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ムービー・クリティサイズ

映画ブログ。映画を愛でよ!監督を愛でよ!
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キック・アス

2011-12-17 07:14:49 | ACTION
『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』のマシュー・ヴォーン監督作品。

キャスト:アーロン・ジョンソン、クロエ・グレース・モレッツ、ニコラス・ケイジ

ストーリー:コミックばかり読んでいるオタクのデイブはヒーローに憧れる余り通販で買ったヒーローコスチュームに身を包み、街で自警活動を始める。デイブは死にそうになりながらも活動を続けるが、ついに死を目前にした時、「本物」のヒーロー、ヒットガールが現れる。

2010年に観賞した新作映画でベストに選んだ一本。
今まで筆を取らなかったのが若干不思議ではありますし、世で既に「面白い!」と評価を下されている本作を改めて紹介するのも妙な気分です。
初見から一年経っていますが、まだ観てない人には是非叫びたい。「いいから観ろよ!!」。

【キック・アスの世界と正義】
 この映画では正義のヒーローという存在がフィーチャーされる。正義のヒーローが必要な世界はどういう世界だろうか?それは地続きの我々の世界である。街で暴力が振るわれていても大人は見てみないフリ。警官はマフィアと癒着し犯罪が野放しになっているだけでは飽き足らず、職務を全うする警官を牢屋にブチ込む始末。主人公のデイブも街でチンピラからカツアゲを喰らう。こんな世の中でいいのか?デイブは思う。なんでヒーローはいないんだ?ただ単にコスプレして悪を懲らしめるだけじゃん。
 デイブは内に衝動を抱えている。彼はエネルギーを持て余しているがその捌け口はオナニーだ。家ではパソコンでエロ動画を漁り、学校では女教師の胸の谷間に妄想と股間を膨らませる。しかし、デイブは正義のコスチュームに身を包み自警活動を行うようになると女教師への興味を失う。デイブにとって自警活動はセックスと同じ。リビドーを発散させる行為として描かれる。
 正義のない世界でデイブは衝動を振り回すが、その衝動の倫理は彼が最も活躍するシーンで語られる。まずデイブが扮するヒーロー「キック・アス」が最初に世間で知られるようになるくだり。リンチを止めに入るキック・アス。悪漢がキック・アスに問いかける。「お前、正気か?こんな見ず知らずのクズのために死ぬつもりかよ?」この論理が我々の世界の中心にある。自分にメリットのない行動を我々は取らないのだ。キック・アスは答える「3人がかりで1人をボコボコにしてる。それで他の人たちは見て見ぬフリ?それで俺が正気かって!?ふざけんな!!」彼の行動はメリットやデメリットを考えない。コミックに描かれた裏表のない正義なのだ。

 重要な台詞はもう一つある。最後の戦いに向かう時の台詞「力あるものには責任が伴う。それでは無力な者は何もしなくていいのか?」。この台詞は2002年に公開された映画『スパイダーマン』のテーマに対する批判だ。『スパイダーマン』では「大いなる力には大いなる責任が伴う」と語った。それはひょっとするとそうなのかもしれない。けれどもその結果がこの『キック・アス』の世界なのだ。強い者なんていない。だから不正に対して誰も声を上げない。『キック・アス』はそうした「自分には何も出来ないから」と言って不正を見逃す我々に、血塗れになりながら背中を見せつける。金も能力もない凡人も勇気「だけ」でヒーローになれるのだと。

【ヒーローは飛べる!】
 映画(というか物語)には王道の筋というものがあり、この映画はベタにその内の一つを踏襲している。それは「自己実現」というもの。成りたい自分がいる。でも現実にはそこには遠い自分がいる。それを乗り越えていく葛藤と努力の黄金律がこの映画にはある。
 それを表象しているエピソードが「空を飛ぶ」という表現。映画の始まりはヒーローにコスプレしたバカがビルの屋上から飛び降りて死ぬ。というもの。ここで「ヒーローなんていない。ヒーローなんてのは絵空事だ」と映画は主張する。そしてキック・アスがヒーローとして訓練する時、建物から建物へ飛び移ろうとするも、出来ない。彼はヒーローではないから。彼はその後ヒットガールと出会う。ヒットガールは易々と建物から建物へ飛び、デイブへ語りかける。「こっちに来なよ!」。

