お父様の背中4
良子が店をやめるといいだして
去って行った。
良子がいないと困ることが
たくさんあるとすみれがいう。
彼女は細かいディテールの工夫が
できるのだ。
今回はテーブルクロスだから
すみれでもできなくはない。
これが服だったら大変だったと
思った。
そこへ勝二が来た。
おどろくすみれたち。
勝二は、アメリカ製の
せっけんをあさやにもって
きた。
これからもよろしくというので
どういうことだろうと
明美が、勝二のことで
店をやめたことをいうと
勝二は驚いた。
家に帰るとそのことを良子に
話したのだった。
麻田は良子が
「なぜうそをついてまで
やめたかったのかな」と
いう。
君枝は良子がいなくなって
ほっとしているところが
あるという。
「嬉しそうに旦那様のことを
話されると・・・結局は
嫉妬だけどね。」といった。
君枝は自分は器がちいさい
人間だというと
麻田が「それを認めることができる
のは器が大きな証拠です」と
言う。
「早く帰って来たらいいですね。
君枝さんの御主人も
紀夫さんも・・・」
そこへいきよいよく店の
扉があいた。
水商売風の女性。
派手でたくさん品物を
買っていく女性・・
下品な感じの女性
彼女は麗子というが
「あの子は?」と聞く。
良子のことである。
いないのでやめたのかと
聞いた。
じつは、良子がひとりで
店番をしているときに
麗子は友だちを連れてきた。
ふたりは、二歳と一歳の子供が
いる。
そのふ足りの荒々しい様子に
良子は
いらっしゃいませもいえず
どのようなものが御入り用ですか
とも聞けず
良子は固まった。
すると二人から
店員のくせに
愛想がないと
クレームがついた。
しかも、
焼き鳥の櫛をもって
商品をさわっている。
「あ、それは・・
商品が汚れます」と良子がいう
と「さわったらあかんのか?」
「あんた何様?」
と喧嘩腰である。
良子は、「買わなくていいです」と
いった。
・・・・・・・
「止めたけど
ぼろくそ文句言って
帰って行った」と麗子が言う。
翌日、良子は
職探しに行く勝二のために
服の補正をした。
勝二は
「嘘をついたのか?
わしが、店をやめるように
いったと。
うそは友だちを亡くすぞ」
そういって職探しに
いった。
そのころ、闇市では
五十八が商品の
靴下のゴムの部分を
左右にひっぱっていた。
ひっぱると
のびて、離すと
もどるものだが
もとにもどらない。
粗悪品である。
潔は「メイドインジャパンだ
から、仕方がないです」と
いう。
忠は「こんなもの売れるのか」と聞くと
栄輔は「売れている」という。
五十八がいいたいのは
メイドインジャパンが粗悪品
の代名詞になっていることより
そんな品物を売る
潔にどんな商売をして
いるのだと聞いた。
すみれがはぎれの調達に来た。
すると、家の中から
ゆりの声が聞こえた。
場銭の問題である。
根本たちは、地主でもなんでも
ないのに、なぜお金を巻き上げるのか
ということだ。
どう考えてもおかしい。
という。
それを五十八に訴えていた。
五十八は、「無理なことをと
いう・・・・
道理にかなわないことぐらい
潔だって知っている。
しかし、いまの時代、こういう
ものだ」と言う。
そして、ゆりにどうしたらいいのか
と聞くと、ゆりは、「正しいことを
訴えるべきだ」という。
五十八は、「だったらゆりが話をして
こい」といった。
「文句ばっかり言って何もしないのは
卑怯だ」といった。
おどろくゆりに潔は「それは
無理です」という。「道理がとおる
相手ではないし、ゆりを表に
出してはいけない」という。
ところがゆりは話をしに行くと
いう。
驚く潔に「無理だと決めつけないで」と
いった。
五十八は潔に
「この件は自分が請け負う」と
いう。
そして、すみれもつれて
一緒に根本の所へ
行った。
生前、はながいっていた。
『ゆりは強いように見えても
ここというところで自分を貫け
ないところがある。
最後の最後、そこが心配だ』と
いった。
はなは、『ゆりとすみれをよろしく
お願いします』と
五十八にいった。
五十八は、まかしとけと
答えた。
闇市の雑踏で
根本を見つけたゆりは
声をかけた。
「根本さんですよね?」
「なんや?」
「根本さんですよね。」
・・・
***************
良子はなぜ、店をやめたのか
よくわからない。
自分はあんな野蛮な人たちを
相手にできないと思った
のだろうか?
明美に、甘いと言われて
言い返せなかったことから
やめたのだろうか。
それよりも、かわいい商品を
作ることが
楽しいと思わなかったのだろうか。
ずっと家にいて、子供と主人の
ことばかり考えて
生活することがいいと
思っていたのだろうか。
ゆりの言い分はわかるが
この時代、誰かが声を
出さないとなんにもならない。
しかし、弱肉強食である。
力を持たない人たち
今日を生きることが精いっぱいの
人たちだらけの時代に
このような非合法が
正義かのようにまかり通る
のである。
それを五十八は、なにもしない
のは卑怯だといった。
正論を吐くのはだれでも
できる。
何が正しいのか
間違っているのか
ぐらいは
たいていの大人なら
わかっている。
女性は特に、うらで
ああだこうだという割には
おもてだって、何も言わない。
そういう習性がある。
ゆりは、大変な時代に
坂東営業部を立て直そうと
いう志を立てた
なら、大変な状況を潔だけでは
乗り切れないだろう。
五十八は
そこをゆりに教えたいと
思ったのであろうか???
