近年、イノシシやシカの被害が拡大し、それらの肉の流通も多くなってきました。
魚介類や鳥獣、家畜の生食文化は昔から一般的です。しかし、それらの生食には感染症の危険性が常に含まれています。特に、イノシシの生食のリスクは高いということがいわれています。
ネットで少し検索するだけで山のように出てくるのですが、少しだけ紹介します。
人獣共通感染症について
人獣共通感染症は、「脊椎動物と人の間で自然に移行するすべての病気または感染」と定義されています。zoonosis(ズーノーシス)、人畜共通感染症、人獣共通感染症、動物由来感染症などいくつかの呼称があります。
人獣共通感染症には、人も動物も重症になるもの、動物は無症状で人が重症になるもの、その逆で人は軽症でも動物は重症になるものなど、病原体によって様々なものがあります。
人獣共通感染症の病原体
人獣共通感染症の原因となる病原体には、大きいものでは何センチもある寄生虫から、電子顕微鏡を用いなければみることのできないウイルスまで、様々な病原体があります。
シカ肉の安全性とリスク
肝蛭症(カンテツ症) ウシ等に発生する肝蛭症と言う病気があるそうです。
ウシの肝臓に寄生する吸虫が原因で肝臓に穴が開きます。ウシの排泄物を肥料として、牧草やデイトコーン作ることは普通に行われておりますが、それを野生のシカが食べて感染するそうです。この病気はヒトにも感染します。肝蛭症が発生している地域のシカの肝臓は生食しない方が良いでしょう。 また、そのような地域の山菜や野草は生食しない方が良いと思います。調理中のまな板も感染の原因に成りますので注意が必要だと言うことです。
イノシシ肺吸虫
イノシシや淡水産のカニ(モズクガニ、サワガニなど)の体内に寄生し、大きさ、形ともにコーヒー豆のような虫です。幼虫に感染したイノシシの生肉、淡水産のカニの生食や不完全な加熱調理または調理器具などの二次汚染による摂取感染があります。
過去には、モクズガニやサワガニの生食で感染すると言われていましたが、宮崎大学の 調査によるとイノシシ肉の生食により、人や犬にも感染していることが判明しました。 イノシシが感染する経路は、モクズガニやサワガニの捕食によるそうです。
感染したイノシシ、サワガニなどを食べてから数か月以内に血痰、胸痛、胸水、気胸などを起こします。
どうすれば予防できるのかですが、
獣肉の生食をさける。
食べるときは、充分加熱する
ことで防げます。
『東京都西部において2000年4月から翌年4月にかけて有害鳥獣駆除で捕獲された野生ニホンイノシシ42頭の肺虫感染について検討したところ,全頭でMetastrongylus属緑虫が検出された.M.elongatus,M.salmi,M.asymmetricusおよびM.pudendotectusの4種が検出され,全て2種以上が寄生していた.最多寄生は1-3月期に認められた.』
雑食性のイノシシの生食は、肺ジストマや寄生虫のリスクが非常 に高いということです。
『厚生労働省関連先リンク』
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/08/h0819-2a.html
食肉を介するE型肝炎ウイルス感染事例について
(厚生労働省報道発表資料 2003年8月 > 食肉を介するE型肝炎ウイルス感染事例について >)
我が国では2003年4月の兵庫県における野生シカ肉の生食を原因とするE型肝炎ウイルス食中毒事例が、特定の食品の摂食とE型急性肝炎発症との間の直接的な因果関係を確認した最初の事例となりました。また、英科学誌「Journal of General Virology」2003年9月号掲載の報告では、北海道で市販されていた生豚レバーの一部からE型肝炎ウイルスの遺伝子が検出され、加熱不十分な豚レバーから人への感染の可能性も示唆されています。さらに、2005年3月に福岡県で野生イノシシ肉を喫食した11名中1名が、E型肝炎を発症し、ウイルス遺伝子検査でイノシシ肉との因果関係が確認された事例も報告されています。
厚生労働省ではこれらの事例を踏まえ、E型肝炎予防に関する情報提供を目的として、次のとおりE型肝炎に関するQ&Aを作成しました。
なお、豚レバーを含む豚肉並びにシカ及びイノシシなどの野生動物の肉を安全に喫食する為の注意点について、下記にとりまとめましたのでご参考としていただきますようお願いします。
・ 豚レバーを含む豚肉並びにシカ及びイノシシなどの野生動物の肉(内蔵を含む。)は生で食べないようにしましょう。
・ 豚肉並びにシカ及びイノシシなどの野生動物の肉は中心部まで火が通るよう、十分に加熱して食べましょう。このような加熱はほとんどの危険な微生物を死滅させることが確認されています。また、他の動物の肉については、若齢者や高齢者など抵抗力の弱い方は生肉の摂取を控えるようにしましょう。
・ 加熱調理を行う肉類は生焼けにならないよう中心部まで十分に火が通るよう、十分に加熱してください。
・ 生の肉類と加熱済みの肉類は分けて取り扱いましょう。取り扱う箸や皿も区別して使用してください。
Q.E型肝炎とはどのような病気ですか?