キック・アスは、、またも飛べない。本物のヒーローを直接目にし、仲間として誘われた。憧れの世界への切符を手にした。それでも彼はその機会を目の前で棒に振ってしまう。俺はもうダメだ、、自分の部屋でうな垂れるデイブ。もう気分はドン底。自分は何も出来ない。頭も悪いし、スポーツも出来ない、下らないただのオタクだ。
 しかし、そこから始まるクライマックスに連なる流れに巻き込まれるキック・アス。死にそうになり、ヒットガールのピンチを救った彼は映画のラスト、傷ついたヒットガールを抱えて、空を飛んでいく。ビルとビルの合間を抜けどこまでも遠く飛んでいく。彼はついに遠く手の届かなかった夢の存在、ヒーローになれたのだ(ここでかかる「flying home」がまた最高なんだ!)。

【最後に】
 この映画は製作がとても難航したという背景があります。ヒットガールの台詞とアクションシーンがあまりに暴力的でアメリカで倫理的にNGが出たため資金集めが難航しました。しかし、この映画の魅力はキック・アスの姿だけではなく、悪鬼羅刹が如く舞うヒットガールを無視しては成り立たなかったことは間違いないのです。そういう意味ではこの映画はこれまでのアクション映画が超えられなかった境界線を一つ壊し、新しい可能性を開拓したと言えるでしょう。本当に熱狂的と言っていいような熱さを携えた一本だと思います。


オススメ度:

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アイアンマン

2010-07-07 02:34:33 | ACTION
『ザスーラ』のジョン・ファヴロー監督作品。元々俳優さんらしいですね。

キャスト:ロバート・ダウニー・ジュニア、グウィネス・パルトロウ

ストーリー:有数の兵器製造企業スターク・インダストリーの社長トニー・スタークは経営者である傍ら、トップレベルの技術者。
トニーはある日、新作の兵器「ジェリコ」のお披露目にアフガニスタンに出向いていたが、そこでテロリストへ拉致されてします。
彼はテロリストのアジトで「ジェリコ」の複製を命じられるが―。

人気アメコミの映画化。
だっっせぇタイトルに主人公はオヤジ。

しかもアメコミだろ?中身になんてチープに決まっ…あれ??
無茶苦茶カッコイイイイイイーーーーーー!!!!

スマートな口調なのに、中身まるっきしガキの髭親父が、自分のこれまでの行い(兵器生産)を自省する下りはシンプルで分かりやすく非常にいい。
しかも、その時に開発されたプロトタイプがダサくてインパクト抜群。

後に完成版アイアンマンが画面に映った時は思わず拳を握りしめてしまたもんです。かっちょいいい。

トニーが明らかに心の中でキャッキャしながら、開発を進める姿はプラモデルを作る男の子のようで微笑ましく、「不器用アーム」とのやり取りもほのぼのとしています。

ダサカッコイイとほのぼのが共生している珍しい映画かもしれません。
『ダーク・ナイト』といい、最近のアメコミは素晴らしいですなぁ。
続編観たいなぁなんて思ってたら、アッサリ製作されましたね。


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クローバーフィールド/HAKAISYA

2008-09-06 16:17:42 | ACTION
マット・リーヴス監督作品。


キャスト:マイケル・スタール、オデット・ユーストマン


ストーリー:仕事で成功し、日本に副社長として渡ることになったベン。友達のハッドはベンを祝福するパーティーの模様をカメラに収めていたが、突然の轟音、そして大爆発が巻き起こる。


設定は実際の事件の模様を記録したフィルムを、後に回収して見ているというもの。
手法としては『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』と同じです。
『ブレア~』はホラー映画でしたが、今回の『クローバー~』はモンスターパニック映画。モンスターパニックをホームビデオ形式にしてみようという発想自体は、恐らく何度も企画されては、クオリティの問題や予算の関係からボツになったと思われます。それが一本の映画として完成されたことに一抹の感動を覚えます。

肝心の中身ですが、私には完全なラブストーリーに思えました。登場人物たちはただの一般市民です。マシンガン片手に怪物に立ち向かったりすることは出来ず、事態に翻弄されるしかありません。
その中で彼らが考えることは「愛する人を想う」ということのみです。
この作品は、『ゴジラ』が実際に我々の目の前に現れた時を、限りなくリアルに、感覚的に体験させることに成功しています。


