足立借地借家人組合

足立区興野一丁目13番22号 石川方
電話 (03)6806-4393

足立借組第42回定期総会開催

2014-05-19 14:03:20 | 日記
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管理会社に委任した家主にも不法な追い出し行為責任が認められた事例

2014-01-04 21:19:04 | 日記
 建物の管理会社による追い出し行為について不法行為責任を認めるとともに、
賃貸借契約の解除を認める確定判決を得ていながら、公権力による明渡しを実行せず、
原告の居住を黙認した上、個別に管理会社に滞納家賃の取立等を委任した家主にも、追い出し行為に関する責任が認められるとした事例
(姫路簡裁平成21年12丹22日判決)

  【事案の概要】
 A(借主)とB(貸主)は平成15年にアパートの賃貸契約を締結、C社はBとの問で管理契約を締結し、賃借人に対する家賃等の集金等を委託していた。
平成18年、Aの家賃滞納によりBは賃貸借契約を解除する訴えを起こし、同年末、契約解除を認める判決が確定するも、Aはその後も賃料を滞納しつつも本件建物に居住し続け、
一方、家主は、賃料相当損害金を受領し続けていた。
 平成20年6月、C社の社員DがA宅に赴き、張り紙を貼ったり、家賃督促のハガキを入れたり、ドアの鍵部分にカバーを掛けたりした。
その後、Aが一部家賃を入金したことによりC社は鍵を開けた。
 平成21年4月末、DがA宅に赴き、張り紙を貼ったり、家賃督促のハガキを入れたり、同年5月ドアの鍵部分にカバーを掛けたりした。
また後日、DがA宅に赴き、ドアに「荷物は全て出しました」との張り紙を貼った。

  【判旨】
 Aに怛常的な賃料あるいは賃料相当損害金の不払が存在したとはいえ、上記取立行為は社会的行為として許されるものではなく、何ら言い訳のできない不法行為といえる。
 家主Bは、本件賃貸借契約について、裁判所の確定判決により債務名義を得ているにもかかわらず、公権力による明渡しを実行せず、Aの居住を黙認した上、
Aの滞納家賃の取立等のため、個別にC社にそれを委任し、その結果、C社の社員Dが、Aに対し不法行為(取立行為)を行ったのであるから、Bに不法行為責任が存することは明らかである。

【寸評】
 管理会社による滞納家賃の取立行為(迎い出し行為)が許容される限度を超えたために不法行為責任が認められた事例であるが、
開け渡しを認める確定判決を得ておきながら実力行使よる迫出しを依頼した家主生にも同様の責任を認めた
(慰謝料額は36万5000円)。近時の悪質な滯納家賃の取立、迎い出し行為に警鐘を鳴らす事例として紹介する。

        (弁護士松田耕平)
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賃貸人の修繕義務不履行によって賃借人が蒙った営業利益の損害の範囲

2014-01-04 20:25:52 | 日記
 店舗賃借人が賃貸人の修繕義務不履行によって蒙った営業利益相当の損害の範囲
(最高裁平21・1・19判決判例時報2023号)


(事案の概案) 
1 賃借人Xは平4・3、賃貸人Yからビルの地下一階をカラオケ営業のために月額二〇万円で賃借した。
2 平成4・9ころから本件店舗に浸水が頻繁に発生したが、平9・2には床上30~50㎝まで浸水した
 (本件事故)そのためにXはカラオケ店の営業ができなくなった。
3 Yは本件事故より、Xから営業再開できるよう修繕を求められでいたが、これに回応じず、逆に賃貸借契約の解除を主張してXに退去を要求し、電源を遮断するなどした。
4 Xは営業再開の目途も立だないため、平10・9、Yの修繕議務不履行により営業利益流失等による損害賠償を求める本訴を起こした。これに対し、Yは修繕義務の存在を否定し、
  さらに、賃料不払等を理由として賃貸借契約の解除を主張し本件店舗の明渡を求める。
5 名古屋高裁金沢支部は、「Yは本件事故後も引続き賃貸人として本件店舗部分を使用収益させるために必要な修繕義務を負担していかにもかかわらず、
  その義務を尽くさなかった。Xは本件事故の日からカラオケ店営業ができなかったから、Yに対し、本件事故の一か月後である平9・8・12から
  Xの求める損害賠償の終期である平B・8・11までの4年と5か月間の得べかりし営業利益約3104万円を喪失したことによる損害賠償を請求する権利がある」と判決した。
  これに対し、Yが上告した。

(判決要要旨)
①Yが修繕義務を履行したとしてもを朽化(築後約三〇年)して大規模な改修を必要としていた本件ビルにおいてXが賃貸借契約をそのまま長期にわたって継続し得たとは必ずしも考え難い。
②営業再開はいつ実現できるか分からない実現可能性が乏しいものとなっていた。
③カラオケ店営業は本件店舗以外の場所で行うことができないものとは考えられない。
④Xはカラオケセッ卜等の損傷に対し約3700万円の保険金が支払われていたのであるから再びカフ才ブセットを整備するのに必要な資金を得ていた。
 そうすると、Xがカラケ営業を別の場所で再開する等の損害を回避又は減少させる措置を何ら執ることなく、本件店舗における営業利益相当の損害が
 発生するにまかせて、その損害のすべてについての賠償をYに請求することは、条理上認められない。よって、右損害の回避又は減少の措置を執ることができた
 時期以降の損害のすべてをYに請求することはできない、として原判決を破棄して損害の範頭について更に審理を尽くすよう原審に差し戻した。

(寸評)
家主の修繕義務不履行による賃借人の損害にはいろいろあるが、店舗の営業利益を失つたことによる損害の賠償を求める際には、この判決の趣旨を念頭におく必要がある重要な判決

