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歯科技工士・岩澤 毅

岩澤毅 大相撲八百長メール騒動から考える、「公益法人の価値」

2011年02月18日 | ごまめ・Dental Today
2011/02/04
大相撲八百長メール騒動から考える、「公益法人の価値」


大相撲をめぐる八百長メール疑惑に関する大臣等の発言から、行政側の「一般法人」「公益法人」の位置付け・価値付けの本音が垣間見えてきたと思います。
担当の大臣の発言からは、個別具体の相撲協会の「疑惑」部分を取り除けば、結局「公益法人」に行く能力が無いもの、能力に欠けるもの、行ってはいけないものは、「一般法人」に行くか解散しろということと思います。 
相撲協会へは、懲罰の様な「公益資格なし」「一般法人」の連呼です。
これらの発言から、その「一般法人」に行った場合、当然ながら何の「メリット」は用意されていないことは、理の当然と思います。
「公益性」の主張が是認されてこそ、「社団」に社会的な存在理由と意義があり、優遇する必要性が認められるのです。
国側にとって、公益性の無い法人を優遇する理由は無いわけです。

1.仕掛けとしての公益法人改革のプロセス

公益法人改革のプロセスの中で、予め高いハードルを設定し、当該法人に自らその過去の活動内容と存在意義を自省させ、「分かれ道」を選択させる。
極力行政の手は汚さないための仕掛けが、今回の公益法人改革のプロセスの「まずは自ら選び、その後委員会に判定される」にあるのだと思います。
今回の公益法人改革の行政の本音は、言わば「法人仕分け」といったところでしょう。事業仕分けで名を売った蓮舫大臣が、現在担当するのは、「良くできた小話」だと思います。
http://www.cao.go.jp/minister/1101_renho/index.html

2.旧制度の「膿」出し

今回の「公益法人改革」の焦点は、国側にとって公益性という観点から、その合格水準まで届かぬ法人を、「一般法人」という名で処置・処分すると言ったところでしょうか。
過去、漢字検定協会等々様々な事件がありました。それらの総括もまた、必要とされたのでしょう。
営利法人に移行させるべきものは移行させ、解散させるべきものは解散させ、旧制度の百年分の「膿」を、ここで出す手術ということでしょう。

http://ameblo.jp/akisigi/entry-10788863338.html
http://ameblo.jp/akisigi/entry-10788991907.html
http://ameblo.jp/akisigi/entry-10788997614.html
http://ameblo.jp/akisigi/entry-10789253087.html
http://ameblo.jp/akisigi/entry-10789257362.html

今回の大相撲の八百長メール騒動とそれに連動する「公益法人」資格問題で一般の人々も、特例財団法人日本相撲協会を「公益法人の資格が無い」「公益法人としての価値が無い」等々の「公益法人改革」の意識を刷り込まれていると思います。
今回の報道内容は、敢えて警視庁・警察庁が「犯罪事実」が無いにもかかわらず、「公益法人として如何なものか」 と所管の文部科学省に通知するという大きなイレギュラーな展開から始まっています。
法律に基づき裁判所が発行した令状により押収された捜査関係資料が他の全く違う用途に転用され、第三者に提供され、「今日、文部科学省に提供されます」とアナウンサーが読み上げる。個人の通信の秘密が、公然と公権力により侵さる事態です。冷静になれば、重大な問題を含んでいることが容易に理解できます。それを批判すべきマスコミが、先頭になってその内容の「通信の秘密」の暴露を行っています。スクープ合戦として、暴露競争・プライバシー暴露競争の光景です。通常であれば、弁護士会等から行政とマスコミに対して、大きな批判が巻き起こるであろうことが、普通の光景あるいは「善行」になっています。
社団に対する「公益性」確認のためには、世間は公権力の「やり過ぎ」を許容する風潮です。これはこれで怖いことです。

3.今回の報道の教育効果

これら一連の報道で国民もマスコミ報道を通じて、公益法人改革と公益法人についての一定の知識を持つでしょう。
マスコミ報道は、大相撲5月場所前、7月場所前と波状的に繰り返されることでしょう。毎場所毎に、開催の是非が論じられ、個人の所業と日本相撲協会の体質を含む話題が、蒸し返されいわば長期化します。
その騒動の中で、特例財団法人日本相撲協会の「公益移行認定」を経ての生き残りは困難を極めると思います。
「一般移行認可」(公益時代に築いた財産を捨てさせられて)すら、極めて困難と思います。

相撲協会の行く末は、一般法人か営利法人か解散か。あるいは、落とし所として大幅な文部科学省と警察庁そしてマスコミ各社首脳の介入による組織の生まれ変わりか。(相撲経験者による役員・運営体制から、上記3者による役員・評議委員体制に実質移行か?)