巧いのはホームビデオで撮った設定にも関わらず、映画が物語の流れをキチンと組んでいたり、ビデオカメラの編集の具合で昔の様子が時折入り混じったりしていて、細かい演出にまで気が行き届いている点です。
脚本はドリュー・ゴダード。名前覚えておこっと。

気だるい雰囲気を身にまとったクールビューティー、マリーナに恋するアホでマヌケだけど憎めないキャラのハッドに感情移入しました。
この二人の組み合わせは秀逸でした。マリーナにウザがられるハッド。でもハッドがピンチになれば助けにくるマリーナ。
個人的には主人公にすら思えます。


パニック映画ですが、パニック要素はあくまで舞台装置。クリーチャーも申し訳ない程度の出演でいいのです。
登場人物達の感情の変化がキッチリ観客に同調させることが目的なのですから。


最後のシーン。海にポチャって落ちるのは確認出来ましたか???
良作印押します。


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アイ・アム・レジェンド

2008-01-03 06:44:49 | ACTION
『コンスタンティン』のフランシス・ローレンス監督作品。


キャスト:ウィル・スミス、アリス・ブラガ


ストーリー:ある日全ての病気を克服する薬品を発明した人類だったが、その薬は後に生物を凶暴化させる奇病を発生させる原因となってしまう。その病気は強力な感染力を持っており、ほとんどの生き物が凶暴なクリーチャーと化してしまったN.Y。そこで愛犬のサムと共に人類を回復させる術を探すネビルの姿を描く。


これまでに2度『地球最後の男』として映画化されたリチャード・マシスンの『アイ・アム・レジェンド』を原作とする作品。それから実はこの原作『ゾンビ』の元ネタとなっていたりします。
まず、主演がウィル・スミスというのがかなり正解です。この人、演技に幅がなくてCDとか出したりしちゃってるんで賞レースに名前が挙がることはないですが、喜怒哀楽を活き活きと表現する人なので演技自体はけっこうイケます。「アクション」映画に出演する「男」の「主役をはるネームバリュー」がある俳優を探すなら、彼の演技力は頭二つ分くらい飛び抜けています。
本作は自我が崩壊するスレスレのラインで孤独と闘う主人公という設定なので、このキャスティングは本当にいい仕事をしたと思います。


今回はネタバレするので未見の人は非難して下さい。

長くなってしまいましたが、中身の話に入ります。
まず冒頭の荒廃したN.Yをネビルがどっかからくすねてきた真っ赤なスポーツカーが爆走するシーンで興奮。スタントもそうですけど、画に対するこだわりが一瞬で見て取れます。

前半は問答無用に面白い!N.Yで孤独に生きるネビルの様子が丁寧に描かれています。
孤独をしのぐために何年も前のニュースを家で流し、街のマネキンに話しかける。
奇病を治すために研究を続ける。
生き残るためにトレーニングを欠かさず、大型の肉食動物を目の前にしても動じない彼がクリーチャーの潜む真っ暗の建物に入らざるを得なくなった時の焦り(ここのシーンは絶対にジョージ・A・ロメロの影響を受けてる)など、気を抜けないシーンが目白押し。常に腹筋に力をいれていないとビクッとしてしまう緊張感がたまりません。

この展開が崩れるのが中盤。
ネビルの動揺が原因となって、愛犬のサムを自分の手で殺さなければいけなくなってしまいます。このシーンがひたすら泣けます。スミスさんも演技頑張ってますし。
その後、ネビルは今までと同じようにマネキンに話しかけるも、それまで自分が孤独をしのげたのはサムがいたからだと気付きます。


そして後半。
テーマである「事態が良くなるよう努力することの大切さ」を語る方向へとシフトします。
ネビルは眼前に生存者が集まった村があることを主張する女性と遭遇します。「どうしてそれが分かるんだ?」と聞くと彼女は「神の啓示があった」と主張します。ネビルは家族を亡くした経験から神を信じることを止め、彼女の言うことを信じません。
そしてラスト、絶対絶命の状況下で奇跡的に完成したワクチン。「事態が~」というテーマと亡き家族によって提示されていた「お告げ」を目にした彼は望みを捨てずにワクチンを託した。というお話しです。