      (弁護士 白石光征)

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家主に対する修繕義務不履行による賠償請求は通常生ずべき損害が限度

2014-01-04 18:24:07 | 日記
 借家人から家主に対する修繕義務不履行による営業損害の賠償請求について、
借家人が損害を避けることができたと考えられる時期以後の損害については認められないとされた事例
(最高裁平成21年1月19日判決判例時報2032号45頁)
 
 
(事案)
 家主は借家人に対し、平成4年8月5日、賃料月額金20万円、使用目的を応舗として、建物を賃貸した。
 平成9年2月12日、本件店舗の床上30センチメートルから50センチメートルまで浸水(本件事故という)したため、カラオケ店の営業ができなくなった。
借家人は家主に対し、修繕を求めたが、家主はこれに応じなかった。

  (請求)
 借家人は家主に対し、カラオケ営業ができなくなったとして、鴬業利益相当額の損害賠慣の請求をした。
 他方、家主は、修繕義務を否定し、賃料不払い等を理由としで、建物賃貸借契約を解除し、建物明渡しの請求をした。

  (原審名古屋高裁金沢支部判決)
 家主の本件建物賃貸借契約解除は無効として、建物明渡請求を棄却するとともに、家主が修繕義務をつくさなかったためカラオケ店の営業ができなかつたとして、
本件事故の日の1か月後である平成9年8月12日から平成13年8月11日まで4年5か月間の得べかりし営業利益3104万円の損害賠慣の講求を認めた。家主から上告申立て。

  (最高裁判決)
 これに対し、最高裁は、①本件店舗は老朽化して大規模な改修を必要としていたので、賃貸借契約をそのまま長期にわたって継続しえたとは考えられないこと、
②家主から賃貸借契約解除の意思表示がされて、本件事故から1 年7ヶ月経過後に本件損害賠償請求訴訟を起こした時点では営業再開の実現可能性が乏しいものとなっていたこと、
③借家人が本件建物以外の場所でカラオケ営業を行うことができないとは考えらかないことを理由に、
カラオケ店の営業を他の場所で再開させるを措置を執ることなく発生した損害の全てを家主に講求することは条理上認められないとし、
借家人が別の場所で力ラオケ店を再開できたと解される時期以降における損害は通常生ずべき損害に当たらないと判示して、原判决を破棄し、名古座高等試判所に差し戻した。

       (短評)
 本判決は、営業損害の範囲について、民法第416条1項に定める通常生ずべき損害の限度で認めるとしたものであり、借家人に対し厳しいものがあるが、実務上、意義をもつものである。

        (弁護上 榎本武光)

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更新を支払う旨の借地契約上の合意がない場合に、地主からの更新料支払請求は認められない

2014-01-04 16:56:44 | 日記
東京地裁裁判ー更新を支払う旨の借地契約上の合意がない場合に、
地主からの更新料支払請求は認められないとされた二つの事例(事案の概要と判旨)



事例Ⅰ】東京地裁平成20年8月25日判決

 AはBに昭和24年に土地を貸した(墨田区)。Aは死亡し、Cが相続。
 CとBは、昭和43年に借地契約を合意更新(一回目)。この際、更新料4万円が払われた。
 昭和63年に法定更新(二回目)。Bが平成5年死亡し、その子であるYが相続。地主Cが平成18年死亡、その子Xが相続。
 平成20年2月に法定更新(三回目)
 XはYに対し最後の更新につき150万(土地時価の5%)の更新料を請求して提訴した賃貸借契約書には更新に関する定めが一切なかった。
 判決は、「宅地賃貸借契約における賃貸期間の満了にあたり、賃貸人の請求があれば当然に貸貸人の貸借人の更新料支払義務が生ずる旨の商慣習
ないし事実たる慣習が存在するとはいえない(最高裁第二小法廷昭和51年10月1日判決として、地主の更新料支払請求を廃棄した。

 『事例2』東京地裁平成20年8月29日判決

 DはEに昭和21年に土地を貸した(豊島区)。
 DとEは昭和41年に合意更新1回目)。さらにDとEは昭和61年に合意更新(二回目)。
 Dは昭和62年に死亡し子の甲が相続。Eは平成16年死亡し配偶者の乙が相続。
 平成一八年は法定更新(三回目)。
 甲は、更新料の合意または慣習を根拠に525万円の更新料(地時価の7%)を請求して提訴してきた。昭和61年の合意更新時に作戚した契約書には
更新料の定めは一切なかったが、更新料と推定される220万円の支払がEからDになされている。
 判決は、「次回の更新に際して更新料の支払が要件になるか否かは、貸主であるD側にとっても、借主であるE側にとっても重要な事項であり、
これが当事者間で合意これたのであれば、本件賃貸借契約言にその趣旨の条項が書き込まれてしかるべきところ、本件賃貸借契約書にはそのような条項が存在しない」
として更新料支払合意の存在を否定し、慣習を根拠とした甲の請求に対しては「一定の基準に従って当然に更新料を支払う 旨の慣習が存在するとまで認めることはできない」として、地主の更新料支払請求を棄却した。

寸評)

【事例二】は筆者が代理した組合員の事例である。地主は控訴したが、第1回以前に取り下げ、請求 棄却の一審判決が確定して解決した
借地契約書に更新料を支払う旨の条項がなく更新料支払合意が認められない場合に、借地契約が期間満了時に法定更新したときには、借地入には更新料の支払義務がなく、
更新料を支払う事実たる慣習の存往は認められないというのは、
【事例一】の判決も引用している紹和51年最高裁判決により確定した解釈で、現在の下級審もこれに従っている事例として紹介する。

(弁護士 田見高秀  )
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