渡し船とは、川や港に船を架ける代わりに、船を往復させて人や物を運ぶものです。ですから、観光用ではなく、生活のための船です。数を減らしているものの、今でも日本には数十の渡し船があり、特に大阪市では8つもの航路が現役です。関東地方でも、浦賀や利根川などに渡し船があります。橋を歩く代わりに船に乗れるということに、とても面白さを感じます。
登山道に渡し船が通っているところもあります。黒部湖で分断された登山道を結ぶ「平の渡し」です。船に乗ることはできるとしても、船着き場まで辿り着くのは、どのルートからたどっても結構大変だと思います。一度歩いてみたいですが、未訪です。
2011年の1月に、木曽川の葛木渡船・長良川の森下渡船に乗ってきました。愛知県の愛西市と、岐阜県の海津市を結ぶ航路です。木曽川と長良川が並行して流れているところを結ぶ渡船なので、一気に2つの船に乗れるところが面白いと思いました。2つの航路とも2011年3月末に廃止されるというのをホームページで見かけて、ぜひ1回乗ってみたいと思い出かけました。森下渡船の方は予約が必要とのことで、4日前に海津市役所建設課に電話しました。そうすると、もう片方の船も予約しないと不安になったので愛西市の方にも当日連絡しておきました。
東京から新幹線と関西本線を乗り継いで、弥富駅まで来ました。海抜マイナス0.93mの地点にあり、(地上では)日本で一番低い場所にある駅として有名です。
名古屋鉄道に乗りかえて、津島駅へ二時前に着きました。葛木渡船への最寄り駅です。船には三時に乗りますと連絡していたのですが、ここから船着場まで歩くと一時間以上かかりそうです。
徒歩15分ほどの所に津島神社があるので、そこまで歩き参拝し、残りはタクシーに乗ることにしました。津島神社の創建は540年で、全国に約三千社ある「津島神社」の総本山です。
地形図を見ると、神社のまわり1キロ四方に寺や神社の記号が30以上はあります。駅のすぐそばを0メートルの標高線が通っています。この辺りも弥富駅と同じく、海抜ゼロメートル地帯です。津島駅の標高も0メートルより低いですが、高架なのでプラットホームの高さは海水面を超えていると思います。
(つづく)