3月になると卒業、進学、就職とフレッシュな若者達がそれぞれの夢に向って飛び出していく。わたしもかつて(笑)その中の一人だった。
大学進学。なぜか・・・・一人っ子なのに・・・家を出た。決していやだったわけではない。ただ自分の行くべき道がご近所ではなかったということだった。
一人で新幹線に乗った日もあった。ゆっくりなどできなかった。もし寝過ごしたら・・・一駅が大きすぎる新幹線である。すぐにもどれない・・・と思って緊張した。
一人で夜の船に乗った日もあった。眠たい朝早く着いた港に、冷たい風に吹かれてまっていた友達がいた。
見知らぬ都会の街を早足で駆け抜け、目的の大学へついたこともあった。
母と二人で、下宿の部屋をなんとかすめるようにしてそのまま入学式に出たこともあった。母は式が終わったらすぐに仕事のために、空港へ向った。名残惜しい気持ちもあったが、時間が無かった。
こうして一人っ子が・・・・あの日から親元を出て、一人暮らしをはじめた。それは、結婚するまで続いた。
親にとっては誤算だった。大学を出たら帰って来るものとおもっていたらしい。4年後女子大生の就職がなかなかない時代・・・田舎ではもっと厳し就職戦だったのだ。思い悩んで、親戚に頼み、大阪の某製造会社に就職した。
春浅い3月10日・・・寂しい思いをさせたまま母が逝った。全てを見送った後、私は自分のこれからの人生の道に足を下ろした。
これからの道は、どんなことがあるのかわからないが、たった一人立ち向かっていく覚悟で歩みだした。
春のやさしい風が花の香りを運び、どこからか桜の花びらが舞い降りてきた。みしらぬ都会の街並みが窓辺に小さな花を飾る。
行き交う人々の中に母の姿を探したものだった。もしかしたら、どこかで見守ってくれているのかもしれない、と。
「オーエルになった姿が見たかった」といった母に見せる事も無く袖を通したスーツは、桜の花の淡いピンク色だった。
バックを肩にかけ、都会のあわただしい人並みの中へ颯爽と歩いていった、そんな春がまためぐって来た。
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小さな桜の花を机の上において、春の和の雰囲気が味わえます。大切な人の門出に贈り物にしてはどうでしょうか。 5月は、母の日。我が家は主人の母に母の日のカーネーション
を花束で送ります。殺風景(笑)な部屋が明るくなったと喜ばれます。もちろん冗談です。(^_^;)