はなかげ おとかげ

日本画家・書家 足立正平のブログです。

アリスを見て

2010年06月13日 | 過去のBlog記事

小学校以来の友達から、4~5年ぶりの電話がきて、夜中に3人で連れ立って映画を観にいくことになった。

D映画「アリス・イン・ワンダーランド」。

普段メガネをかけている僕にとって、メガネの上に3Dメガネをかけるのは少し窮屈だったが、映像の世界に新しい可能性が開けている事は実感した。

               

映画の中で、ワンダーランドの未来が描かれている絵巻が出てくる。

最近たまたま買った雑誌の禅画特集に「寒山拾得図(かんざんじっとくず)」が出ていたが、画中で寒山が手にしているようなやつだ。

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これは経文だが、アリスの絵巻にしろお経にしろ、本ではなく「巻き物」に書かれている、というだけで何やらミステリアスな雰囲気が増すようにも思われる。

紙は中国で発明されたが、それ以前、手紙などはおもに木や竹を細長く切った「木簡」とか「竹簡」といわれるものに書かれた。

それら1本1本を縄でつなげることで、長い文章にも自在に対応する事ができた。

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ちょうど太巻きを作るときに使う「まきす」のようなものを想像すればわかりやすいか・・

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持ち運ぶときはそれをクルクルっと「巻く」ことでコンパクトにまとめる事ができる。

今でも本や漫画を「1巻、2巻・・・」と数えるのはこの時の名残りであろう。

最近「i-pad」発売で大騒ぎしていたが、こうした新しい技術とともに新しいスタイルが出てくるのは今も昔も変わらない。

「これで本がなくなるのでは・・」と危惧する本屋もいるだろう。

「紙」の発明以来、永らく本の時代が続いていたが、俯瞰してみればインターネットやi-padによって新しいスタイルができつつあるだけ、とも考えられる。

果たして100年、200年先の世界に行ったとしたら、そこはどんな世界だろうか・・

そこが僕にとって「ワンダーランド」であることだけは確かだろう・・・