A.E型肝炎は、E型肝炎ウイルス(hepatitis E virus、以下「HEV」という。)の感染によって引き起こされる急性肝炎(稀に劇症肝炎)で、慢性化することはありません。HEVは主として経口感染しますが、ごく稀に、感染初期にウイルス血症をおこしている患者(あるいは不顕性感染者)の血液を介して感染することもあります。E型肝炎は開発途上国に常在し散発的に発生している疾患ですが、時として汚染された飲料水などを介し大規模な流行を引き起こす場合もあることが知られています。一方、先進国においては、開発途上国への旅行者の感染事例が多かったことから、専ら「輸入感染症」として認識されて来ましたが、近年、渡航歴のない「国内発症例」も散見されるようになり、しかも、そのような例から採取されたHEV株は、それぞれの地域に特有の「土着株」であることが明らかになって来ました。自然界における感染のサイクルは未だ不明ですが、豚やシカ、イノシシなどの動物からもヒトのHEVに酷似するウイルスが検出されていることや、動物からヒトへの感染事例の報告もされていることから、今では本疾患は人獣共通感染症として捉えられています。
「ふぐは喰いたし、命は惜しし」と言いながら食べて死んでしまう人は昔からいたようですが、イノシシの生食やシカの肝臓の生肉の危険性を知らずに食べる人は多いようです。
「わたしは命がけで食べます」という人は別としてくれぐれもお気をつけ下さい。
魚介類や鳥獣、家畜の生食文化は昔から一般的です。しかし、それらの生食には感染症の危険性が常に含まれています。特に、イノシシの生食のリスクは高いということがいわれています。
ネットで少し検索するだけで山のように出てくるのですが、少しだけ紹介します。
人獣共通感染症について
人獣共通感染症は、「脊椎動物と人の間で自然に移行するすべての病気または感染」と定義されています。zoonosis(ズーノーシス)、人畜共通感染症、人獣共通感染症、動物由来感染症などいくつかの呼称があります。
人獣共通感染症には、人も動物も重症になるもの、動物は無症状で人が重症になるもの、その逆で人は軽症でも動物は重症になるものなど、病原体によって様々なものがあります。
人獣共通感染症の病原体
人獣共通感染症の原因となる病原体には、大きいものでは何センチもある寄生虫から、電子顕微鏡を用いなければみることのできないウイルスまで、様々な病原体があります。
シカ肉の安全性とリスク
肝蛭症(カンテツ症) ウシ等に発生する肝蛭症と言う病気があるそうです。
ウシの肝臓に寄生する吸虫が原因で肝臓に穴が開きます。ウシの排泄物を肥料として、牧草やデイトコーン作ることは普通に行われておりますが、それを野生のシカが食べて感染するそうです。この病気はヒトにも感染します。肝蛭症が発生している地域のシカの肝臓は生食しない方が良いでしょう。 また、そのような地域の山菜や野草は生食しない方が良いと思います。調理中のまな板も感染の原因に成りますので注意が必要だと言うことです。
イノシシ肺吸虫
イノシシや淡水産のカニ(モズクガニ、サワガニなど)の体内に寄生し、大きさ、形ともにコーヒー豆のような虫です。幼虫に感染したイノシシの生肉、淡水産のカニの生食や不完全な加熱調理または調理器具などの二次汚染による摂取感染があります。
過去には、モクズガニやサワガニの生食で感染すると言われていましたが、宮崎大学の 調査によるとイノシシ肉の生食により、人や犬にも感染していることが判明しました。 イノシシが感染する経路は、モクズガニやサワガニの捕食によるそうです。
感染したイノシシ、サワガニなどを食べてから数か月以内に血痰、胸痛、胸水、気胸などを起こします。
どうすれば予防できるのかですが、
獣肉の生食をさける。
食べるときは、充分加熱する
ことで防げます。
