新・アドリアナの航海日誌

詩と散文、日記など。

夕べの夢

2022-08-26 15:51:19 | ポエム
 夕べの夢


夕べの夢に 訪れたのは
なつかしい かのひとか

夜半の嵐が 窓をたたき
枯葉舞う 冬の夜のこと

そのひとは 手をあげて 
まっすぐに あゆみ来る

夕べの夢に 訪れたのは
なつかしい かのひとか

今はもう 会えないひとの
微笑みに 目覚めて泣いた

外は木枯らし 南天の
赤いちいさな 実がゆれた

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何のために

2022-06-20 21:06:26 | ポエム
何のために

何のために今日を生きる
疲れた体を横たえもせず
何のために明日を思う
星のない夜空見つめて
何のために探し続ける
闇を照らすかすかな光を

愛する人よ
ただあなたに届けるために
見えない虹を

何のために作り続ける
いつかは壊れてしまうのに
何のために紡ぎ続ける
誰もみな忘れてしまうのに
何のために歌い続ける
夢は消えてしまったのに

愛する人よ
それでもあなたに手渡すために
消えない虹を



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「私たちは数ではない」改訂版

2022-06-06 11:19:18 | ポエム
私たちは数ではない     左子真由美           


私たちは数ではない
ひとりひとりの人間なのだ
兵隊七千人死亡と
数で言わないでほしい
みんなひとりひとりの人間なのだ
みんな父も母もいて
兄弟がいて友だちもいて
奥さんがいて子どもがいて
恋人がいて
みんな名前をもった
ひとりひとりの人間なのだ
通った学校があって
住み慣れた町があって
みんな大切な家族がいる
ひとりひとりの人間なのだ
爆弾で死んだのは
七百名と言わないでほしい
ウクライナで死んだのは
小麦を育てるゼルマ
町の市場で働くミハイ
美術学校の生徒トライアン
向こう見ずで勇敢なグリゴーレ
そして母親似の優しいデビッド
泣き虫の子どもだったコルネリウ
いつも太陽のように明るいソリン
森の守り手ミハイ
女の子の人気者アレクサンドル
敬虔な神父アンドレイ
平和を何より愛するミルチア
が死んだのだ
ウクライナでも日本でも
パレスチナでもシリアでも
スーダンでもマリでも
ミャンマーでもアフガニスタンでも
死んだのはみんな
名前のある地球の子どもたち
まだ若い少年兵ペドロ
男たちに混じって戦った娘マリア
歩いていて撃たれた老人アブラハム
赤ちゃんを守って死んだエバ
国を思う勇敢な兵隊イスマエル
防空壕のなかで飢えて死んだ老婆サラ
断じて数ではない
ひとりひとりのたったひとつの
かけがえのない命なのだ
人類の長い歴史の
記憶の幹にしっかりと刻んでほしい
流れ去る時間のなかに
埋もれさせてはいけない
世界のどこにも
あなたの代わりはいないのだから

戦いで誰も笑顔にはならない
戦いで誰も幸せにはならない



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わたしたちは数ではない

2022-04-03 17:06:51 | ポエム
わたしたちは数ではない
ひとりひとりなのだ
兵士7000人死亡と
数で言わないでほしい
みんなひとりひとりなのだ
父がいて母がいて
兄弟がいて友がいて
妻がいて子どもがいて
恋人がいて
みんな名前をもった
ひとりひとりなのだ
通った学校があって
住み慣れた町があって
みんな大切な家族がある
ひとりひとりなのだ
爆弾で死んだのは
700名と言わないでほしい
それは愛しいゼルマ
それは大切なミハイ
優しいトライアン
勇敢なグリゴーレ
そして母親似のデビッド
泣き虫だったコルネリウ
太陽のように明るいソリン
森の守り手ミハイ
女の子の人気者アレクサンドル
敬虔な神父アンドレイ
平和を何より愛するミルチア
が死んだのだ
数ではない
ひとりひとりのたったひとつの
かけがえのない命なのだ
この世界のどこにも
あなたの代わりはいない

