あるスーフィー巡礼者の日記

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梅棹忠夫さん訃報に寄せて  米軍基地問題の根底をなす歪んだ歴史観

2010年07月08日 | 歴史の深層を読み解く
【日本の文明は超一流文明である】

「文明の生態史観」で知られ、初代国立民族学博物館長を務めた民族学者、梅棹忠夫(うめさお・ただお)さんが3日午前11時7分、老衰のため自宅で死去された。

動物生態学者から民族学、比較文明学に転じ、世界各地での実地調査やフィールドワークに基づくユニークな文明論を発表し、特に西欧と日本の文明が平行的に進化したとする「文明の生態史観」は、世界的に大きな反響を呼んだ。

「文明の生態史観」は、それまで支配的だった欧米中心の歴史観と一線を画し、日本の文明をヨーロッパの文明と並ぶ文明と位置づけ反響を呼んだ。戦後の復興期を経て日本が自信を取り戻し始めた時期に、新たな「日本論」としても注目された。

【オリエンタリズムから自虐史観に連なる流れ】

東洋の文化・社会は西洋の文化・社会に劣っていて、東洋は西洋の後を追って発展して行くという思想を「オリエンタリズム」という。

それは、欧米列強によるアジア・アフリカ・中南米諸国の植民地支配パレスチナにおけるイスラエルの占領を正当化し、日本の戦後教育における自虐史観(大東亜戦争は悪の戦争であり、正義は連合国側にあった)へと連なっている。

【宇宙の諸現象は相対性を本質とする】

欧米中心主義に対して、世界の文明はそれぞれ固有の価値を有する対等の文明であるとする考え方を文化相対主義と呼び、それは文化人類学の世界ではグローバル・スタンダードとなりつつある。文化相対主義は、アインシュタインの相対性理論と時を同じくして現れ、人類史上において相対性理論に匹敵する意味を持っていると考えられる。

それは、「宇宙の諸現象は相対性をその本質とする」という東洋思想や量子力学の考え方とも通じる思想であると言えよう。

【沖縄米軍基地問題の根底にある東京裁判の不当判決】

自虐史観の根底にあるのは、戦勝国が一方的に敗戦国を裁いた人類史上最悪の不正裁判というべき東京裁判である。東京裁判が人道に反する裁判であるというだけでなく国際法の原則からも著しく逸脱した裁判であったことは、日本の一部の右翼思想家だけが唱える戯言ではない。

東京裁判の不当判決は、今日の普天間基地を始めとする米軍の沖縄占領(駐留)の正当性の有無とも関わっている重要な問題である。

【マッカーサーも認めた東京裁判の不当性】

東京裁判の不当性はマッカーサーを始めとする戦勝国側の人も含め、世界の多くの人が共通して抱く見解である。つまり、東京裁判を正しい裁判だと考えているのは、歪んだ自虐史観教育を受けた私たち日本人など一部の人たちだけなのである。

東京裁判の不正義については、戦勝国側の判事として参加しながら、良心公正な法精神に則ってその欺瞞を暴いたインド人代表のパール判事が詳細な調査もとづく緻密な理論を展開している。

次回の投稿では、「パール判事の日本無罪論」(小学館文庫)をもとに、その一端を御紹介したい。