私目線。

きょう出会った街の景色、心の景色

『シェルブールの雨傘』 と 『ローラ』

2013-06-24 19:25:14 | その他いろいろ
ジャック・ドゥミ監督と言えば『シェルブールの雨傘』。
古い映画ですが、テレビで何度も放映されているので、若い人でも知らない人はいないと
言って良いかと思います。
しかしアヌーク・エメ主演のデビュー作『ローラ』を見たことがある人はそう多くはないはず。

制作は1960年ですが、日本での初公開はそれから30年以上たった1992年にユーロスペースにおいて。
その後、上映された記録がなく、日本では幻の映画なのかなあと思っていたのですが、
なんと、一昨日(6月22日)、フランス映画祭において、デジタル修復完全版が本邦初上映となりました。

『ローラ』は『シェルブールの雨傘』を好きな人なら見なければだめでしょ、という映画です。

『シェルブールの雨傘』の中で、宝石商カサールが、「昔、ローラという女性を好きになり失恋した」
と歌う(せりふが全部歌なんですよね)、その「ローラ」の物語です。
口髭をはやしたカサールがもっと若かった頃のお話。
シェルブールの雨傘と同じようなテーマ、モチーフが現れます。

『ローラ』の終盤、傷心のカサールは旅に出るのですが、そのシーンが『シェルブール、、』へと
繋がっていくわけです。
『シェルブールの雨傘』でカサールが現れるシーンに流れる音楽は『ローラ』の中の
「夢見るロラン・カサール」という曲。
『シェルブール、、、』の前に『ローラ』を見た人だったら、その音楽を聴いただけで、
カサールの心情に思いを馳せることができたでしょうね。
でも『ローラ』を知らなかった多くの日本人は?
最初にカサールが現れた時、「なんだかちょっと胡散臭い人、、、」と思ってしまったのは私だけでしょうか??

『ローラ』の上映後には、映画評論家の秦早穂子氏によるトークショーがありました。
この映画のテーマ(出会いと別れ、初恋、愛する人を待つこと、旅立ちなど)は普遍的で、今の人の心にも響くと思うけれど、
当時のフランス社会が抱える問題が背景にあることを知り、作品を俯瞰して観ることも重要だというお話が
印象に残りました。アルジェリア戦争のこと、シングルマザーのこと等々。
調べると、映画.com にこのトークショーについての記事が掲載されていましたが、
書かれたのは、私の斜め前の席に座っておられた方かな? メモしながら写真を撮っておられました。
カメラの液晶モニターが見えていたので、、、

『ローラ』が入れ子になっている『シェルブールの雨傘』をもう一度見直してみたいと思います。

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