磯良という、悲しい女性の怨霊の話がありました。吉備津神社神官の娘でした。吉備津の釜で紹介された、結婚を占う際にやった釜鳴神事は今も吉備津神社でなされているようですね。
吉備津神社ホームページより
この神事の起源はご祭神の温羅(うら)に由来があり、桃太郎に退治された鬼が御祭神なんです。
温羅は新羅からの渡来人だと思います。今も何かとお隣の国とは因縁がありますが、古代から、朝鮮と日本は、大国相手に手を取り合ったり敵になったり、色々あったと想像します。
吉備津神社のホームページによると、
命が捕らえた温羅の首をはねて曝しましたが、不思議なことに温羅は大声をあげ唸り響いて止むことがありませんでした。
そこで困った命は家来に命じて犬に喰わせて髑髏にしても唸り声は止まず、ついには当社のお釜殿の釜の下に埋めてしまいましたが、それでも唸り声は止むことなく近郊の村々に鳴り響きました。
命は困り果てていた時、夢枕に温羅の霊が現れて、
『吾が妻、阿曽郷の祝の娘阿曽媛をしてミコトの釜殿の御饌を炊がめよ。もし世の中に事あれば竃の前に参り給はば幸有れば裕に鳴り禍有れば荒らかに鳴ろう。ミコトは世を捨てて後は霊神と現れ給え。われは一の使者となって四民に賞罰を加えん』
とお告げになりました。
命はそのお告げの通りにすると、唸り声も治まり平和が訪れました。これが鳴釜神事の起源であり、現在も随時ご奉仕しております。
(吉備津神社ホームページより)
この神事は神官と阿曽女と二人で奉仕しているようです。
阿曽(アソ)の響きが、昨日の吉備津の釜のイソラ(磯良)と似ているきがします。磯良は吉備津神社の神官の娘でした。
また、磯良は、磯良神社という名前の神社が全国にありますから、神との繋がりをイメージしてしまいます。
大阪にある磯良神社
桃太郎のオニ退治と、吉備津の釜の鬼女の話がオニ繋がりで繋がったように思いました。
鳴釜神事は、桃太郎の鬼が占ってくれるとか言われていますが、神になる鬼(鬼神)には、それなりの道理があるのかなぁと思いました。
また、役小角は、吉備で城をたて倭国を守ってくれた新羅の渡来人に感謝していました。昔から朝廷にとって不都合な存在を鬼とする例もあります。
役小角の弟子や仲間たちは、前鬼、後鬼、五鬼童、などオニの名前が沢山ついています。伝説によると、人を食べたが、改心したとか書かれていました。
時の朝廷の悪政を倒そうと弟の天武天皇を陰ながら応援していた役小角や弟子たちも、天智天皇の時代は朝敵だったといえばそうなります。
悪や善、正と邪の判断はわからない。
鬼という言葉に込められた噂話や
昔話には尾鰭がつきもします。
鬼と呼ばれた役小角の弟子たちが、
本の中ではとても人情に厚く、
また、悲しみも深く知っているような、
身を呈して大切なものを守ったり、
弱者の味方みたいな感じで
描かれていました。
鬼に纏わる話は色々ありますが、
吉備地方にまつわる鬼伝説を読んで
鬼が何故鬼と呼ばれているのか
そこには
決して鬼というだけで嫌ったり出来ない
人の弱さを感じたり
悲しい背景があるのかもと
思ってしまいました。