー・アンクリッチ


ストーリー:子どもの悲鳴をエネルギーに変えて生活するモンスターの世界。でも実はモンスター達は子どもが恐くて仕方ない。そんな中、業界トップのビビらせ実績を保持するサリーは、子どもの女の子「ブー」をモンスターの世界へ入れてしまう。


PIXERの作品全部に言えることですけど、子ども向けじゃないですよ。
モンスターの世界は明らかに大人社会の縮図だし、主人公のサリーに感情移入して映画を観てると丸っきり親の心境ですから。

ディズニーの仕事ですので、子どもが見ることも当然意識しているワケで、敵役も「大人用」と「子ども用」二種類のタイプを用意しています。とはいえ、それぞれ「上司」「ライバル」という父親の現実世界での敵に対応しているので、しつこいですが大人目線の映画です。

「ブー」本来の名前を観客に与えなかったのは、観客全員に均等に且つ同時に「ブー」という「子ども」を誕生させるためでしょう。極力人様の家の子どもであることを忘れさせて彼女を愛でさせることが物語の展開上必要なので。いやぁ、このお陰で可愛いのなんのって。


ずるいよ。こんなん誰だって泣くじゃん!!
たまに話のもっていき方に強引な箇所はありますが、安心して人に薦められる作品。

そこのお父さん!!お母さん!!レンタル屋で借りなさい。

オススメ度:

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フライ、ダディ、フライ

2007-07-09 21:21:17 | DRAMA
2006年版『日本沈没』の脚本を担当した成島出監督作品。

キャスト:岡田准一、堤真一


ストーリー:平凡な会社員である主人公鈴木一。彼の最愛の娘がある日病院へ運び込まれる。怪我の原因となった相手につめ寄る一だったが、手も足も出すことが出来ずに父親としての自尊心を失ってしまう。平常心を失った一は包丁を持って相手に復讐を果たそうとするも、違う相手朴舜臣にコテンパンにされてしまう。そこで言われたのは「闘いかたを教えてやるよ」


はぁ…。どこから突っ込めばいいものやら…。
まず、強い父親像を取り戻せばハッピーになるという主張にゲンナリ。この手のつまんない主張って観始めて3分で展開が読めてしまうんですよねー。必ずしもこのテーマを扱うとつまらなくなるというワケではないんですが、先が読めるために編集を凝ったりして別の部分を相当頑張らなければ面白く出来ないと思われます。もっと言ってしまえば、そんな工夫が出来るスタッフなら最初からもっと凝ったテーマを取り上げます。

次、演技酷過ぎ。本当に酷過ぎ。
主演以外のメンバーのフザけた演技。観ていて胸がイライラムカムカします。棒読みなんてレベルを超越してます。
これは演出家に責任があるのか、キャスティングに問題があったのか。いずれにせよ最終的にオーケーサインを出した監督のプロ意識に疑問を持ちます。


岡田准一が鳥を模して走り回るシーン。
「本当に飛んで行きそうでしょ?」
という大根のセリフ。
全然飛んでくれそうにねぇし…。私がダンスをやっていたから神経質になってそう思ってしまうのかもしれませんが、頭が痛くなります。
終盤、堤真一がキーンなポーズで走るシーンもかなりサムイですし、一種の事故です。

まぁ、いい点としては岡田准一がとっても格好よく撮れていることです!それは間違いないです。ですので岡田君以外に興味はないというジャニーズファンとしてなら価値ある一本です。そんだけ!

無意識のうちに便器に突っ込みたくなる映画。

オススメ度:

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