『ごまめ』35号(06年3月発行予定)原稿
社会保険歯科診療と歯科技工士の法的位置
岩澤 毅(秋田市)
はじめに
我々歯科技工士の日本社会における制度的位置を知るために、健康保険法・社会保険診療制度における歯科技工士および歯科技工所の位置付を探る。
Ⅰ.テーマ
健康保険法・社会保険診療制度における歯科技工士および歯科技工所の位置付けはどのようなものだろうか。「7:3」大臣告示は、何を定めているのだろうか?
Ⅱ.データと評価
○健康保険法
(大正十一年四月二十二日)
(法律第七十号)
高橋内閣
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル健康保険法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、労働者の業務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
(平一四法一〇二・全改)
(基本的理念)
第二条 健康保険制度については、これが医療保険制度の基本をなすものであることにかんがみ、高齢化の進展、疾病構造の変化、社会経済情勢の変化等に対応し、その他の医療保険制度及び老人保健制度並びにこれらに密接に関連する制度と併せてその在り方に関して常に検討が加えられ、その結果に基づき、医療保険の運営の効率化、給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向上を総合的に図りつつ、実施されなければならない。
(平一四法一〇二・全改)
保険給付の種類)
第五十二条 被保険者に係るこの法律による保険給付は、次のとおりとする。
一 療養の給付並びに入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費及び移送費の支給
二 傷病手当金の支給
三 埋葬料の支給
四 出産育児一時金の支給
五 出産手当金の支給
六 家族療養費、家族訪問看護療養費及び家族移送費の支給
七 家族埋葬料の支給
八 家族出産育児一時金の支給
九 高額療養費の支給
(平一四法一〇二・追加)
(療養の給付に関する費用)
第七十六条 保険者は、療養の給付に関する費用を保険医療機関又は保険薬局に支払うものとし、保険医療機関又は保険薬局が療養の給付に関し保険者に請求することができる費用の額は、療養の給付に要する費用の額から、当該療養の給付に関し被保険者が当該保険医療機関又は保険薬局に対して支払わなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とする。
2 前項の療養の給付に要する費用の額は、厚生労働大臣が定めるところにより、算定するものとする。
○社会保険医療協議会法
(昭和二十五年三月三十一日)
(法律第四十七号)
第七回通常国会
第三次吉田内閣
社会保険審議会、社会保険医療協議会、社会保険審査官及び社会保険審査会の設置に関する法律をここに公布する。
(設置)
第一条 厚生労働省に、中央社会保険医療協議会(以下「中央協議会」という。)を置く。
2 各地方社会保険事務局に、地方社会保険医療協議会(以下「地方協議会」という。)を置く。
(昭三六法二二七・全改、平四法七・旧第十三条繰上、平一一法八七・平一一法一〇二・一部改正)
(所掌事務)
第二条 中央協議会は、次に掲げる事項について、厚生労働大臣の諮問に応じて審議し、及び文書をもつて答申するほか、自ら厚生労働大臣に、文書をもつて建議することができる。
一 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第七十六条第二項の規定による定め、同法第八十五条第二項の規定による基準、同法第八十六条第二項第一号の規定による定め及び船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第二十八条ノ四第二項の規定による定めに関する事項
二 健康保険法第八十八条第四項の規定による定めに関する事項
三 健康保険法第六十三条第二項の規定による定め、同法第七十条第一項及び第七十二条第一項の規定による厚生労働省令、同法第八十六条第一項第一号の規定による高度の医療を提供する病院若しくは診療所の要件を定める厚生労働省令、同法第九十二条第二項の規定による基準(指定訪問看護の取扱いに関する部分に限る。)、船員保険法第二十八条ノ二第二項の規定による厚生労働省令、同法第二十九条ノ四第十項の規定による厚生労働省令、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第四十条第二項の規定による厚生労働省令並びに同法第五十四条の二第十項の規定による厚生労働省令に関する事項
(組織)
第三条 中央協議会又は地方協議会は、それぞれ、次に掲げる委員二十人をもつて組織する。
一 健康保険、船員保険及び国民健康保険の保険者並びに被保険者、事業主及び船舶所有者を代表する委員 八人
二 医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員 八人
三 公益を代表する委員 四人
2 厚生労働大臣は、それぞれ中央協議会又は地方協議会において専門の事項を審議するため必要があると認めるときは、その都度、各十人以内の専門委員を置くことができる。
3 委員及び専門委員は、厚生労働大臣が任命する。
4 第一項第一号及び第二号の委員の任命は、各関係団体の推薦によるものとする。
5 中央協議会の公益を代表する委員の任命については、両議院の同意を得なければならない。
○保険医療機関及び保険医療養担当規則
(昭和三十二年四月三十日)
(厚生省令第十五号)
健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十三条ノ四第一項及び第四十三条ノ六第一項(これらの規定を同法第五十九条ノ二第七項において準用する場合を含む。)の規定に基き、並びに日雇労働者健康保険法(昭和二十八年法律第二百七号)及び船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)を実施するため、保険医療機関及び保険医療養担当規則を次のように定める。
(使用医薬品及び歯科材料)
第十九条 保険医は、厚生労働大臣の定める医薬品以外の薬物を患者に施用し、又は処方してはならない。ただし、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第十五項に規定する治験(以下「治験」という。)に係る診療において、当該治験の対象とされる薬物を使用する場合その他厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。
2 歯科医師である保険医は、厚生労働大臣の定める歯科材料以外の歯科材料を歯冠修復及び欠損補綴てつにおいて使用してはならない。ただし、別に厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。
3 保険医が特定承認保険医療機関において行う第五条の二第二項に規定する厚生労働大臣の承認を受けた療養については、前二項の規定は適用しない。
(昭四二厚令四九・昭五九厚令四五・昭六〇厚令四・平八厚令六・平一〇厚令三二・平一二厚令一二七・平一四厚労令二三・平一五厚労令八九・平一六厚労令一一二・一部改正)
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閣議・国会提出案件
■ 「国会提出案件」とは、法律に基づき内閣として国会に提出・報告するもの
内閣法
第五条 内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告する。
第六条 内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。
■ 「質問主意書」とは?
