Art&Blue-Liberalism:青き自由主義 復刻版 など 

アダム・スミスとマックス・シュティルナーの思想を参考にして自由に個人が生きる世を目指す!

1.3 生産への過剰需要、資源枯渇、不況の負のスパイラル

2016-11-25 23:16:17 | 国民国家の黄昏にて
しかし資本主義の自由市場に基づいた自由貿易が拡大していくと同時にその経済の景気循環は激しくなる。 拡大すればするほど景気循環は激しくなり、過剰拡大とその後に副作用として現れる不況へのスパイラルが起こる。 人間個人の果てしない利己的な欲求を原動力とした市場経済は、生産力と個人の選択の幅と自由を設けるという恩恵だけでなくその果てしない欲求による副作用もある。保持資源量と各個人の生産力に見合わない資源と加工品、サービスなどの生産物への過剰需要起こる。

そして、限られた自然資源の量は一定だがそれを加工し作られる生産物への需要は高まり続ける。人間個人も市場からつぎつぎに生産物が生み出されるし、個人に支払われるその生産行動に対して支払われる労働対価や投資の見返りは増え続ける。生産物と労働対価や投資の見返りから得れる可処分所得が増える。

その可処分所得をもって購入できる生産物とその選択肢も増えているので、安心して快適な生活ができることを当たり前として安心するため、人間の人口が増加の傾向にあっても過剰になっても気に留めない。その生活の安堵感からくる人口増加が、やがてその人間の群れの加速する生産活動が原因となり、資源の枯渇が生じる。

資源の枯渇についての情報が伝わると各生産物の価格および人件費の高騰が起こる。 経済活動範囲が広まるとその情報の伝達がいきわたるまでの間隔があるので、いかに情報技術が発達しても遅延が生じるし、人間はなかなか急に慣れした生活を改めることを行えない。 それゆえに、過剰需要な状況は情報がいきわたり大多数が危機を知らされるまで続く。

過剰需要による生産物の価格高騰が続き、やがて個人が労働対価もしくは投資への見返りから得ている可処分所得では購入しづらい程に価格が高騰してきた際に、やがて需要が過剰であると気が付き需要が停滞する。 そこで、今度は可処分所得を生産した対価として支払う個人が減る故に、安い値段で、つまり消費する可処分所得に対して比較的より多くの生産物を提供できる生産者を選ぶ。 故にこの状態では比較的安い値段に落とすことで可処分所得を持った消費者をよりひきつけることができるので、結果より見返りを得ることができる。 

それに続いて他の生産者も値段を安く落としていくため、市場にある生産物を手に入れるために必要な価格は下落いく傾向にある。 ただ、生産物の価格が下がるということは、それを生産している個人が労働対価もしくは投資への見返りも下落することになる。 過剰需要により生産に必要な自然資源が減少した場合、いくら急に採取量を減らしたとしてもその採取可能な自然資源の量が増えることはないため、自然資源の値段は下がりづらい。 故に、優先的に個人の労働対価および投資への見返りが減らされることになる。 すなわち個人に分配される可処分所得が更に低下する。 

そこで人間個人同市のその可処分所得の分配を得るための争奪戦が行われ、立場的に幸運である個人は自分の可処分所得の下落率をある程度抑えることができるが、不運に見舞われた個人はより可処分所得を得られる機会を奪われる傾向にある。 しかし、その不運な立場の個人が増えると同時に、生産行動に対するあらゆる対価も減少することになるから、比較的幸運な立場にあった個人も得られる対価もやがては減少していく。 

そこで、各々の個人等が市場における売買の取引のなかでの争奪戦が行われ、比較的に強いもしくは幸運な個人は可処分所得を守り、比較的に弱く不幸な個人は可処分所得を得られる機会を無くし生活に苦しむことになり、最悪の場合は生活に必要な生産物が手に入らない状況になりその個体の存亡の危機、すなわち病や死を襲う。 その負のスパイラル循環が続く場合には、不幸になる可能性も高くなるために、最初に個人の力量もしくは幸運で勝ち抜き生き残った個人にも不幸による力の減退が訪れ、不幸な弱者となりうる。 

この悪循環を断ち切るには、もとから採取可能な資源に対しての過剰な人間個人の人口増加を抑制しておくこと、資源とそれを加工して造られる生産物への過剰需要を抑制するための市場への介入、そして上記に述べた負のスパイラルが起きた際に起こる立場上の運の格差拡大を埋めるための市場への介入が必要となる。 自由な市場は生産力を上げるためのモチベーションとして不可欠だが、その循環の波を抑えるための装置が必要になる。 その市場の規模が大きくなればなるほどその装置の規模も大きくなる。

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