We are not numbers
We are not numbers
Each one
With 7,000 soldiers dead
Don't say by number
Everyone is one by one
I have a father and I have a mother
I have brothers and friends
I have a wife and I have children
I have a lover
Everyone had a name
Each one
There was a school I attended
There is a town I'm used to living in
Everyone has an important family
Each one
The one who died in the bomb
Don't say 700 people
It's dear Zelma
That is important Mihai
Gentle Trian
Brave Grigole
And David, who looks like his mother
Corneliu who was a crybaby
Sorin as bright as the sun
Forest guardian Mihai
Girl's favorite Alexandre
Devout Father Andrey
Milcia who loves peace above all
Died
Not a number
Only one for each person
It ’s an irreplaceable life.
Nowhere in this world
There is no substitute for you


Ми не цифри
Кожен
З 7000 загиблими солдатами
Не кажіть по номеру
Кожен один за одним
У мене є батько і є мати
У мене є брати та друзі
У мене є дружина і є діти
У мене є коханець
Кожен мав своє ім’я
Кожен
Була школа, яку я відвідував
Є місто, в якому я звик жити
У кожного є важлива родина
Кожен
Той, хто загинув у бомбі
Не кажи 700 людей
Це дорога Зельма
Це важливо, Міхай
Ніжний Тріан
Відважний Григоле
І Девід, схожий на свою матір
Корнеліу, який був плаксою
Сорін яскравий, як сонце
Охоронець лісу Міхай
Улюблений дівчини Олександр
Благочестивий отець Андрій
Мільція, яка понад усе любить мир
Помер
Не число
Тільки по одному на кожну людину
Це незамінне життя.
Ніде в цьому світі
Немає вам заміни
My ne tsyfry
Kozhen
Z 7000 zahyblymy soldatamy
Ne kazhitʹ po nomeru
Kozhen odyn za odnym
U mene ye batʹko i ye maty
U mene ye braty ta druzi
U mene ye druzhyna i ye dity
U mene ye kokhanetsʹ
Kozhen mav svoye imʺya
Kozhen
Bula shkola, yaku ya vidviduvav
YE misto, v yakomu ya zvyk zhyty
U kozhnoho ye vazhlyva rodyna
Kozhen
Toy, khto zahynuv u bombi
Ne kazhy 700 lyudey
Tse doroha Zelʹma
Tse vazhlyvo, Mikhay
Nizhnyy Trian
Vidvazhnyy Hryhole
I Devid, skhozhyy na svoyu matir
Korneliu, yakyy buv plaksoyu
Sorin yaskravyy, yak sontse
Okhoronetsʹ lisu Mikhay
Ulyublenyy divchyny Oleksandr
Blahochestyvyy otetsʹ Andriy
Milʹtsiya, yaka ponad use lyubytʹ myr
Pomer
Ne chyslo
Tilʹky po odnomu na kozhnu lyudynu
Tse nezaminne zhyttya.
Nide v tsʹomu sviti
Nemaye vam zaminy
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エイエン

2022-03-24 05:46:45 | ポエム



エイエン

過ぎてゆく日々のなかに
流れない時間がある
時の本のなかに
しおりのように挟まれてある
エイエンという名の
いちまいの枯れない葉
あの日の風の香り
あの日の陽のひかり
なにもかも
手つかずのままここに


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ジュテームジュテーム(改訂版)