国会法に基づいて国会議員が会期中に国政一般について文書で内閣に質問をするものです。
国会法 第八章 質問
第七十四条 各議院の議員が、内閣に質問しようとするときは、議長の承認を要する。
2 質問は、簡明な主意書を作り、これを議長に提出しなければならない。
3 議長の承認しなかつた質問について、その議員から異議を申し立てたときは、議長は、討論を用いないで、議院に諮らなければならない。
4 議長又は議院の承認しなかつた質問について、その議員から要求があつたときは、議長は、その主意書を会議録に掲載する。
第七十五条 議長又は議院の承認した質問については、議長がその主意書を内閣に転送する。
2 内閣は、質問主意書を受け取つた日から七日以内に答弁をしなければならない。その期間内に答弁をすることができないときは、その理由及び答弁をすることができる期限を明示することを要する。
社会保険歯科診療と歯科技工士の法的位置
岩澤 毅(秋田市)
はじめに
我々歯科技工士の日本社会における制度的位置を知るために、健康保険法・社会保険診療制度における歯科技工士および歯科技工所の位置付を探る。
Ⅰ.テーマ
健康保険法・社会保険診療制度における歯科技工士および歯科技工所の位置付けはどのようなものだろうか。「7:3」大臣告示は、何を定めているのだろうか?
Ⅱ.データと評価
○健康保険法
(大正十一年四月二十二日)
(法律第七十号)
高橋内閣
朕帝国議会ノ協賛ヲ経タル健康保険法ヲ裁可シ茲ニ之ヲ公布セシム
第一章 総則
(目的)
第一条 この法律は、労働者の業務外の事由による疾病、負傷若しくは死亡又は出産及びその被扶養者の疾病、負傷、死亡又は出産に関して保険給付を行い、もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
(平一四法一〇二・全改)
(基本的理念)
第二条 健康保険制度については、これが医療保険制度の基本をなすものであることにかんがみ、高齢化の進展、疾病構造の変化、社会経済情勢の変化等に対応し、その他の医療保険制度及び老人保健制度並びにこれらに密接に関連する制度と併せてその在り方に関して常に検討が加えられ、その結果に基づき、医療保険の運営の効率化、給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向上を総合的に図りつつ、実施されなければならない。
(平一四法一〇二・全改)
保険給付の種類)
第五十二条 被保険者に係るこの法律による保険給付は、次のとおりとする。
一 療養の給付並びに入院時食事療養費、特定療養費、療養費、訪問看護療養費及び移送費の支給
二 傷病手当金の支給
三 埋葬料の支給
四 出産育児一時金の支給
五 出産手当金の支給
六 家族療養費、家族訪問看護療養費及び家族移送費の支給
七 家族埋葬料の支給
八 家族出産育児一時金の支給
九 高額療養費の支給
(平一四法一〇二・追加)
(療養の給付に関する費用)
第七十六条 保険者は、療養の給付に関する費用を保険医療機関又は保険薬局に支払うものとし、保険医療機関又は保険薬局が療養の給付に関し保険者に請求することができる費用の額は、療養の給付に要する費用の額から、当該療養の給付に関し被保険者が当該保険医療機関又は保険薬局に対して支払わなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とする。
2 前項の療養の給付に要する費用の額は、厚生労働大臣が定めるところにより、算定するものとする。
○社会保険医療協議会法
(昭和二十五年三月三十一日)
(法律第四十七号)
第七回通常国会
第三次吉田内閣
社会保険審議会、社会保険医療協議会、社会保険審査官及び社会保険審査会の設置に関する法律をここに公布する。
(設置)
第一条 厚生労働省に、中央社会保険医療協議会(以下「中央協議会」という。)を置く。
2 各地方社会保険事務局に、地方社会保険医療協議会(以下「地方協議会」という。)を置く。
(昭三六法二二七・全改、平四法七・旧第十三条繰上、平一一法八七・平一一法一〇二・一部改正)
(所掌事務)
第二条 中央協議会は、次に掲げる事項について、厚生労働大臣の諮問に応じて審議し、及び文書をもつて答申するほか、自ら厚生労働大臣に、文書をもつて建議することができる。
一 健康保険法(大正十一年法律第七十号)第七十六条第二項の規定による定め、同法第八十五条第二項の規定による基準、同法第八十六条第二項第一号の規定による定め及び船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)第二十八条ノ四第二項の規定による定めに関する事項
