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秋に観たくなる映画 #01

2024-09-08 11:02:53 | 雑記

秋になると観たくなる映画があります。今日は仕事が休みなので、昨夜はウィスキーグラスを片手に部屋で一足先に秋の夜長を楽しみました。

昨夜の気分は1998年公開のアメリカ映画「母の眠り」。

母親役にメリル・ストリープ、娘役にレネー・ゼルウィガー、父親役にウィルアム・ハート、といった演技派で有名な役者達が家族を演じています。レネー・ゼルウィガーといえばコメディのイメージがありますが、この映画では専業主婦の母親を疎ましく思っているキャリアウーマンの娘をシリアスに演じています。私はこの役のレネーが一番お気に入りかも。

簡単に映画の内容を説明すると、

母親と娘の関係を軸にした家族ドラマで、家族の在り方や夫婦の絆、そして女の生き方を描いています。ニューヨークでジャーナリストとして忙しく毎日を送るキャリアウーマンの娘エレン。家族のために家事をこなし地域のために活動をする専業主婦の母親ケイト。その母が病に倒れ、父親に言われて不本意ながら娘のエレンは、キャリアを中断して帰郷します。女同士でありながら、自分とまったく違う平凡な人生を歩んできた母とあらためて向き合ったエレンは、母に対する認識を少しずつ変えていきます。

この映画を私が初めて観たのは20代の頃でした。平凡な内容のように見えて、演技派たちが家族の複雑な感情を表現しており、かなり胸にくるものがありました。

この映画の舞台はニュージャージー州。私が滞在していた場所よりニューヨークから離れているので、ペンシルバニアに近い場所なのでしょうか。とても秋の街並みが美しいです。

イメージ画像は、私が滞在していた近所の風景です。この辺りも閑静な住宅街でとても良いところでした。

映画の中で、ハロウィンの仮装をして母娘でカーニバルに参加するシーンがあります。はしゃぐ母親とどこか冷めた娘なのですが、それでも2人で笑い合ってるところなどは親子そのもの。

 

エレンは、大学教授である父親を崇拝に近いほど尊敬しているのですが、父親の弱さにも気がついていきます。弟の優しさと強い姉の兄弟愛、エレンと親友の友情、恋人との関係、ごくごく一般的な人間関係から多くを語るのは演技派揃いだからこそかもしれません。そして何よりもメリル・ストリープが演じるケイトが「母親の強さ」を教えてくれます。

映画の後半、母親の賢さと強さ、そして深い愛情がむき出しになる場面があります。娘が自分の生き方を嫌悪し理解されない寂しさ、大学教授である夫の内面のもろさ、自身の孤独と葛藤、それら全てを受け止め、それでも娘の幸せを願わずにはいられない母親。

私が初めてこの映画を観たとき、私の母は健在でした。しかしながら私は娘のエレンの目線で全体を捉えていたので、母親の深い愛情や強さには今ほど気が付かなかったように思います。

もし今、母が生きていたら…

映画の中で、クリスマスツリーの点灯式の場面があります。 ※イメージ画像はBoston

「きよしこの夜」を歌う病に侵された母を涙をこらえながら抱きしめる娘のエレン。その姿をやはり涙をこらえながら見守る弟、そしてその息子の肩を抱き寄せる父。観ているこちらも涙なしではいられません。

家族の在り方。

何度観ても奥の深い映画です。

もうすぐ母の命日です。お墓参りに行くことは出来ませんが、母のために何か出来ることはないか考えてみました。花を買いに行くことも出来そうもないので、命日に手紙を書いてみようかと思います。

頭の中で思うのと、自分の気持ちを文字にするのは別物です。私は自分の気持ちを正直に母に伝えることができるでしょうか。