『東京都西部において2000年4月から翌年4月にかけて有害鳥獣駆除で捕獲された野生ニホンイノシシ42頭の肺虫感染について検討したところ,全頭でMetastrongylus属緑虫が検出された.M.elongatus,M.salmi,M.asymmetricusおよびM.pudendotectusの4種が検出され,全て2種以上が寄生していた.最多寄生は1-3月期に認められた.』
雑食性のイノシシの生食は、肺ジストマや寄生虫のリスクが非常 に高いということです。
『厚生労働省関連先リンク』
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2003/08/h0819-2a.html
食肉を介するE型肝炎ウイルス感染事例について
(厚生労働省報道発表資料 2003年8月 > 食肉を介するE型肝炎ウイルス感染事例について >)
我が国では2003年4月の兵庫県における野生シカ肉の生食を原因とするE型肝炎ウイルス食中毒事例が、特定の食品の摂食とE型急性肝炎発症との間の直接的な因果関係を確認した最初の事例となりました。また、英科学誌「Journal of General Virology」2003年9月号掲載の報告では、北海道で市販されていた生豚レバーの一部からE型肝炎ウイルスの遺伝子が検出され、加熱不十分な豚レバーから人への感染の可能性も示唆されています。さらに、2005年3月に福岡県で野生イノシシ肉を喫食した11名中1名が、E型肝炎を発症し、ウイルス遺伝子検査でイノシシ肉との因果関係が確認された事例も報告されています。
厚生労働省ではこれらの事例を踏まえ、E型肝炎予防に関する情報提供を目的として、次のとおりE型肝炎に関するQ&Aを作成しました。
なお、豚レバーを含む豚肉並びにシカ及びイノシシなどの野生動物の肉を安全に喫食する為の注意点について、下記にとりまとめましたのでご参考としていただきますようお願いします。
・ 豚レバーを含む豚肉並びにシカ及びイノシシなどの野生動物の肉(内蔵を含む。)は生で食べないようにしましょう。
・ 豚肉並びにシカ及びイノシシなどの野生動物の肉は中心部まで火が通るよう、十分に加熱して食べましょう。このような加熱はほとんどの危険な微生物を死滅させることが確認されています。また、他の動物の肉については、若齢者や高齢者など抵抗力の弱い方は生肉の摂取を控えるようにしましょう。
・ 加熱調理を行う肉類は生焼けにならないよう中心部まで十分に火が通るよう、十分に加熱してください。
・ 生の肉類と加熱済みの肉類は分けて取り扱いましょう。取り扱う箸や皿も区別して使用してください。
Q.E型肝炎とはどのような病気ですか?
A.E型肝炎は、E型肝炎ウイルス(hepatitis E virus、以下「HEV」という。)の感染によって引き起こされる急性肝炎(稀に劇症肝炎)で、慢性化することはありません。HEVは主として経口感染しますが、ごく稀に、感染初期にウイルス血症をおこしている患者(あるいは不顕性感染者)の血液を介して感染することもあります。E型肝炎は開発途上国に常在し散発的に発生している疾患ですが、時として汚染された飲料水などを介し大規模な流行を引き起こす場合もあることが知られています。一方、先進国においては、開発途上国への旅行者の感染事例が多かったことから、専ら「輸入感染症」として認識されて来ましたが、近年、渡航歴のない「国内発症例」も散見されるようになり、しかも、そのような例から採取されたHEV株は、それぞれの地域に特有の「土着株」であることが明らかになって来ました。自然界における感染のサイクルは未だ不明ですが、豚やシカ、イノシシなどの動物からもヒトのHEVに酷似するウイルスが検出されていることや、動物からヒトへの感染事例の報告もされていることから、今では本疾患は人獣共通感染症として捉えられています。
「ふぐは喰いたし、命は惜しし」と言いながら食べて死んでしまう人は昔からいたようですが、イノシシの生食やシカの肝臓の生肉の危険性を知らずに食べる人は多いようです。
「わたしは命がけで食べます」という人は別としてくれぐれもお気をつけ下さい。