2022-03-09 05:38:41 | ポエム
ジュテームジュテーム

je t'aime je t'aime je t'aime
風がそっと吹くように
あなたに告げたいことばがある
木の実が熟れて
木から落ちるように

je t'aime je t'aime je t'aime
何度でもひとりつぶやく
あなたの後姿を
すぐそばで眺めながら
恋はとても近くとても遠い

je t'aime je t'aime je t'aime
それは小さな鳥のかたちをして
ある日私の肩にとまる
それは雪のかたちをして
ある日私のまわりを包む

je t'aime je t'aime je t'aime
恋はまぶしい夏のひかり
恋は扉のない檻(おり)
胸の小箱にしまったままの
青いガラスの欠片(かけら)

je t'aime je t'aime je t'aime
ああ わたしはいつも
あなたのそばでまわる風車
ああ わたしはいつまでも
あなたの周りを吹き抜ける風
je t'aime je t'aime je t'aime
je t'aime je t'aime je t'aime
・・・・・・・・・・・
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夜更けのピエロ

2022-03-09 05:36:47 | ポエム
夜更けのピエロ



夜更けひとり歩くピエロ
つま先立ちで軽やかに
どこかの枝にかけたままの
忘れ物を探しに

夜更けひとり歩くピエロ
月の影を踏みながら
思い出の袋につめる
忘れ物を取りに

窓辺にともる灯りの影に
寂しい娘のため息ひとつ
泣き虫坊やに出会ったピエロ
赤いお鼻で笑わせた

夜更けひとり歩くピエロ
風のゆるんだ夜のこと
茉莉(まつり)花(か)香る夜のこと
お空の上でお月さま見てた
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ひみつ

2022-03-08 21:27:11 | ポエム
ひみつ

あんな
これないしょやけど
うちあのこがすきやねん
だれにもいわんとってな
めったにあわれへんけど
おうたらやさしゅうこえかけてくれる
せやけど、それはうちにだけやない
みんなにそうやねん
だれにもいうたことないけど
うちまえからずっと
あのこがすきやってん
けどおとながいうとったわ
ひとをすきになるのはあほやて
しんどいおもいするだけやて
せやなあ
うちはこどもやけど
わかるきがする
あのこがほかのことしゃべってると
やっぱりさみしなるもんなあ
かおりちゃんはどうおもう?
あきらめたほうがええやろか?
そんなことより
べんきょうせえてか
そんなことより
しゅくだいおしえててか
そらしゅくだいのほうがかんたんや
じんせいのもんだいは
なんぼかんがえてもとかれへん
わかっているのは
ひとつだけ
なんやしらんけど
あのこがすきやということだけや


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うたかたの夢

2022-03-06 09:23:52 | ポエム
うたかたの夢

一度きり
そのひとと桜の下を歩いた
川からの風がほほを撫でるなか
たわいない話で笑った
まるでこいびと同士のように

二度と
こうやって歩くことはないだろうと
歩きながら思っていた
それでも
あふれてくる思いをおさえきれぬまま

  あの船はどこから出ているのですか?
  そうですね、きっとあの橋のたもとから

そんな何でもない会話に
胸をおどらせると
川を遊覧船が過ぎていった
子犬が駆けていった
散歩するひとたちが過ぎてゆき
鳩が飛び立った
桜の下を
その日が煌めきながら過ぎていった

一度きり
そのひとと桜の下をあるいた
春爛漫の青空のもと
それは神さまが与えてくれた
うたかたの夢だったか
誰の目にも止まらず
どんな形にもならないまま
いつまでも静かに燃えている
胸のなかでちいさな炎となって



うたかたの夢

いつしらず
胸に灯りし
ちいさき火
風にゆれる日かなし
夢いだく日かなし
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野火

2021-09-16 05:41:19 | ポエム
野火(訂正版です)

夢のなか
わたしが荒れ野のキツネであると
あなたはご存じでいらして
わたしを訪ねてくださった
山葡萄の実や身を隠す茅(かや)の葉を束ねて

わたしは人間の女の姿になって
あなたを待つのだった
そうやって二人で短い時をすごす
ほっぽう ほっほう と
山鳩の鳴く野で

それ以上の幸せはなく
そして それ以上の寂しさもなかった

----雨になるかもしれないね
----雲がとても低いものね

遙かに高い青空を求めて
地上の木も泣くことがあるだろうか

キツネであることに
気づかぬふりのやさしいあなたと
傍(はた)目(め)にはただのキツネであるわたしが
こうやって荒れ野で密かに会うことを
神さまだけはご存じなのでしょう

