土佐レッドアイ

アカメ釣りのパイオニアクラブ

その(8)ラム・ハンドル・ハンター ロングクリップ 何だこれは?

2018-08-23 13:14:00 | 狩猟とナイフ
 
 今回紹介するナイフは、きわめて珍しくおそらく見たことがないという方が大勢を占めることでしょう。筆者もアメリカのオークションで初めて見た時は目を疑いました。「なんじゃこりゃあ?」とつぶやいたことです。


 このナイフです。

 なんだ、アバクロンビー&フィッチ・ハンター(Abercrombie & Fitch hunter)じゃないか。と思われることでしょう。


 上段がA&F hunter〔後期)で下段が今回紹介するナイフです。画像が小さいの判りにくいですが、A&F hunterはハンドルの刻印は右側に(GERBER)、左側が(ABERCROMBIE & FITCH CO.) 、下側にラム・ハンドルの特許番号が打刻されていました。ところが下側のナイフの左側には「ABERCROMBIE & FITCH CO.」がありません。



ハンドル右側の「GERBER」もありません。


 上段がA&F hunterでハンドル下側に「U.S.PAT.2,390,544」が打刻されています。下段は今回のナイフで「GERBER エクスカリバーマーク U.S.PAT.2,390,544」と打刻されています。



 これまで、ラムハンドルでロングクリップブレードはA&Fハンターしかないと紹介されてきました。このナイフはその定説を覆すナイフなのでした。

 オークションの写真は小さく不鮮明で、よくわからなかったのですが、とにかくこれはヘンだ。変だ。どうしても落としたいと頑張って高額でしたが落札しました。送られてきたナイフを見て、やはりこれは凄いと鳥肌がたつような興奮をおぼえた事でした。
 出品した方はごく普通のA&Fハンターだと思い込んでいたようで、説明もガーバーの中でも珍しいA&Fハンターだと紹介されていました。当時は円安で1ドルが120円台の時、1600ドル余りで落札したものです。
 1947年9月に、ラム・パターン・ハンドル(Lamb pattern Handled)を初めて使用して、アバクロンビー&フィッチ・ハンター(Abercrombie & Fitch hunter)が発売され、1953年4月まで販売されます。
 ここからは、筆者の想像です。このナイフはアバクロンビー&フィッチへの納入が終了した後、残っていたブレードを利用して作られたものだと思われます。おそらく極少数だったと思われますので、正規の製品としては流通しなかったのでしょう。エクスカリバーマークがハンドルに打刻されるのが1954年からですので、このナイフは1954年に製造されたものだと考えます。

 先に紹介したその(3)ラム・ハンドル・ハンターの大珍品と前後して製造されたのでしょう。