全体的に言葉での説明を省いて、画面の中で極力語るようにしているので好印象。ちゃんと映画の隅々を見ていれば、どうしてそうなったのかがちゃんと分かる仕組みになっているので。

後半やや失速しますが、それを補って余りある前半の映画魂。必見。


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座頭市(2003)

2007-10-14 04:22:15 | ACTION
バイオレンス映画監督、北野武作品。とはいえ監督自身がエンターテイメントに徹するとの発言どおり、他の北野作品とは作風が異なります。


キャスト:北野武、浅野忠信、ガタルカナル・タカ、岸部一徳 。


ストーリー:ある宿場を乗っ取ろうとする銀蔵と雇われ用心棒の服部源之助。銀蔵への復讐を誓うおせいとおきぬ。寂れた宿場に流れてきた按摩師、座頭市がそこで騒動を巻き起こし事態は急展開。市の仕込み杖が宿場を赤く染める。


この時代劇は全てにおいてイケイケです。超ド派手な殺陣、お笑い要素、音楽。だから「金髪」なんですよ。最初っから今までとは違うことをやってやるつもりだったんです。


注目の殺陣ですが、よくもまぁここまで工夫を凝らしたなぁと。北野自身、殺陣の経験があったそうなのでそれが全開に生かされているんでしょう。珍しい「逆手」での太刀筋を相手に向かって縦に振ることで表現したブッタ斬り感は自慢の出来栄えとのことなのでご賞味あれ。私は好きでした。ただCGが甘いのが目立つのはマイナス。

よく言及されるタップですが、実はけっこう大事な役割を果たしています。この映画では各要素にリズムが組み込まれています。それはストーリーのリズムであったり、殺陣のリズムであったり、田畑でのやりとり(これが先を暗示していたりして面白い)であったり、笑いのリズムであったりします。登場人物それぞれが独自のリズムを奏でる中、服部源之助だけは過去に自分を負かした相手の木刀を切る「カラン」という渇いた音を奏でるだけなのが特に印象的でした。彼の敗北はリズムが支配する本作では最初から決まっていたのかもしれません。源之助が過去の雪辱を晴らすことの出来ぬまま、その気持ちを座頭市へ向けるようになるのは非常に理解出来ます。彼の不器用さがよく表れていると思います。


ラストの解釈は二通りに分かれるみたいですね。私は「○○ている」方で。

渋い時代劇もいいですが、こういうはっちゃけたのもいいですよ。


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男たちの大和/YAMATO

2007-08-22 04:27:24 | ACTION
あの有名な『北京原人』の佐藤純彌監督作品。ウパ。


キャスト:反町隆、中村獅堂、松山ケンイチ


ストーリー:2005年4月6日、一人の女性・内田真貴子(鈴木京香)が鹿児島県枕崎の漁港を訪れ、老漁師の神尾(仲代達矢)に北緯30度43分、東経128度4分まで船を出してほしいと懇願してきた。その位置は、60年前の昭和20年4月7日に戦艦大和が沈んだ場所である。まっすぐに前方の海を見据える神尾の胸に、60年前の光景が甦っていく……。 (YAHOO!ムービーより抜粋)


戦後60周年記念作ということで大々的に宣伝がなされ、数多くのスポンサーがついたこの映画。巨額の資金を投じて実物大の大和セットを組んだり、なにかと話題になりました。
単刀直入にまず言いましょう。ゴミです。
まず一番気に入らないのが、渡哲也と長嶋一茂。この映画は誰が主人公ということではなく中村、反町、松山の視点から戦場を捉えていきます。渡は大和の艦長役、長嶋は大和の上官役です。この二人、それまでなんのエピソードも持たなかった分際で「日本はこの敗北から学ぶ」だとか重要なことをサラリと言います。観ているこっちとしては「キミ一瞬しか出ないチョイ役のクセに何エラいこと言ってんの?」と思います。俳優のイメージでセリフを言わせたりするのは止めて欲しいです。それとも事務所の圧力?どちらにせよ作品の価値を大きく下げる要因です。

