中国ネット金融

中国のソーシャルレンディング(P2Pネット金融)、キャシューレス、金融イノベーションに関する情報を時々発信します。

P2Pネット金融の冬が続く

2018-08-05 23:12:59 | ソーシャルレンディング(P2Pネット金融)

 

7月のP2Pネット金融のデータが揃いました。零壱智庫のデータによれば問題プラットフォームの数が少なくとも123に上り、ローン証券の返済遅延や発売停止のプラットフォームの数が33になり、その中に準大手プラットフォームもあった。7月ローン証券の総取引高が1236億元、前月より19.48%下落し、ローン証券残高が約9080億元、前月より5.5%下落した。業界全体の取引高と残高の下落はすでに10ヶ月連続になっていて、今はP2Pネット金融の真冬と言っても過言ではない。

http://finance.ifeng.com/a/20180801/16423625_0.shtml

 このような状況になったのがいくつの理由が重なった結果である。まず、2016年8月に公布した「暫定条例」がすでに猶予期間がすぎ、行政がすぐに全面的に条例を実施する可能性がなさそうであるが、これから厳しくなることが間違いない。もっと重要な理由が政府の金融引き締め政策の影響である。2017年8月まで、問題プラットフォームの数が高水準に続いていたが、業界全体の取引高がずっと増加していた(図参照)。去年年初から金融引き締め政策、それに金融機関のデスレバレッジ(去杠杆)が実施され、その影響が今年に入ってじわじわとP2Pネット金融に効くようになった。金融機関のデスレバレッジが多岐に渡り、一番効いたのが簿外にあった取引がすべてバランスシートに戻すという政策指導であった。結果として銀行の貸し剥がしが起こり、多くの企業が資金難に落ちいた。もともとP2Pネット金融の相手にしていた企業は銀行に相手されず信用力の劣った企業で、銀行の貸し剥がしと資金難により一層影響を受けてしまった。

 米中貿易摩擦のせいで貿易の影響が来月当たりで出始め、下半期の成長率も下ブレの可能性が大である。7月になって金融機関のデスレバレッジが一段落になり、金融政策も引き締めから中性かやや緩めになっている。金融政策が転換したとはいえ、P2Pの春がくるまでまだまだ時間がかかりそう。

 

 


「投之家」倒産の衝撃

2018-08-02 16:27:01 | ソーシャルレンディング(P2Pネット金融)

 7月13日,「投之家」のホームページに多くの債権が不良化になり、プラットフォーム自体が自主精算に入り、精算をうまく進めるために、幹部たちがすでに警察に自首したと発表した。  「投之家」URL://www.touzhijia.com/  

 「投之家」は2014年9月にオンラインし、本社取材地は深センで、親会社は盈灿グループで、会長も盈灿グループの創業者であった。盈灿グループの中に「網貸之家」はネット金融情報ポートサイドの雄で、業界内では非常に有名である。僕も「網貸之家」に大変おせわになっていた。「網貸之家」の七光りのせいか、「投之家」は投資家の間では「網貸之家」の兄弟会社といわれていた。  

 今回の倒産で被害総額が最大に29億元に達すると言われているが、衝撃はこの金額の大きさではない。「投之家」の取引金額からみれば中国P2Pネット金融のプラットフォームの中に中の上に位置し、決して大きいプラットフォームではなかった。親会社のバックグラウンドだけではなく、2015年と2016年に2回のVCの投資を受け、さらに最近上場企業珈偉股份(300317)から4億元の投資を受けた。

 投資家が一番衝撃を受けたのが実は「投之家」のビジネスモデルである。「投之家」のビジネスモデルはプラットフォーム自身からローン証券は発行せず、「網貸之家」の情報力を利用して他のプラットフォームから売り出されたローン証券を購入し、自身のプラットフォーム上に販売するのである。このビジネスモデルは「網貸超市」と言われ、一種の分散投資で、P2Pネット金融のイノベーションと持て囃され、投資家の間では「絶対潰れないプラットフォーム」と讃えられていた。

 「網貸超市」というビジネスモデルを続ければ個別の債権のデフォルトがあってもプラットフォームの倒産はないであろう。「投之家」は2017年12月に身売りが今回の倒産劇の始まりである。投資家が知らないうちに、盈灿グループが全ての株を珈偉股份(300317)の子会社に売り、会長も別人になった。珈偉股份は上場企業とはいえ、業績が非常に悪い。「投之家」を使った金をかき集めるマッシーンにしたじゃないか、裏にもっと根深い詐欺集団があるじゃないか、いろいろな噂話が流れているが、現時点ではまだ確認できない。

  https://bbs.wdzj.com/thread-1187673-1-1.html  

  http://www.sohu.com/a/243614907_250147


 「投之家」の件はすでに警察に立案され、真相は警察の発表を待つしかない。現時点では投資家の損失が最小限になるように期待するしかない。今回の事件で、29億元以上に投資家がP2Pネット金融に信頼性を失ったのが一番の損失ではないかと思う。