旅の中日(なかび)午後、いよいよ主目的「熊野古道を歩く」へ。
熊野古道といっても長い道のりで種類がいろいろあるので、
どこを歩くかを事前にあれこれ相談した結果、
本宮大社から2日目の宿がある湯の峯温泉へ通じる「大日越 」を歩くことにした。
熊野古道で現在でも往時が長い距離にわたって遺っている部分といえば中辺路だと思うが、
大日越は中辺路の一部に分類されているものの、メインルートの巡礼道ではない。
いわば支道というか。
本宮大社に参拝した後、旅の癒しに温泉につかりに行く際に行き来した道。
なので、ちょっとフクザツな気もしたが、旅程上(シュークリーム屋に寄りたい&湯の峯に宿泊)においても、
距離(3km)と難易度(初心者向き)においても無難なので、ここを歩くことに決めた。
いきなりの石段に「うぅ」。重いリュックを背負う身としてはつらい。
石段を登って振り返ると本宮大社が元あった場所(大斎原)が一望できた。
それにしても、まさしく古道。
午前中に寄った世界遺産センターで観たVTRで「熊野古道は祈りの道。一歩一歩、祈りを込めて歩いてください」とメッセージがあった。
なので、その言葉どおり、一歩一歩ゆっくり歩いた。(てゆーか、ゆっくり、転ばないように注意して歩いた)
若い連れは随分と先に行ってしまった。でも、焦らない。
振り返って、自分が歩いた道のりを確認する。
脇は植林したものだと思うけど、杉林。直射日光が避けられたのは幸いだった。
大日越というくらいだから、峠を一つ越える。
踏ん張って歩いたため、重心が右足の親指に集中して、すごく痛い。
石の道を踏むたびに窮屈な運動靴の中で悲鳴を上げて、本当に涙が出るくらいに痛かった。
でも、興味深いものも見つけた。
写真じゃ見えづらいけど、脇道の石段の先にある大きな石の下には人一人が入れる空間があった。
「昔の修験者はここで修行したり、野宿したんだろうなぁ」と思うと、つらいながらも頑張らなくちゃという気になった。
やっと登りがおわり峠の上に出たみたい。道が平坦になった。
月見ケ丘神社のあたり?
切通だぁ。
鼻欠地蔵はなんかよくわからなかった。
登りもつらいけど、下りはもっとつらかった。体重のすべてが右足親指にかかって、一歩降りるごとにズシーンときた。
私より20歳若い連れにショルダーバックをもってもらって、先に行かせて
とにかくマイペースで安全に下ることに集中。(怪我したら洒落にならない。なので、スマホもショルダーに入っていたので撮影もできず)
歩きながら、情けなくなった。
自分は歳をとって、こんなにも体力がなくなってしまった。
前を歩く連れの年齢だった頃は私も遅いなりに、今のようにフラフラじゃなく歩いていたんだけどなぁ。
一人で、40リットル入る登山リュックを背負って、東海道の箱根越え(湯本→芦ノ湖の旧街道)を歩いたし、
グループで富士山にも3回登頂したし、奥穂高岳にも登ったし、八ヶ岳の赤岳にも登った。
ネパールのエベレスト街道も、後ろでトボトボ、バテバテだったけど、往復5日かけて歩ききった。
なのに、こんなに歩けなくなっちゃった~。悲しいよぉ~ (T_T)
ま、結論から言うと「荷物が重すぎた」「靴が全く合っていなかった」のが原因。
今から思うと、かつて山登りしていた時のトレッキングシューズを持参して履き替えれば問題はなかった。
(荷物になるし、そんな本格的な登山じゃないしと端折ったのは失敗だった)
それと、荷物の重さをなめていた。
今回、3日間後の旅行のあと、神戸へ帰って4日間過ごして、飛行機で戻る計画だったので、
「いくら夏休みとはいえ、メールやデータチェックが1週間分溜まるのは面倒だなぁ」と思ってしまった。
パソコンそのものは軽量でも、他の荷物と合わせればさすがに重かった。
ちなみに、神戸に帰宅して、すぐ荷物を計量したところ、リュックサックは6.8kg、ショルダーバックも1.8kgあった。
合わせて9kg近い。
これを買ったばかりの履き慣れていない、足先細い運動靴で昔ながらの古道を歩くことに、そもそも無理があった。
そして、連れの荷物の重さは私の半分以下。(若さももちろんあるが、ゆえにさっさと歩ける)
本当に、山を甘くみた私の敗北だったなぁ。
雨仕様は用意していたとはいえ、あれで雨に見舞われていたら、もっと大変なことになっていた。
好天に恵まれたおかげで、なんとか歩き通すことができた。
とはいえ、マスク(←苦しくて途中で外した)も難渋の要因にもなったし、
お年頃で汗が滝のように出て、体が臭くなるらいにベトベトになるくらいに暑かったなぁ。
やっとゴールが近くなった。
連れは湯の峯王子跡のところで待っていてくれた。
もともと巡礼道ではないし、湯の峯王子は平安期より後にできたものだと予習していたので、ありがたみ薄し。
予定では1時間半かけて歩くところを2時間かけて、湯の峯温泉に到着!
人生において、一番長い3.3kmだったなぁ。
そして、ゴールのお楽しみは温泉!
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