それから戦後60周年記念作と謳っていることから、この作品が日本人の太平洋戦争に対する一般的な認識の仕方がかなり色濃く投影されていると理解できます(あるいは一般的な認識の仕方と思われている見方)
そこに描かれているのが安易なお涙頂戴劇。悪いのは軍の上層部の連中で自分たちは戦争なんかしたくないのに無理やりやらされていたというストーリー。そのくせ戦場で相手を殺すことに対しての反省や罪悪感、狂気が全くなく、戦場で戦う友を見捨てられないと戦場へ戻る者がヒーローとして描かれる。あまつさえ当時の戦場で戦う兵士たちの話を聞いた現代の少年が身を引き締め、そのバックに流れる威風堂々。
一体これら要素のどこに戦争の悲惨さを主張できる点があるんでしょうか。
私にはむしろ戦争を美化しているように見えました。馬鹿馬鹿しい。大体命を大切にって言うけど当時は国のために命投げなきゃ非国民と罵られたんだぜ。ただの娯楽映画なら史実が曲がっていようと気にすることはあまりありませんが、戦後60周年記念作と冠している以上見過ごすことは出来ません。


いい点は、さすがにお金をかけただけあってセットは迫力ありました。戦闘シーンも邦画の中では最もクオリティが高いでしょう。でもそれだけ。外見だけ。
中身はスッカラカン。


映画の中身とは関係ないですが、そもそも長渕(主題歌担当)嫌いなんですよ。

この映画けっこうなヒットになりました。泣いたという感想を多く耳にしました。しかし、アメリカでは数多くの立派な反戦映画が作られましたし、韓国でも『ブラザーフッド』ドイツでは『ヒトラー 最後の12日間』など良作が生み出されています。なのに日本ではこんな茶番のような映画を作って、観て、喜んでいる。
恥を知りなさい。


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プライベート・ライアン

2007-08-04 13:56:08 | ACTION
原題『SAVING PRIVATE RYAN』
生きた伝説スティーブン・スピルバーグ監督作品。

キャスト:トム・ハンクス、マット・デイモン、トム・サイズモア、バリー・ペッパー


ストーリー:ノルマンディー上陸作戦を生き残ったミラー大尉は本国からある指令を受け取る。それは「ジェームズ・フランシス・ライアン二等兵を探し出し帰還させる」というもの。たった一人の兵士を救いだすために、ミラーは7人の部下を連れ危険な敵地に侵入する。


革新的戦争映画。
粒子の粗い画質、色彩に乏しい色使い、激しく揺れ動く画面、スプラッター顔負けの残酷描写。今までに秀逸な戦争映画は数多くありましたが、スピルバーグがこの映画を撮ったことによって戦争映画の描写は大きく変わりました。今ではこの『プライベート・ライアン』でのスタイルが主流になってしまいました。恐るべしスピルバーグ…。


登場人物がけっこう多いですが一人一人の描写がかなりしっかりしているために誰が誰だか分からなくなるようなことはありません。
特に重要だと思っているのがアパムです。彼は軍に所属しながらも事務要員で戦場を経験したことがなく、戦場で起こる悲惨な現状に耐えられず、また正論を掲げます。これは観客の視点として理解できます。彼は戦場で何も出来ず仲間の足を引っ張るだけのですが、最終的には戦場で殺しを経験します(しかも殺す相手は自分が助けた相手)この描写から如何なる人間でも戦場では狂気に駆られる点を主張しています。

しかし、それにしても凄まじい映像です。冒頭のノルマンディー上陸作戦では進んでも「死」その場に止まっても「死」後退しても「死」正に阿鼻叫喚図です。うわ~ん。こんなトコ絶対ぇに行きたくないよぉ。


行きたくはないけど、観ておくべき作品。

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マッハ!!!!!!!!