こんなに深く野に迷い込んだ
あなたがお帰りになる道には
はらり はらり
さくらの花びらが散りかかり
遠くで野火が燃えています
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秘恋

2021-09-12 21:36:14 | ポエム
秘恋

湖に
風が吹いて
木の葉を浮かべた
世界のどこかで
かすかな音をたてて
けれど
わたしの恋は
その葉ほどの
音もたてますまい

野原に
ひかりが溢れ
白い蝶が飛んだ
美しい軌跡を残して
けれど
わたしの恋は
その軌跡ほどの
影さえ残しますまい

何も残さず
消えてゆくものもある
形にもなれなくても
たしかに
生きたものがある
かげろうの
一日かぎりのいのち
そのように
ひそかな恋も
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静謐なる朝・9,11の記憶のために

2021-09-12 05:58:35 | ポエム
静謐なる朝                       

 午前八時半、今まさに一日が始まろうとしていた。マーガレットはいつものオフィスの机に向かい日本人の秘書、
カズエの届けてくれた新しい企画書を抱えて、青色を帯びてきた遠い空を見やった。やっと実現することになった
ライブハウスを兼ねた大型レストラン。カズエは夕べの出来事を想っていた。同じ世界貿易センタービルの鳥越と
知り合ったのはつい二週間前。カズエは単身アメリカに渡ってもう二十年、男を頼らないで生きてきて、すっかり
それにも慣れていたはずだった。鳥越は同じ朝、モーニングコーヒーを飲みながら、日本の本社の金融開発部の担
当者にファックスを送っていた。少し身体がだるいが、カズエの存在が妙に全てを新鮮にしていた。単身赴任で一
年、妻は相変わらず良妻賢母で、何かと遠い日本から気遣ってくれる。今朝も秋の衣類を送ると電話があったとこ
ろだ。鳥越はたまに真綿でくるまれているような気がする時がある。息苦しい暖かさだ。今朝は不思議と廊下です
れ違ったいつものエディにも腹が立たなかった。黒人のエディはビルの掃除の管理会社に勤めている。このビルで
働いていることが唯一の自慢だ。屋上からマンハッタンを眺めるのが好きだ。エディの母はこの週末、初めて彼の
家にやってくることになっている。母にこの眺めをプレゼントしたい。ずっと行方も知らさず、あちこち放浪した
せめてもの罪ほろぼしとして。豚箱に入っていたことだけは内緒にしておこう。苦笑いがこぼれる。エディには楽
しみがあった。85階のオフィスにいるサリーに会うことだ。サリーは愛嬌のある娘。白い肌にブロンドの髪。父
がアイルランドの血を引いている。サリーは今夜のバーバラの家でのパーティを心待ちにしている。朝から何を着
るかで母と一悶着あった。母にはまだ秘密だが今日は隣の南タワービルのフレッドと三度目のデート。昔バーバラ
の友達のアリスと恋人同士だった彼、でも何といっても学歴が魅力。ハーバードを卒業していて、おまけに隣のビ
ルでも指折りの美男子だ。フレッドはその朝、毎朝の習慣でパソコンのメールを開いていた。仕事の連絡に混じっ
て、別れたはずのアリスからメールが来ていた。今夜、もう一度会いたいと。もう一度やり直したいとそのメール
には書かれてあった。ふと仰いだ空に眩しい光を感じた。返事をどうしようかと考えている内に、ボスの怒鳴り声
が聞こえた。ビル・マッカラーズ、気難しく内向的で、だが仕事にかけては針の穴ほどの漏れもなかった。マッカ
ラーズは元海兵隊員で、どこでどうなってこの南タワーで仕事をするようになったかは知らない。噂では、背中に
ベトナム戦争の時の大きなケロイドがあると言う。八時四十分、フレッドは喉の乾きを覚えた。洗面所で水道から
じかに水を飲んだ。慌ただしくドアを開けたのはアンナ。時間ぎりぎりに到着したので息を荒らげている。机に座
ってスケジュール表に目を通したが、アンナは夕べのイタリア料理店のパスタのことを考えている。あのパスタは
どうもいけない、何が足りないのかしら。ふわふわした栗色の髪は朝の光に輝いている。子供達に今夜はとってお
きのパスタ料理を作ってやろうかな。娘のマギーは今夜は食事はいらないんだったっけ。そして、机に花を飾る。
庭に咲いたローズマリーの花。ひとつ下の階では支社長が朝の訓示をしていた。それを聞き流しながら、木津は夕
べの電話のことを考えていた。大学時代から親友の神尾がニューヨークに来ると言う。結婚式をあげるためだ。
木津は日本に残してきた結婚して一年になる妻を思った。お腹に子供が出来たせいか、少し太って余計におっとり
としてきた妻。子供が生まれたらニューヨークで育てたいと言う。バイリンガルになるねと言っていたな。朝のひ
かりが暖かさを増してきた。電話が鳴る。次々に。二つのタワーの周りに人が溢れ始める。木津はゆっくりと朝の
コーヒーを飲み干した。