http://ameblo.jp/akisigi/entry-10789257362.html
http://ameblo.jp/akisigi/entry-10789668765.html
http://ameblo.jp/akisigi/entry-10789670479.html

ここで見逃せないのが、「一般法人」が、公益法人不適格の法人の「行き場」というマスコミ上の言動と構図です。
この事件の前後で、「一般法人」に対する国民のイメージが大幅に変化したものと思います。
「一般法人」の選択が、より価値を下げました。
今、最も評判の悪い物として「喫煙」「たばこ」があります。
喫煙者とともにその批判の標的になり易い、たばこ小売を生業とするたばこ小売商の皆さんは、コンビニにも押されながらも、地味な社会貢献活動を行い地域社会での存在の模索をしています。
http://www.zenkoku-tabakoya.jp/index.html
http://www.zenkoku-tabakoya.jp/contribution/index.html
 自己の業界・業種・職種の利益のみの主張では、既に国民は見向きもされない時代に取り得る選択肢の象徴と思います。「組合」ですら、社会貢献活動をその主な活動と位置づけています。いわんや「公益法人」においてです。

「公益性の主張」「公益性の存在証明」の継続は、社会的に有益な活動で結びつく人々の集まりである社団にとって今後益々必要とされ必須のものとなることでしょう。

http://www.cao.go.jp/gyouseisasshin/contents/14/new-system-for-charitable-corporation.html
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%A4%BE%E5%9B%A3%E6%B3%95%E4%BA%BA

公益法人の名称の獲得は、いわば第三者によるその集団への品質証明であり、公益法人移行認定は第三者による品質保証の獲得です。

4.歯科技工士会の身の振り方

そんな中で、私たち「特例社団法人秋田県歯科技工士会」あるいは都道府県歯科技工士会、「特例社団法人日本歯科技工士会」が自らその位置付けを「一般法人」として選択したならば、一般の人々に、「あの法人は、ガバナンス(内部統治)能力が危うい」「(その事業内容に)公益性が乏しい」と「自白」したと思われることでしょう。
創立から、半世紀以上にわたり諸先輩が営々築き、現在まで小さいながらも生涯研修等々継続した「公益事業」を行ってきた団体にもかかわらずです。

4.歯科衛生士会の先進事例

都道府県歯科衛生士会の選択は、幾つか見えてきました。
岩手県
http://ameblo.jp/akisigi/entry-10716649899.html
http://iwate.jdha.or.jp/
任意団体から一般法人への双六のコマを進めました。
鹿児島
http://ameblo.jp/akisigi/entry-10772485050.html
http://www3.synapse.ne.jp/kdh/
公益法人へとコマを進めました。

これらからも、特別に財政が豊かでなくても、会員が多数でなくても、やるべきステップを着実に踏み自己変革を行い、手続を公正に進めれば、公益法人格の取得は、決して不可能でないことが示されたと思います。何よりも、一歩一歩進むことの重要性が示されていると感じます。 両会の行動は、大変先進的で貴重ものと思います。

5.期待される間違いのない選択

「公益法人改革」対応に残された少ない時間を、日技と各県技担当者が熟慮と知識の共有を図り、間違いのない道を選択して行きたいものです。
歯科技工士としての個別具体的課題への取り組みは当然です。その上で、すべての「社団法人・財団法人」が現在直面しているこの公益法人改革という課題への対応能力無しに、今後の会務の展開は有り得ないでしょう。このハードルを優先して超える・超える能力を獲得する必要があります。
諸先輩から受け継ぎ、次の世代へとより良い状態にして社団を受け渡すのが現在の世代の義務と思います。「公益法人改革」へ対応は、日本全国の各種「社団法人・財団法人」の優先すべき課題です。
まずは、日技の公益法人移行認定を早期に確実に達成して頂き、出来得るならば各県技が可能性を追求し、公益法人移行認定にチャレンジすることを願います。
年度替わりの時期を迎え、各団体・支部等でも総会等も開催されるでしょう。これらを契機に、「公益法人改革」への理解がより深まり、各団体とその構成員にとってより良い選択に向け舵が切られることを心より願います。
https://www.koeki-info.go.jp/pictis_portal/koeki/pictis_portal/common/portal.html

※添付ファイルを参照するには、Adobe Readerが必要です。
次のリンクからビューワーソフトを入手できます。
http://get.adobe.com/jp/reader/
(了)
2011/02/07 一部語句・誤記等を修正

添付ファイル
秋田県知事公室総務課 企画・行政改革班
平成22年2月12日(金)県庁第2庁舎 8階 大会議室
「新公益法人制度役員向け説明会」
役員向け説明会資料
http://www.pref.akita.lg.jp/www/contents/1213166757453/files/setsumeikaisiryou.pdf

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