Aino's Dream

職業写真家Aino(日本写真家ユニオン会員)のオフィシャルブログ。写真って夢みたい。。ゆるりゆるりと夢を追い続けて。。

何が正しくて何が正しくないのか

2013年10月03日 | 独り言

 

うちの7匹の猫のうち、末っ子のリュウ(3歳 ♂ ソマリ 写真真ん中)が癌になった。気付いた時には、既に癌はリュウの体のあちこちを蝕んでいた。病院は抗がん剤治療を当然やるものとプランを提示した。オットもそれが当然なのだと思っていた。

しかし、私は違った。私は父を肺がんで亡くした。58歳だった。見つかった時には既にステージ4で、しかも肺がんの中でも最も悪性の強いものだった。それでも私たち家族は、少しでも父に長く生きてほしい一心で、父を励まし、辛い治療を強いてしまった。でも、結局、治療を始めてからたったの4ヶ月の命だった。そしてそれから15年間、私は悔いて悔いて、その気持ちには際限がない。

だから、私はオットと何度も話し合った。泣きながら話し合った。何が正しくて何が正しくないのか、結局今でも分からない。ただ、辛い決断だったが、私たちが出した答えは、辛い抗がん剤治療をさせるより、家でゆっくりと余命を生きてほしい、というものだった。なので、今は、少しの薬と食欲がないときのためのおやつと少しでも病気が楽になるように撫でてあげるくらいしか出来ない。

命のやり取りの場面では、私は本当に何が正しくて何が正しくないのか分からなくなる。村上春樹の『1Q84』でも一つの命題だったように思うが、結論は分からなかった。ただ思うのは、命について考える時、何が正しいのか分からなくても、真摯に向き合うこと、それ自体が最も大切なことなのではないか。最近では出生前診断の話も取りざたされているが、死の場合だけでなく、出生の場合にも言えることなのではないかと思う。

15年前、ずっと入院していた父にできなかったことをリュウにできたなら、と思う。