午前八時四十五分、空に一条の閃光が走り、旅客機が北タワービルに突撃。
それから一時間後、南タワービルにもう一機の旅客機が突撃した。

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2021-08-27 05:44:03 | ポエム
駅は渚
寄せては返す
白い波
発車のベル
旅立つひと
帰るひと
ざわめいて
行(ゆ)き過ぎる
駅は渚

さようなら
こんにちわ
ありがとう
またいつか

駅は渚
砂浜に
残るあしあと
潮騒のひびき
ざわざわと
さわさわと
揺れるひかり
時の影
駅は渚

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あなたに

2021-08-26 22:13:38 | ポエム
せめて一篇でも
どこにもないうつくしい詩を
とどけたいとおもうのに

せめて一篇でも
だれよりもやさしい詩を
おくりたいとおもうのに

書ききれない
書いては消し消しては書く
思いを告げきれない恋文のように

きっとどこかに
置きわすれてきたのだろう
言葉のつまったたいせつな箱を

夕べの山畑でキジが鳴いた
夕陽のかがやくなか
声をかぎりに

そんなふうに伝えられたら
たった一行でいい
そんなふうに綴ることができたなら

あなたに贈るだろうに
この地上で偶然にも
おなじ時を生きているあなたに
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ジュテームジュテーム

2021-08-26 16:06:11 | ポエム
je t'aime je t'aime je t'aime
伝えたいことはそれだけ
伝えるだけでいい
あとは風の中にいて
風に吹かれていよう

je t'aime je t'aime je t'aime
何度でもひとりつぶやく
そのひとの後姿を
すぐそばで眺めながら
こんなにも近くてこんなにも遠い

je t'aime je t'aime je t'aime
街角に 通りに
ビルの影に 
どこにでも存在する
そのひとのシルエット

je t'aime je t'aime je t'aime
je t'aime je t'aime je t'aime
とても近くてとても遠い
それは小さな鳥のかたちをして
ある日私の肩にとまる

je t'aime je t'aime je t'aime
それは雪のかたちをして
ある日私のまわりを包む
終わりのない調べ
とりとめのないことば

je t'aime je t'aime je t'aime
どんなことばで飾ってもだめ
このひとことにはかなわない
ただひとこと
je t'aime je t'aime je t'aime
je t'aime je t'aime je t'aime
・・・・・・・・・・・

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