二 健康保険法第八十八条第四項の規定による定めに関する事項
三 健康保険法第六十三条第二項の規定による定め、同法第七十条第一項及び第七十二条第一項の規定による厚生労働省令、同法第八十六条第一項第一号の規定による高度の医療を提供する病院若しくは診療所の要件を定める厚生労働省令、同法第九十二条第二項の規定による基準(指定訪問看護の取扱いに関する部分に限る。)、船員保険法第二十八条ノ二第二項の規定による厚生労働省令、同法第二十九条ノ四第十項の規定による厚生労働省令、国民健康保険法(昭和三十三年法律第百九十二号)第四十条第二項の規定による厚生労働省令並びに同法第五十四条の二第十項の規定による厚生労働省令に関する事項
(組織)
第三条 中央協議会又は地方協議会は、それぞれ、次に掲げる委員二十人をもつて組織する。
一 健康保険、船員保険及び国民健康保険の保険者並びに被保険者、事業主及び船舶所有者を代表する委員 八人
二 医師、歯科医師及び薬剤師を代表する委員 八人
三 公益を代表する委員 四人
2 厚生労働大臣は、それぞれ中央協議会又は地方協議会において専門の事項を審議するため必要があると認めるときは、その都度、各十人以内の専門委員を置くことができる。
3 委員及び専門委員は、厚生労働大臣が任命する。
4 第一項第一号及び第二号の委員の任命は、各関係団体の推薦によるものとする。
5 中央協議会の公益を代表する委員の任命については、両議院の同意を得なければならない。
○保険医療機関及び保険医療養担当規則
(昭和三十二年四月三十日)
(厚生省令第十五号)
健康保険法(大正十一年法律第七十号)第四十三条ノ四第一項及び第四十三条ノ六第一項(これらの規定を同法第五十九条ノ二第七項において準用する場合を含む。)の規定に基き、並びに日雇労働者健康保険法(昭和二十八年法律第二百七号)及び船員保険法(昭和十四年法律第七十三号)を実施するため、保険医療機関及び保険医療養担当規則を次のように定める。
(使用医薬品及び歯科材料)
第十九条 保険医は、厚生労働大臣の定める医薬品以外の薬物を患者に施用し、又は処方してはならない。ただし、薬事法(昭和三十五年法律第百四十五号)第二条第十五項に規定する治験(以下「治験」という。)に係る診療において、当該治験の対象とされる薬物を使用する場合その他厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。
2 歯科医師である保険医は、厚生労働大臣の定める歯科材料以外の歯科材料を歯冠修復及び欠損補綴てつにおいて使用してはならない。ただし、別に厚生労働大臣が定める場合においては、この限りでない。
3 保険医が特定承認保険医療機関において行う第五条の二第二項に規定する厚生労働大臣の承認を受けた療養については、前二項の規定は適用しない。
(昭四二厚令四九・昭五九厚令四五・昭六〇厚令四・平八厚令六・平一〇厚令三二・平一二厚令一二七・平一四厚労令二三・平一五厚労令八九・平一六厚労令一一二・一部改正)
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閣議・国会提出案件
■ 「国会提出案件」とは、法律に基づき内閣として国会に提出・報告するもの
内閣法
第五条 内閣総理大臣は、内閣を代表して内閣提出の法律案、予算その他の議案を国会に提出し、一般国務及び外交関係について国会に報告する。
第六条 内閣総理大臣は、閣議にかけて決定した方針に基いて、行政各部を指揮監督する。
■ 「質問主意書」とは?
国会法に基づいて国会議員が会期中に国政一般について文書で内閣に質問をするものです。
国会法 第八章 質問
第七十四条 各議院の議員が、内閣に質問しようとするときは、議長の承認を要する。
2 質問は、簡明な主意書を作り、これを議長に提出しなければならない。
3 議長の承認しなかつた質問について、その議員から異議を申し立てたときは、議長は、討論を用いないで、議院に諮らなければならない。
4 議長又は議院の承認しなかつた質問について、その議員から要求があつたときは、議長は、その主意書を会議録に掲載する。
第七十五条 議長又は議院の承認した質問については、議長がその主意書を内閣に転送する。
2 内閣は、質問主意書を受け取つた日から七日以内に答弁をしなければならない。その期間内に答弁をすることができないときは、その理由及び答弁をすることができる期限を明示することを要する。