良子が店をやめるといいだして
去って行った。
良子がいないと困ることが
たくさんあるとすみれがいう。
彼女は細かいディテールの工夫が
できるのだ。
今回はテーブルクロスだから
すみれでもできなくはない。
これが服だったら大変だったと
思った。
そこへ勝二が来た。
おどろくすみれたち。
勝二は、アメリカ製の
せっけんをあさやにもって
きた。
これからもよろしくというので
どういうことだろうと
明美が、勝二のことで
店をやめたことをいうと
勝二は驚いた。
家に帰るとそのことを良子に
話したのだった。
麻田は良子が
「なぜうそをついてまで
やめたかったのかな」と
いう。
君枝は良子がいなくなって
ほっとしているところが
あるという。
「嬉しそうに旦那様のことを
話されると・・・結局は
嫉妬だけどね。」といった。
君枝は自分は器がちいさい
人間だというと
麻田が「それを認めることができる
のは器が大きな証拠です」と
言う。
「早く帰って来たらいいですね。
君枝さんの御主人も
紀夫さんも・・・」
そこへいきよいよく店の
扉があいた。
水商売風の女性。
派手でたくさん品物を
買っていく女性・・
下品な感じの女性
彼女は麗子というが
「あの子は?」と聞く。
良子のことである。
いないのでやめたのかと
聞いた。
じつは、良子がひとりで
店番をしているときに
麗子は友だちを連れてきた。
ふたりは、二歳と一歳の子供が
いる。
そのふ足りの荒々しい様子に
良子は
いらっしゃいませもいえず
どのようなものが御入り用ですか
とも聞けず
良子は固まった。
すると二人から
店員のくせに
愛想がないと
クレームがついた。
しかも、
焼き鳥の櫛をもって
商品をさわっている。
「あ、それは・・
商品が汚れます」と良子がいう
と「さわったらあかんのか?」
「あんた何様?」
と喧嘩腰である。
良子は、「買わなくていいです」と
いった。
・・・・・・・
「止めたけど
ぼろくそ文句言って
帰って行った」と麗子が言う。
翌日、良子は
職探しに行く勝二のために
服の補正をした。
勝二は
「嘘をついたのか?
わしが、店をやめるように
いったと。
うそは友だちを亡くすぞ」
そういって職探しに
いった。
そのころ、闇市では
五十八が商品の
靴下のゴムの部分を
左右にひっぱっていた。
ひっぱると
のびて、離すと
もどるものだが
もとにもどらない。
粗悪品である。
潔は「メイドインジャパンだ
から、仕方がないです」と
いう。
忠は「こんなもの売れるのか」と聞くと
栄輔は「売れている」という。
五十八がいいたいのは
メイドインジャパンが粗悪品
の代名詞になっていることより
そんな品物を売る
潔にどんな商売をして
いるのだと聞いた。
すみれがはぎれの調達に来た。
すると、家の中から
ゆりの声が聞こえた。
場銭の問題である。
根本たちは、地主でもなんでも
ないのに、なぜお金を巻き上げるのか
ということだ。
どう考えてもおかしい。
という。
それを五十八に訴えていた。
五十八は、「無理なことをと
いう・・・・
道理にかなわないことぐらい
潔だって知っている。
しかし、いまの時代、こういう
ものだ」と言う。
そして、ゆりにどうしたらいいのか
と聞くと、ゆりは、「正しいことを
訴えるべきだ」という。
五十八は、「だったらゆりが話をして
こい」といった。
「文句ばっかり言って何もしないのは
卑怯だ」といった。
おどろくゆりに潔は「それは
無理です」という。「道理がとおる
相手ではないし、ゆりを表に
出してはいけない」という。
ところがゆりは話をしに行くと
いう。
驚く潔に「無理だと決めつけないで」と
いった。
五十八は潔に
「この件は自分が請け負う」と
いう。
そして、すみれもつれて
一緒に根本の所へ
行った。
生前、はながいっていた。
『ゆりは強いように見えても
ここというところで自分を貫け
ないところがある。
最後の最後、そこが心配だ』と
いった。
はなは、『ゆりとすみれをよろしく
お願いします』と
五十八にいった。
五十八は、まかしとけと
答えた。
闇市の雑踏で
根本を見つけたゆりは
声をかけた。
「根本さんですよね?」
「なんや?」
「根本さんですよね。」
・・・
***************
良子はなぜ、店をやめたのか
よくわからない。
自分はあんな野蛮な人たちを
相手にできないと思った
のだろうか?
明美に、甘いと言われて
言い返せなかったことから
やめたのだろうか。
それよりも、かわいい商品を
作ることが
楽しいと思わなかったのだろうか。
ずっと家にいて、子供と主人の
ことばかり考えて
生活することがいいと
思っていたのだろうか。
ゆりの言い分はわかるが
この時代、誰かが声を
出さないとなんにもならない。
しかし、弱肉強食である。
力を持たない人たち
今日を生きることが精いっぱいの
人たちだらけの時代に
このような非合法が
正義かのようにまかり通る
のである。
それを五十八は、なにもしない
のは卑怯だといった。
正論を吐くのはだれでも
できる。
何が正しいのか
間違っているのか
ぐらいは
たいていの大人なら
わかっている。
女性は特に、うらで
ああだこうだという割には
おもてだって、何も言わない。
そういう習性がある。
ゆりは、大変な時代に
坂東営業部を立て直そうと
いう志を立てた
なら、大変な状況を潔だけでは
乗り切れないだろう。
五十八は
そこをゆりに教えたいと
思ったのであろうか???