2007-07-19 04:21:56 | ACTION
原題『ONG-BAK』
プラッチャヤー・ピンゲーオ監督作品。何とも発音し難い。

キャスト:トニー・ジャー、ペットターイ・ウォンカムラオ、プマワーリー・ヨートガモン。何とも発音し(略

ストーリー:タイの小さい村の信仰の対象である仏像オンバクが、仏像密売団によって奪い去られてしまう。長老をはじめとする村人たちは不吉の前兆として恐れおののく。オンバクを取り戻すべく、村で最強の若者ティンが単身バンコクへ向かう。


と、まぁ物語のあらすじを書いてみたものの、そんなもんどうでもいいっていうのが本音です。
本作品はジャーのスーパームエタイアクションのみがウリの脳みそスッカラカン映画ですから。こちらとしては「え?オンバク諦めて、別の仏像崇めちゃダメ?」なんて思ったりもしますがダメなんです。闘う理由がなくなっちゃうんで。

しかし、頭カラッポの映画とはいえコレ面白い!!CGとかワイヤーとかを一切排除したガチンコ撮影は、なんか笑ってしまうほどの迫力と説得力をフィルムに映し出すことに成功していますし、踊るように舞うジャーの体技は美しくすらあります。殺陣もよくもまぁ、というくらいにアイディアが練られていて感心します。


どうやら昔のジャッキー・チェン映画を目指していたみたいで、ワンアクションを別アングルから何度も見せたり、EDでNG集を挟んでみたりしています。この辺りが分かると、ちょっとばかしニヤニヤしてしまったり。

自分が雄であることを思い出させられる映画です。
ホワチャアァッッ!!!

オススメ度:

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300

2007-06-27 20:56:01 | ACTION
『ドーン・オブ・ザ・デッド』のザック・スナイダー監督作品。
この人のセンスはいつかとてつもないものを生み出してくれそうなので期待してます。ま、今回はフルスウィングとはいきませんでしたが。

キャスト:ジェラルド・バトラー、レナ・ヘディ、ロドリゴ・サントロ

ストーリー:紀元前480年。ギリシア諸ポリスはアケメネス朝ペルシアから侵攻を受けていた。そして、有力ポリスのスパルタにペルシアの特使がやってくるが、王であるレオニダスは相手の無礼さに怒り狂い、特使を殺してしまう。議会は降伏することを考えるが、王は僅か300人の先鋭を率いて出兵する。これが後に歴史に名を刻む「テルモピュレーの戦い」である。


一応史実を扱ったものになるので史劇に分類されるのかもしれませんが、そんなつもりで観ていたら悪い意味で裏切られます。というのもストーリーが原作の漫画からきていること、そして恐らく漫画がヘロドトスの『歴史』(世界で最初の歴史書。ただし中身はほとんど神話レベル)を参考にしているらしくノリは完全にファンタジーになってしまっているので。


全面が褪せたセピア色で統一されているのでそれが、本作が過去を取り扱った映画であることを強調し、残酷な描写もリアルになり過ぎずワンクッション置く効果を与えています。
まぁ、残酷描写のある『スターウォーズ』みたいな感じでいいかと思います。
過度に誇張されたクセルクセスの容姿や、ペルシア軍の進撃は本当にいい意味でも悪い意味でも漫画ですから。


映像に力が入ってるということですが、むしろ個人的な感想としては音声に力が入っていたかと思います。剣と盾のかち合う音、槍が突き刺さる音、矢が空気を裂く音、バトラーの豪快な雄叫び、サントロのインチキ臭い低い声。これらが映画の雰囲気を盛り上げる一番の要素であったと思います。だから、この映画が格好よく見えるのでしょう。筋肉質の肉体に映える赤いマントや殺陣も魅力的ですが、「お前らぁっ!!朝食はタップリ取っておけ!!夕食は…地獄で取るぞおぉぉっっ!!!」という怒号こそが最高にテンションを上げます。


マイナスなのは自由のために戦うという文句ですね。本能全開で「皆殺しだあぁぁっっ!!!」と叫んでるのにシラけます。説教臭くて。
今説教臭いというように述べましたが、基本的にこの映画ではキレイごとを並べれば並べるだけ陳腐になると考えています。そのため、障害者に対する扱いが酷いとか、プロパガンダだといった主張はナンセンスだと思われます。そんなこと言ってしまったら雰囲気ぶち壊しです。
ここでは誇張された世界での殺し合いが描かれているのです。
ファランクスが組めなくては役に立ちませんし、殺す相手を悪くみるのは当たり前でしょう。プロパガンダがあることでさえも楽しめるセンスが必要かと思います。

是非、音響機器がしっかりした環境で観て下さい。
悪くはない映画です。

オススメ度:

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