見出し画像

大善人へ身魂磨き

富士山久須志神社 クスシ、クスミとは

前回からの続きです。

久須志(クスシ)神社が富士山にありました。そのクスシはクスミに似ているなあという理由だけで、銅鐸(クスミ)について書いています。


銅鐸はクスミの神であり、「スズの成長を早めようと神に祈るためのもの」でした。「古代の鉄と神々」によれば、銅鐸が姿を消して弥生時代が終焉し古墳時代がはじまったのはスズを採取しての原始的鉄生産から砂鉄を採取する方法を会得したことによる、とありました。


太古より強固な鉄を制するものが力を持ったことが伺えます。鉄は農具、灌漑、祭具、武器、様々に形を変え生活を変化させたのでしょう。出雲の銅鐸(クスミ)は土の中に祈りをこめて埋められたのです。


出雲王国とヤマト政権の著書より、海人達が秦国から持ってきた献上品とは、青銅器でできた古代シナの打楽器の編鐘あったとありました。

「日本書紀」には、「武日照 (タケヒナドリ命が、天(🟰(アマ))から持ってこられた神宝は、出雲大神の宮に収めてある」と書かれています。

出雲王国では、この編鐘を銅鐸につくり変えて神宝とし各地に配布し銅鐸の祭りを行いました。渡来して出雲と結びついた海人族が銅鐸の原型を出雲に持ちこみます。

銅鐸信仰は、出雲族が移り住んだ地で広がりをみせます。出雲系でヤマトを収めていた長髄彦と神武は戦いますが、饒速日命を崇拝していた長髄彦は負けてしまいます。


神武天皇はヒメタタライスズ姫 (蹈備五十鈴)を皇后としますが、その名前からわかるようにタタラに縁があり名前の中の「鈴」は銅鐸を示し、「五十」は数が多いこと。「タタラで作った銅鐸を数多く持つ姫」という意味の名前です。

出雲族のタタラ(スズ)と縁のある女性との婚姻は力と結びつく感じもします。 


ところで、万葉集にある「みすずかる」は「信濃」にかかるの枕詞のようです「み」は貴重な鉄の原料である「すず」の美称です。出雲の国譲りに負けたタケミナカタ神が逃れた信濃(長野県)もスズに繋がりがありました。

鉄分を多く含む水の葦原では、鉄細菌が葦に付着し褐鉄鉱が周りに沈積し塊となります。それがスズでした。

「すず」は、たたら製鉄より古い製鉄方法のようで、たたらより低い土器を焼くくらいの温度で精錬され、特に信濃で盛んに行われていたようです。鈴なりという言葉は、葦などの茎に鉄分がこびりついている様子からきたという説が有力のようです。


出雲の国譲りで敗れたタケミナカタ神が出雲の王国の再現を願い信濃に逃れたのは、諏訪が「すず」が採れるところだったからかもしれません。

諏訪からは製薬会社も沢山うまれます。

銅鐸の埋められた地は、不思議と水が湧く泉のある場所であることが多いようです。原初の水が変化して鉄ができる神秘を尊んだり、霊水により病が癒されたり。


根に鉄鉱石成分が付着しどんどん成長し、中が空洞になると同時に小さな塊が残り、振ると音がするようです。これが「すず(鈴)」です。「すず」の成長は、数十年以上の長い時間がかかることから、成長を祈り銅鐸は土に埋めたわけです。

神社などで鈴を鳴らすのは、この「すず」がたくさんとれるように、と祈った名残りのようです。

高千穂でアメノウズメがスズを持って踊る像がありました。


高千穂神社


葡萄の房のように、鉄鉱石の「すず」がたくさん付いた状態を「すずなり(鈴生)」というようです。



また、銅鐸は昆虫のサナギと似ていたので、当時はサナギと呼ばれたこともあり、古代の人々は、サナギから蝶や蛾が生まれることに神秘性を感じ、似た形の銅鐸に描きます。また交わりを表す×を沢山描いたり、舟を描いたものもあるようです。舟は夫婦の交わりの暗喩表現で子宝を祈る意味があるようです。



自然が無為に鉄分を含む水からスズ鉄を作る。太古、銅鐸を通し人々は神秘を感じ、自然に潜む力、命の誕生、鈴なりに様々なイメージを結びつけた気がしました。

銅鐸はクスミ。クスミの響きから、クスは命を守るための薬や、信仰の九頭竜、葛なども空想させます。太古からの差別された原住民、国栖(土蜘蛛)。また、神々が住む九重天も。

鈴なりに連なる祈り、永遠の魂、命の連鎖、闘いのない世界への思い、昇天、安寧、平和、そんなイメージが連なります。


富士山久須志神社のクスシ。

美しく、優しく、厳しい山。裾野のひろい霊山、富士山。日本人の祈りと信仰が太古から蓄積し形となって何よりも高く神国、日本に顕在する二つとない富士山。

富士山登拝はこの夏の最大の目標であり、日、月、雨、雲、雹、雪、光、風、森羅万象への祈り、感動の連続でした。




名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「神仏について」カテゴリーもっと見る